郵便配達は二度ベルを鳴らす
テンプレート:Portal 文学 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(ゆうびんはいたつはにどベルをならす、原題:The Postman Always Rings Twice)は、1934年に出版されたジェームズ・M・ケインの小説である。彼の初めての小説になる。
共謀して夫を殺した妻とその愛人の関係を描いているが、過激な性の暴力の描写が話題になった。実際の事件が元になっているという。
1946年にはケイン自身がこの作品を戯曲化し、ブロードウェイで上演もされた。
あらすじ
米国カリフォルニア。無頼の青年フランク・チェンバースは、パパダキスというギリシア人が経営するガソリン・スタンド兼レストランで働き始めるが、それは店主の美しい妻コーラに惹かれたためであった。多情な女コーラはすぐにフランクと関係を持ち、夫を殺害する計画を練る。自動車事故に見せかけて、うまくパパダキスを殺すことには成功するが、検事サケットは二人を疑い、パパダキスに保険金がかかっていたことから窮地に陥るが、弁護士カッツの巧みな手腕で、容疑をコーラにのみかぶせ、保険会社との取引で無罪とする。 二人の甘い生活が始まったかに見えたが、今度は本当に自動車事故でコーラが死んでしまう。フランクはコーラ殺しで告発され、パパダキス殺しについても告発され(前回告発されていたのはコーラのみのため、一事不再理は適用されなかった)、死刑を宣告される。
映画化
これまで4度映画化されている。
- 1939年:ピェール・シュナール監督、フェルナン・グラベ、コリンヌ・リュシエール、ミッシェル・シモン主演で LE DERNIER TOURNANT(最後の曲がり角)と言うタイトルで映画化された。舞台をフランスのパパスに移されている。
- 1942年:ルキノ・ヴィスコンティ監督。舞台はイタリアになっており、彼の初監督作品である。出演はマッシモ・ジロッティとクララ・カラマイ。詳細は郵便配達は二度ベルを鳴らす (1942年の映画)を参照。
- 1946年:テイ・ガーネット監督。ジョン・ガーフィールド、ラナ・ターナー主演。日本では劇場公開されなかった。詳細は郵便配達は二度ベルを鳴らす (1946年の映画)を参照。
- 1981年:ボブ・ラフェルソン監督。ジャック・ニコルソン、ジェシカ・ラング、マイケル・ラーナーなどが出演している。詳細は郵便配達は二度ベルを鳴らす (1981年の映画)を参照。
タイトル
この作品中に郵便配達は登場しない。この作品は13社から出版を断られ続けた。14社目で採用が決まった際、出版社からタイトルはなんとつけるかと尋ねられたケインは、出版社からの返事の手紙を届ける郵便配達が2度ベルをならすので郵便配達だとわかることを引き合いに出してこのタイトルに決めたと言われるが、どういう経緯で郵便配達のことを思い出したかについては諸説出ている。
日本語では、1953年に飯島正の訳で荒地出版社から『郵便配達はいつもベルを二度鳴らす』という題名で出版されたが[1]、その後、1960年代に田中西二郎の訳した『郵便配達は二度ベルを鳴らす』という題名が普及し[2]、以降に映画の各作品が日本公開される際にはこのタイトルが用いられた。1981年に出版された小鷹信光の新訳では、『郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす』とされた[3]。
書誌情報
- 郵便配達は二度ベルを鳴らす(田中西二郎訳 / 1961年 東京創元社 『世界名作推理小説大系』19 所収 / 1995年10月 新潮文庫)
- 郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす(小鷹信光訳 / 1981年11月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 郵便配達は二度ベルを鳴らす(中田耕治訳 / 1981年11月 集英社文庫)
- 郵便配達は二度ベルを鳴らす(池田真紀子訳 / 2014年7月 光文社古典新訳文庫)
出典・脚注
テンプレート:Asboxテンプレート:Asboxpt:The Postman Always Rings Twice ru:Почтальон всегда звонит дважды (фильм)