ドン・キホーテ (交響詩)

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テンプレート:ウィキポータルリンク 交響詩ドン・キホーテ』作品35はリヒャルト・シュトラウスの管弦楽作品。副題を「大管弦楽のための騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲」といい、ミゲル・デ・セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」に基づいて書かれた。卓抜した管弦楽法もさることながら、独奏チェロ・独奏ヴィオラが活躍することでも有名であり、それぞれ主人公のドン・キホーテと従者のサンチョ・パンサの役を演じている。

曲の構成

原作については小説「ドン・キホーテ」を参照のこと。ニ長調を中心の調とする。

  • 序奏
ラ・マンチャの村に住む男が騎士道の本を読んで妄想にふけり、自分が騎士ドン・キホーテであると思い込んでいく。
  • 主題
ドン・キホーテは従者サンチョ・パンサを引き連れ、冒険に出る。ドン・キホーテの主題が独奏チェロで、サンチョ・パンサの主題が独奏ヴィオラで奏される。
  • 第1変奏
ドン・キホーテは風車を巨人と思い込んで戦いを挑むが、風で風車が回り、地面に叩き付けられてしまう。風は弦楽器のトリルで表現される。
  • 第2変奏
ドン・キホーテは羊の群れを敵と勘違いして蹴散らす。羊は金管楽器フラッター奏法で示される。
  • 第3変奏
冒険が嫌になったサンチョ・パンサとドン・キホーテが言い合いをする。独奏チェロ・独奏ヴィオラの聴きどころである。
  • 第4変奏
ドン・キホーテは、懺悔者の一行が携える聖像を誘拐された貴婦人だと思い込み、助け出そうとして一行に突入するが、叩き付けられて失神してしまう。
  • 第5変奏
ドン・キホーテは、架空の恋人ドルシネア姫への思いに耽る。
  • 第6変奏
ドン・キホーテは、通りかかった不器量な田舎娘をドルシネア姫だと信じ込むが、娘は気味悪がって逃げてしまう。
  • 第7変奏
女たちにからかわれ、だまされて目隠しをしたドン・キホーテとサンチョ・パンサは、乗せられた木馬を魔法の馬だと信じて、巨人退治に夢中になる。ウィンドマシーンによって架空の飛行が奏される聴き所である。持続低音が、実際は地面に止まったままであることを表している。
  • 第8変奏
川岸で櫂のない小舟を見つけた二人は、それにのって囚われの王子を救出に向かうが、水車に巻き込まれて転覆し、ずぶぬれになってしまう。滴る水を弦楽器ピッツィカートが表現している。
  • 第9変奏
ドン・キホーテは二人の修行僧(2本のファゴット)を悪魔と勘違いして襲いかかる。驚いて修行僧たちは逃げるが、ドン・キホーテとサンチョ・パンサは意気揚々と旅を続ける。
  • 第10変奏
ドン・キホーテを妄想癖から治そうと、彼の友人カルラスコが騎士に扮して、決闘を挑む(トランペットで表現される)。ドン・キホーテはついに冒険をあきらめ、寂しく村に帰る。
  • 終曲
ドン・キホーテは故郷の村で死の床にある。ドン・キホーテは静かに自分の生涯を回想する。チェロのグリッサンドによって彼の死が示される。

楽器編成

演奏形態

交響詩『ドン・キホーテ』の独奏チェロパート はチェロのもつ雄弁な性格をうまく表現しており、チェリストにとって重要なレパートリーなのだが、あくまで交響詩であるがゆえチェロ協奏曲のような演奏効果をもたらさない。この曲の主題が、大オーケストラにドン・キホーテが無謀にも立ち向かうという構造になっているためもある。一方卓抜した管弦楽法により多彩に鳴り響くオーケストラは聴きものであり、指揮者の解釈によっては独奏チェロがあまり目立たない演奏を好む。ヴィオラ独奏はチェロ独奏よりもさらに目立たないが、低弦でのユーモラスな動きや中音から高音域にかけての伸びやかな音色などヴィオラの持つ個性をうまく表現している。

以上により、実際の演奏では、以下のような形態がある。

  • 独奏チェロ・独奏ヴィオラ両方にソリストを招く場合
  • 独奏チェロにソリストを招き、独奏ヴィオラはオーケストラの首席奏者が演奏する場合
  • 独奏チェロ・独奏ヴィオラ両方をオーケストラの首席奏者が演奏する場合

外部リンク

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