ヘクトール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年7月19日 (土) 15:47時点における218.110.200.201 (トーク)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

ヘクトールテンプレート:翻字併記テンプレート:Lang-la)は、ギリシア神話英雄である。日本語では長母音記号を省略し、ヘクトルともいう。トロイアの王子であり、トロイア戦争におけるトロイア勢最強の戦士。トロイアを築いたダルダノストロースの末裔プリアモス王と王妃ヘカベーの間に生まれた[1]。妻アンドロマケーとの間に一子スカマンドリオス(トロイアの人間はアステュアナクスと呼ぶ)をもうけた。イーリアスにおいて、兜きらめくヘクトールと称される。

トロイア防衛の総大将として軍勢を指揮し、また個人の勇猛さをもってアカイア勢を敗走寸前にまで追い込んでいる[2]。アカイアの戦士を31人殺したと伝わる[3]

善き夫、善き父でもあり、戦争に負けた後に起こる妻子の処遇を案じている[4]。トロイア戦争の元凶となった弟パリスについても、叱りこそすれ見放すことはなかった。国のことを第一に考えるヘクトールに対し、自身が原因にも関わらずパリスは飄々としている[5]

パトロクロスの猛反撃も打ち破るが[6]アキレウスに敗北し遺体を辱められる[7]。父であるプリアモス王がアキレウスの陣まで出向き、ヘクトールの遺体を引き取る。

トロイアの陥落後、妻アンドロマケーはアキレウスの子ネオプトレモスの戦利品となった。そして、アステュアナクスは殺された。

中世ヨーロッパにおいてジャック・ド・ロンギオンは九偉人の一人に挙げている。ジェームズ・レッドフィールドは「国に殉じた男、かけがえのない日常生活を守るため死んでいった英雄」と述べている[8]

系図

テンプレート:トロイアの系図


ギャラリー

テンプレート:Sister テンプレート:Wikisourcelang テンプレート:Commons category

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:イーリアスの登場人物
  1. イーリアス第20歌 215.
  2. イーリアス第12歌
  3. ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス「神話集」115.
  4. イーリアス第6歌
  5. イーリアス第3歌、第6歌、第13歌
  6. イーリアス第16歌
  7. イーリアス第22歌
  8. James M. Redfield, Nature and Culture in the Iliad: The Tragedy of Hector. (Durham: Duke University Press, 1994), ix.