書を捨てよ町へ出よう
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『書を捨てよ町へ出よう』(しょをすてよまちへでよう)または『書を捨てよ、町へ出よう』は、寺山修司による評論、戯曲、映画。
目次
概要
1967年に寺山は「書を捨てよ、町へ出よう」(芳賀書店)という評論集を出版。その後、同年に旗揚げした演劇実験室「天井桟敷」の第7回公演(1968年)で「ハイティーン詩集 書を捨てよ町へ出よう」が演劇作品として発表された。
アングラ演劇ブームが起こり、(1969年)夏には新宿・花園神社隣にあった建物(閉店したスナック「パニック」の建物を公演用に改装)で2ヶ月間のロングラン公演。この公演は夜の新宿名所を巡るはとバスのツアーで毎夜、団体客で満席となった。また、同年秋には、名古屋、京都、神戸と、旅公演も行っている。
1971年には寺山修司自身が監督・製作・脚本を務める同名の映画が公開。同年、評論集「続・書を捨てよ町へ出よう」が出版される。これらの評論集・公演作品・映画は、題名は同じであるが、内容は別個の物である。
評論集
- 『書を捨てよ、町へ出よう』(初版:芳賀書店/改(現行)版:角川書店・角川文庫)
芳賀書店
- イラスト:横尾忠則
- 写真:吉岡康弘
- 収録
- 青年よ大尻を抱け
- 足時代の英雄たち
- 特別とじ込付録 私自身の詩的自叙伝
- 自由だ、助けてくれ
- 不良人間入門
- 恋愛百科・口から出まかせの恋愛論
- 三文エロイカ
- 痩せた日本人のための書
- 行きあたりばったりで跳べ
- スポーツ無宿
- 著者・装幀者・写真提供者紹介
角川書店・角川文庫
- 収録
- 第1章 書を捨てよ、町へ出よう
- 第2章 きみもヤクザになれる
- 第3章 ハイティーン詩集
- 第4章 不良少年入門
続編
- 『続・書を捨てよ、町へ出よう』(1971年・芳賀書房/1993年・河出書房新社・河出文庫「寺山修司コレクション」)
- 収録:
- 巻頭論文 青少年のための家出入門
- グラビア 寺山修司アルバム自叙伝
- 母恋春歌調
- ひらかな仁義
- 特別とじ込み附録 ぼくの新宿+「のわき」
- 歴史なんか信じない
- おやじ、俺にも一言
- グループ探訪
- 言友会
- 収録:
舞台
- 台本:寺山修司
- 演出:萩原朔美
- 音楽:クニ河内
- 出演:天井桟敷、ハイティーン詩人たち
CD
- 『ハイティーン・シンフォニー 書を捨てよ、町へ出よう』(SWAX-62)
- 1970年阿佐ヶ谷公会堂、天井桟敷の第7回公演の録音を元に植村良己が再構成。
- 収録
- プロロオグ~レッツゴー・オーネット! (「プロロオグ」作曲/クニ河内、「レッツゴー・オーネット!」朗読:江戸桜四郎/詩:広重哲実、寺山修司)
- 母捨記 (朗読:松崎富男/詩:森忠明/作曲:加藤ヒロシ)
- 暗い駅~私をさがさないで (「暗い駅」詩:石丸忠士、寺山修司/作曲:クニ河内、「私を探さないでください」朗読:蘭妖子/詩:北川美代子)
- さよなら (朗読:佐々木英明/詩:佐々木英明/音楽:クニ河内)
- 一番遠い所 (歌:粟田伸一/詩:寺山修司/作曲:金井伸幸)
- インタビュー,街角 (インタビュアー:本間典子)
- 質問 (歌:吉川ひろみ/詩:寺山修司/作曲:田中未知)
- 太陽がいっぱいと正確に発音できますか? (朗読:彦凪ワタル/詩:生爪徳/音楽:クニ河内)
- 神様がやってくる日 (歌:田中洋子/詩:菅智子/作曲:クニ河内)
- あたしのミック・ジャガー (朗読:新高恵子/詩:黒黄白/音楽:クニ河内)
