GPA
GPA(Grade Point Average)とは、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値のこと、あるいはその成績評価方式のことをいう。欧米の大学や高校などで一般的に使われており、留学の際など学力を測る指標となる。日本においても、成績評価指標として導入する大学が増えてきている。主成分分析を援用した指標である。
概要
例えばアメリカ合衆国で使われている計算方式であれば、まず、各科目の5段階評価を、以下のように換算し合計する。
※一例
評価 | 点数 | グレード | ポイント |
---|---|---|---|
優もしくは秀 | 90-100点 | A | 4 |
良もしくは優 | 80-89点 | B | 3 |
可もしくは良 | 70-79点 | C | 2 |
準可もしくは可 | 60-69点 | D | 1 |
不可 | 59点以下 | F | 0 |
スコアは、各科目の(単位数×ポイント)の合計÷総単位数(履修登録単位の総数)で求めることができる。この場合、オールAなら4.00、オールFなら0.00となる(注意:国によって一般的な計算方式や値が違う。また、4.00が通常の最高値であっても、たとえば高校でのGPAの場合、大学相当の内容の講義を受けている場合には一定の補数を乗じて、その科目のAを4以上として算出する場合もある)。
また、大学院においては9ポイントスケール(9.0=A+, 8.0=A, 7.0=A-,6.0=B+, 5.0=B, ...)を採用する大学もある(例:ミシガン大学大学院)。 大学において導入される場合、国や各大学によって違いはあるものの、入学者の選抜に用いられるほか、それまでの学期の累計のスコアの合計点によって次学期に履修できる単位の上限が変動したり、あるいは次の学年への進級の可否が決まる制度が導入されることが多い(もちろん、これらの制度も国によって違いがある)。とくに卒業条件としてGPAが使われる場合(たとえば平均2以上など)、不用意にいくつもの講義を履修しFを取るとそれを上回る量のAやBでカバーしなければならない。あるいは留年、休学や退学勧告となる。そのため、GPA制度導入に際しては、履修後に自分に合わない場合や単位取得が難しい講義を途中で履修を取り消す措置(履修中止制度)を同時に導入する場合も多い。高いスコアを継続して取り、1学期あたりの科目数を増やしてそれらを高成績でクリアすれば、3年間で大学を卒業できると言うメリットを用意する大学もある。
したがって、「GPAを導入」するといった場合には、単に成績の数値化を導入する場合(この場合、取得単位数がいくつ以下、あるいは不可がいくつ以上なら留年などとする規則をGPA換算に置き換えて導入されたりする)と、それに付随するルール(履修中止制度)なども導入する場合とでは本質的に異なるので注意を要する。後者の方式では学生が自分に合った戦略を持って履修せねばならず「自己分析」には良いとされ、その学生の得意とする分野・科目に集中するには良いとされる一方、不得意科目は自然と敬遠することにもなる。また、履修中止制度は講義の受講を完全に途中で取り消すために、理解が困難な科目や不得意科目において「得意ではないが全体像は把握している」という学生すら育たない可能性がある。さらに、必修科目が多く科目選択肢がほとんどない専攻分野などでは、そういった制度を導入してもあまり意味がないことになる。特に日本では自分の専攻分野を決めて入学しなければいけない場合が多く、そのためこれらの制度は日本の教育制度には不向きであるとする意見もある。ほかに、学生が高度な内容の講義を敬遠したり、底上げした良い成績を与える傾向ができてしまったり、また学校や教員によって授業の難易度が違うこともあり、比較する場合には必ずしも公平な指標とならないなどの問題点も指摘されている。
なお、留学に用いる場合には、国によって教育事情や履修科目内容が違うため注意する必要がある。たとえば日本の高校(あるいは大学)での履修科目が、外国では大学(あるいは大学院)での履修科目になっていることもある。
日本での導入
日本でも少子化時代の到来を見据えた大学改革の潮流の中で、この制度を採用する大学が増えている。 文部科学省によるとGPA制度を導入している日本の大学は平成17年度には248大学(全体の35%)であったが、平成23年度に453大学(全体の61%)となっている[1]。
脚注
テンプレート:Reflisten:GPA- ↑ 大学における教育内容等の改革状況等について 文部科学省高等教育局大学振興課 2013年11月7日