ベヨネース列岩
ベヨネース列岩(ベヨネースれつがん)は伊豆諸島の岩礁群。東京都に属す。ベヨネース岩礁、ハロースとも呼ばれる。欧名は「Bayonnaise Rocks」。東京都の直轄であり、都の出先機関である東京都総務局八丈支庁が所管しているが、どの町村に属しているかは未定の状態である。
命名の由来からすれば「ベヨネーズ列岩」となるが、国土地理院発行の地形図や気象庁の「火山データベース」でもベヨネース列岩を採用している(本稿でもそれに倣う)。
地理
伊豆諸島南部、東京から南に408km、青ヶ島の南約65kmに位置し、3個の烏帽子形の大岩礁と数個の小岩礁から成る。東8kmに位置する海底カルデラ「明神礁カルデラ」のカルデラ縁上に位置するが、形成時期は明神礁カルデラより古い。植生はほとんどない。渡り鳥の休息地でもある。
近海ではしばしば海底噴火が発生している。周辺は黒潮が流れていて好漁場のため、釣り目的で漁船で岩礁に上陸する人もいる。大型の魚が釣れるが、常に波浪にさらされるため、波にさらわれたり海に転落する危険があり、磯釣りに慣れた上級者向けとされる。
歴史
1846年にフランス海軍のコルベット「バイヨネーズ」が発見、名前はこれに由来する。1896年以降、火山活動による海面異常や海底噴火がみられ、1906年、1946年、1952年 - 1953年には付近の明神礁で新島も出現した。この新島は青ヶ島からも遠望できるほどに成長したが、その後荒波に呑まれて海中に没した。
火山活動のため本列岩は危険で、そのうえ常に波浪にさらされ接岸は非常に困難であった。しかし、1953年10月5日にアメリカの海洋観測船「ベアード号」の調査団長がゴムボートで上陸し、岩石採取に成功する。この岩石は日本にも寄贈された。本列岩は波浪で上陸困難だったことから、波浪の巣という意味で別名「ハロース」とも呼ばれるようになった。
2012年3月15日の東京都議会予算特別委員会の質疑において、吉田康一郎議員(中野区)が、ベヨネース列岩の個々の岩(島)に命名をするとともに、「ベヨネース」という洋名についても、日本語由来の名称を付けるべきと提案した。この折、吉田都議は、列岩の総称に「波浪巣島」「波浪巣岩」、3個の大きな烏帽子形の岩に「北烏帽子岩」「中烏帽子岩」「南烏帽子岩」、小さな岩礁に国に倣って「東小岩」「西上小岩」等の名称を提案しつつ、都民に広く名称案を募り、知事を長とする選考委員会で選定することを求めた。 これに対し、石原慎太郎都知事は「大賛成でありまして、責任を持ってやりたいと思います。」と答弁した[1]。
脚注
関連項目
外部リンク
- ベヨネース列岩周辺の地図 - 地理院地図(国土地理院)
- ベヨネース列岩の空中写真 - 地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院)
- 活火山情報:ベヨネース列岩 - 気象庁
- 明神礁;ベヨネース列岩についても記載 - 海域火山データベース(海上保安庁海洋情報部)
- ベヨネース列岩 - 空中写真閲覧サービス(海上保安庁海洋情報部)