- フーテン追分 (作詞・作曲・歌:J・A・シーザー)
- 永山則夫への70行 (朗読:昭和精吾/詩:岡崎樹、寺山修司/音楽:クニ河内)
- 吃りの告白 (朗読:浅沼周平/詩:二川進/音楽:金井伸幸)
- 捨てろ (朗読:蘭妖子/詩:小山勝己/作曲:加藤ヒロシ)
- 人力飛行機 (朗読:桃中軒花月/詩:寺山修司/音楽:クニ河内)
- 時速100Km (歌:新高恵子/詩:寺山修司/作曲:クニ河内)
- エピロオグ (作曲:クニ河内)
- スタッフ
映画
概要
- 製作年:1971年
- 配給:日本アート・シアター・ギルド(ATG)
- 演劇実験室「天井桟敷」が全国各地で百数十回以上上演した同名ドキュメンタリー・ミュージカルの映画化。サンレモ映画祭グランプリ、キネマ旬報ベストテン第9位。
あらすじ
北村英明は21歳のフリーター。戸塚の都電沿線の廃墟のような貧乏長屋で、万引き常習犯の祖母、無職の父親、ウサギを偏愛する引きこもりの妹と暮らしている。英明には憧れの人がいる。その彼は大学のサッカー部で主将を務め、美人の彼女をもち、良いアパートに住み、左翼思想にかぶれ、英明をかわいがり、そしてけしかける。英明は人力飛行機に乗って、抑圧された環境からの脱出を夢見る。青年の鬱屈した青春を過激なミュージカルと実験映像を交えて挑発的に描く。
出演
- 佐々木英明:北村英明(私)
- 斎藤正治:北村正治(父)
- 小林由起子(現竹林舎青玉):北村セツ子(妹)
- 田中筆子:北村ハツ(祖母)
- 平泉征:近江(彼)
- 森めぐみ:(彼の恋人)
- 丸山明宏(現美輪明宏):地獄のマヤ
- 新高恵子:娼婦みどり
- ゴライアス:幻の肉体美
- 不詳:姉殺し
- 浅川マキ:階段の娼婦
- 鈴木いづみ:女医
- J・A・シーザー:長髪詩人
- 川村都:ダンス教師
- クニ河内:飛行機三兄弟(長兄)
- チト河内:飛行機三兄弟
- 川筋哲郎:飛行機三兄弟
- 下馬二五七:金さん(隣人の男)
- 昭和精吾:サッカー部主将
- 狼情次:タックル
- 原本由起夫:にんじん
- 島田和明:猛牛
- 虫明亜呂無:友を求む中年男
- 島内三秀:友を求む中年男
- 桝田隆治:友を求む中年男
- 蘭妖子:狐の面の女(実は私の母)
- 天井桟敷:その他
- 東京キッドブラザース:その他
スタッフ
- 制作:寺山修司、九条映子
- 監督・脚本・原作:寺山修司
- 助監督:臼井高瀬
- 撮影:鋤田正義、仙元誠三
- 演出グループ:萩原朔美、竹永茂生、前田律子、東由多加
- 音楽・作曲:下田逸郎 、J・A・シーザー、柳田博義、クニ河内、田中未知、加藤ヒロシ、荒木一郎、石間ヒデキ
- 美術:林静一、榎本了壱
- 編集:浦岡敬一
- 録音:大橋鉄夫
- スクリプター:仙元誠三、鋤田正義、荒木経惟、森山大道
- 照明:水村富夫
パンフレット
サウンドトラック
- ピース,ダダダ(詞・寺山修司/東由多加、曲・石間ヒデキ/下田逸郎)
- 花いちもんめ(曲・下田逸郎)
- あなたの思い出(詞・東由多加、曲・下田逸郎)
- 健さん愛してる(詞・寺山修司、曲・クニ河内、唄・川筋哲郎)
- 親父なんか大嫌いだのロック(詞・寺山修司、曲・石間ヒデキ)
- 母捨記(詞・森忠明、曲・加藤ヒロシ)
- 東京巡礼歌(詞・竹永茂生、曲・J.A.シーザー)
- フリーダム(詞・寺山修司、曲・J.A.シーザー)
- あるボクサーの死(詞・寺山修司、曲・田中未知)
- 1970年8月(詞・竹永茂生、曲・J.A.シーザー)
- 息を殺してる(詞・東由多加、曲・下田逸郎)
- エンディング・テーマ(詞・寺山修司、曲・クニ河内)