鶯谷
鶯谷(うぐいすだに)は東京都台東区の地名。東日本旅客鉄道(JR東日本)山手線・京浜東北線の鶯谷駅を中心とした地域。
概要
行政上は「鶯谷」という地名は存在しない。駅東側にはラブホテルがあり、かつて文人が多く住んだことで知られる根岸の里がある。根岸2丁目には子規庵、中村不折の書道博物館がある。西側には寛永寺・上野公園が広がり、近くには江戸の風物詩・朝顔市の入谷鬼子母神がある。
江戸時代は寛永寺領であったため上野・根岸・根津に渡って多数の寺院が残っており高層ビルや高層マンションが少ない。鶯谷駅からは上野公園、上野桜木なども徒歩五分ほどである。
鶯谷駅南口はエレベーター設置などの改修工事がすすんでいる。南口には東京芸大や専門学校の学生、上野公園散策のカップル、墓参りの老人などが多く、東京キネマ倶楽部やダンスホールではアイドルなどが公演を行ったりしており、それらのファンでごった返していることも多い。
地名の由来
江戸時代に寛永寺の住職として、代々京都から皇族が駐在していた。その一人である公弁が、元禄年間に「江戸の鶯はなまっている」といって当時の文化人・尾形乾山に京都から鶯を運ばせて、この地域に鶯を放し、鶯の名所になったことに由来する。
歴史
下町の別荘地帯といわれた根岸は、江戸時代から多くの文人が住んでいた。陸奥宗光の別邸も根岸にある 。
根岸1丁目から3丁目のあたりは、明治期から昭和初期の間、正岡子規ら著名な文学人が多数住んでおり、根岸党という下谷根岸に集まった文学人のサロンもあった。根岸4丁目は花街の名残として、古い料亭が残る。
- 正岡子規の鶯谷についての俳句「妻よりも妾の多し門涼み」
- 柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺(かきくへば かねがなるなり ほふりうじ)、
- 松山や 秋より高き 天主閣(まつやまや あきよりたかき てんしゅかく)、
- 春や昔 十五万石の 城下哉(はるやむかし じふまんごくの じゃうかかな)、
- 牡丹画いて 絵の具は皿に 残りけり(ぼたんえがいて ゑのぐはさらに のこりけり)、
- 山吹も 菜の花も咲く 小庭哉(やまぶきも なのはなもさく こにはかな)、
- をとゝひの へちまの水も 取らざりき(をととひの へちまのみづも とらざりき)、
- 風呂敷を ほどけば柿の ころげけり(ふろしきを ほどけばかきの ころげけり)、
- 柿くふも 今年ばかりと 思ひけり(かきくふも ことしばかりと おもひけり)、
- 紫の 蒲團に坐る 春日かな(むらさきの ふとんにすはる はるひかな)
治安
警視庁の犯罪情報マップによると、山手線の他駅と比べても治安は悪くない。上野駅入谷口~鶯谷駅~入谷駅のエリアは警察のパトロールと監視カメラが強化されている。鶯谷駅構内でのキャッチセールスなども固く禁じられておりこれらの行為を目にする事もない。
駅正面にラブホテルがあることから五反田、新宿、池袋などと同じ風俗街があると思われているが、実際には風俗店舗そのものはない。その反面、無店舗型風俗のデリヘルについては多数存在する。またラブホテルが多いイメージがあるが線路に沿ってあるだけで、新宿、池袋、渋谷などと比べると圧倒的に少ない。
備忘録
笑福亭鶴光のコミックソング「うぐいすだにミュージックホール」で有名になった。