カストラート (映画)
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テンプレート:Infobox Film 『カストラート』(伊Farinelli Il Castrato, 英Farinelli)は、実在したバロック時代のカストラート歌手 ファリネッリの生涯を描いた伝記映画である。1994年製作。イタリア、ベルギー、フランス合作。ジェラール・コルビオ監督。
ストーリー
出演
- ファリネッリ(カルロ・ブロスキ) - ステファノ・ディオニジ: カストラートとして人気の歌手。
- テンプレート:仮リンク - エンリコ・ロー・ヴェルソ: ファリネッリの兄。作曲家。
- アレクサンドラ・レリス - エルザ・ジルベルスタイン: ファリネッリと愛し合うようになる女性。
- マーガレット・ハンター - カロリーヌ・セリエ: 「貴族オペラ」のパトロン。アレクサンドラは姪。
- ベネディクト - ルノー・デュ・プルー・ドゥ・サン・ロマン: マーガレットの息子。難病を患っている。
- ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル - ジェローン・クラッベ: 高名な作曲家。コヴェント・ガーデン劇場の音楽監督。
- ニコラ・ポルポラ - オメロ・アントヌッティ: ファリネッリの師。「貴族オペラ」を任され、ヘンデルと競い合う。
音響技術
この映画の製作には、フランスの電子音楽研究機関であるIRCAMが技術面で多大に貢献している。
映画なので主役ファリネッリの演技は役者が口パクをしたものを撮影し、裏で本職の歌手が声を当てるのだが、本物のファリネッリがレパートリーとしていた曲は、現在のカウンターテナーには声の高さと声質の問題で歌えない。そこでその歌を2分割して、高音域は女声のソプラノ歌手、低音域は男声のカウンターテナーが担当して、2パート分の録音を用意した。その後IRCAMが音声変換を担当して、女声ソプラノの部分の音声フォルマントを男声歌手の声質に近づけ、映画の画面と合成した。これによって映画では、あたかも男の声で超高音域が歌われているかのように聞くことができる。
IRCAMでは、このとき音声変換に使われたコンピュータを同じく "Farinelli" と名付けた。現在はもはや稼動してはいないが、IRCAMの歴史を担った名機として保管されている。[1]
史実との違い
映画賞
- 第52回ゴールデングローブ賞(1994年度)外国語映画賞