女の墓を洗え

テンプレート:Portal 『女の墓を洗え』（おんなのはかをあらえ）は、推理作家横溝正史が著そうとしていた長編推理小説であるが、他界したため執筆されなかった。

プロット

昭和43年、等々力警部が犯人を検挙するが、金田一耕助が疑問をもって調べだしたため、耕助と等々力警部がライバル関係に。

本作をめぐる誤解

以下の設定は後人による俗説であり、生前の横溝正史が語ったことではない。

『成城に住んでいる、ある有名な歌舞伎俳優が、その江戸時代にまで遡った祖先の怨念から殺人事件が起こる』

正史の長男である横溝亮一の回想による。ただし正史は、「悪霊島」執筆後、このような設定の話を書きたいと漏らしただけであり、本作のことであるとは明言していない。「千社札殺人事件」以降の次回作の構想である可能性も残っている。

『この事件は、貸しボート十三号で触れられている通り、神門一族の冤罪事件であり、検察当局の握っている証拠が、悉く罠であることを耕助がいちいち反証をあげて証明し、結果、もののみごとにひっくりかえった事件となる』

横溝正史研究の浜田知明が提唱した説であるが、横溝正史がそのように語った典拠は存在しない。むしろ、中島梓との対談で、本作の時代設定を「悪霊島」翌年の昭和43年とする予定であると語ったことがあり、本作を神門一族の冤罪事件とするには無理がある。

しかしながら、この説は「金田一耕助99の謎」「金田一耕助The Complete」「僕たちの好きな金田一耕助」などの研究本においても、出典の検証を行うことなく引用されるなど、さも事実であったかのように流布しており、横溝正史研究に好ましくない影響を与えている。

解説

『野性時代』1980年1月に「悪霊島」連載終了とともに、次作長編探偵小説「女の墓を洗え」（仮題）の構想を練っており、エッセイ「金田一耕助との対話」1979年（昭和54年）6月30日の朝日新聞夕刊に今後の予定として挙げられていることから、次の連載は『女の墓を洗え』だったと思われるが、横溝正史の死去に伴い、『千社札殺人事件』とともに、永遠に読むことが叶わなくなった。テンプレート:Asbox