おひたし
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おひたし(別名:御浸し、ひたし、ひたし物)とは、調理法の1種である。出汁に浸す過程より派生した調理名であるが、この工程は省かれることも多く、単に茹でた食材に醤油をかけたものも、おひたしと呼ばれる。
概要
歴史
古くは浸物と表記された[1]。奈良時代の文書からもこの調理法があったことが推定されているが、戦国時代の永正14年(1517年)の記録に「ヒタシ物」という語句が出現する[2]。江戸時代には煎り酒や酢で味付けする物や原料にアワビやいりこ、くらげなどの海産物を用いた物も存在したが、明治以後には野菜を醤油で味付けする形式が主流となった。
茨城県土浦で盛んであった醤油作りより、次のような説がある。筑波山は紫色に見えることから紫峰と呼ばれている。筑波の良質な大豆を使った醤油作りが茨城南部(土浦中心)に栄えた。すし屋の隠語で醤油を「むらさき」と呼ぶが、これは通人が筑波山麓の土浦で作られた高級な醤油を指して呼んだものと考えられる。高級な醤油の為「お常陸もの」と呼ばれるようになり、茹でた青菜などに醤油をかけて食べるものも、この「おひたち」が変化し「おひたし」あるいは「おしたじ」となったというテンプレート:要出典。
調理法
揚げ浸し
ナスなど茹でずに油で揚げて熱湯をかけて油抜きしたものを調味した出し汁に浸したものも、おひたしの一種であり、この場合はとくに揚げ浸し(あげびたし)という。