サンドブラスト
サンドブラスト(英語 Sandblasting)とは、ショット・ブラストの一種で、表面に砂などの研磨材を吹き付ける加工法のことである。工業的技術。1870年、船舶用の錆取り用としてアメリカ合衆国のティルマン(B.C.Tilghman)により考案された。
概要
主に、コンプレッサーによる圧縮空気に研磨材を混ぜて吹き付けるが、細かい部品を加工する際には、より大量の研磨材を効率よく吹き付けるためにサンドブラスターという作業箱の中で加工する。
サンドブラストのサンドとは砂を意味するが、元々は砂(sand)が風(blast)で飛び、擦れて岩などが削れてゆく様を見て発明されたという説がある。
錆取り・塗装剥がし・下地処理のほか、近年では、回路・IC・電子・電気等の部品・配線加工などで使われる。また、鋳物、陶磁器、ガラス工芸品、石材などに表面処理、装飾、彫刻を施す為にも用いられる。
大型加工では、古いオートバイのエンジンブロックを丸ごとサンドブラストに掛け、新車当時の輝きを取り戻すサービスを提供する業者も存在する。
サンドブラストは、元々は硅砂などが多用されており、今日でも使用されているが、近年のサンドブラストに使われるサンド(研磨材)はアルミナやガラスビーズなどが多く使用されているが、ナイロンなどの樹脂系やクルミの殻や桃の種のなどの植物系などもあり、研磨材のバリエーションも多く、用途も多様化されている。 また、サンドブラストは「削る」「叩き落とす」などが最も多い処理であるが、近年では「磨く」という処理が可能なものもある。
ガラス工芸としては、表面彫刻・加飾の方法や加工後の擦りガラス状態等が、化学腐食のエッチングに似ていることから、20世紀になって用いられだした。 文字や絵柄を残したい部分のみマスキングを外し(もしくは掛け)、サンドブラストを行なうと、対象部分がすりガラスとなって残る。グラスのような記念品等の名入れ等でも利用される。近年は、従来のフッ酸混合液(フッ化水素酸と硫酸の混合液)による腐食(エッチング)と比べて、安全性、生産性にすぐれ、設備の小型化も進んだことから個人でも導入可能な簡易性・加工性等もあり、サンドブラスト加工の品も「エッチング」と呼称されガラス工房や作家において普及している。
ガラスエッチングと表記される事も多いが、エミール・ガレ等のそれとは歴史的にも技術的にも全くの別工法である。
石材加工にも応用されており、現在、墓石の文字入れは、彫らない表面をゴムシートで覆った上で、サンドブラストによって行うのが主流となっている。ゴムシートには、パソコン上でデザインをした文字をレーザーカッターなどで切り抜いておく。