アレック・ギネス
アレック・ギネス(Sir Alec Guinness, CH, CBE、1914年4月2日 - 2000年8月5日)は、イギリスの俳優。
来歴
ロンドンにて母アグネス・カフ(Agnes Cuff、アレックの出生証明書の署名では「Agnes de Cuffe」となっていた)のもとに生まれる[1]。出生名はアレック・ギネス・ド・カッフィ(Alec Guinness de Cuffe)。アグネスの私生児として生まれたため、出生証明書の父親の名前の欄は空白になっていた[2]。父親はスコットランド人の銀行家アンドリュー・ゲディス(Andrew Geddes、後にギネスの学費を支払った)と考えられているが、はっきりと分かってはいない[3]。
広告の仕事をしていたが演技に興味を持つようになり、オールド・ヴィック・シアターの舞台に立つようになった。第二次世界大戦後に本格的に映画に出演し始め、1964年には舞台『Dylan』でトニー賞を受賞。イギリスきっての名優として知られるようになった。
『The Horse's Mouth』でヴェネツィア国際映画祭 男優賞、『戦場にかける橋』でアカデミー主演男優賞を受賞。1980年には名誉賞も受賞している。また、『アラビアのロレンス』のファイサル王子や『スター・ウォーズ・シリーズ』旧3部作(エピソード4~6)でオビ=ワン・ケノービ役を演じたことでも知られている。だが、この『スター・ウォーズ』出演をギネスは死ぬまで後悔し、スター・ウォーズファンからの手紙は読まずに一切捨てたという[4]。
1970年代以降は個性的なバイプレイヤーとしての活躍も目立ち『名探偵登場』でのコミカルで怪しげな盲目の執事役や、『リトル・プリンス』の厳格ながら温厚な祖父役、更には『KAFKA/迷宮の悪夢』においても強面な上司役など演技面の幅広さとアクの強さを見せた。
1959年に大英帝国勲章を受章し、同年ナイトになった[5]。また1994年に舞台での長年の功績が称えられ、CHになった。
2000年に肝臓癌で死去。晩年は病により殆ど映画には出演しなかった。
プライベート
1938年に女優で劇作家のメルーラ・サラマンと結婚。1940年に息子マシュー・ギネスが生まれ、同じく俳優となった。
死後8ヶ月後の2001年4月に発表されたギネスの公式伝記本「Alec Guinness: The Unknown」では、1946年のリバプールの公衆トイレでゲーリー・オコナーという人物と同性愛行為を行ったとして逮捕、10ギニーの罰金を受けたことを明らかにしている。事件自体はギネスが裁判所や警察に根回しをし、公表には至らなかったという。伝記の執筆者であるイギリスの作家ピアーズ・ポール・リードは逮捕自体は同時期に逮捕されたジョン・ギールグッドの例と同じく、事実無根の不名誉逮捕だったとしながらも(イギリスでは1967年に性犯罪法が制定されるまで同性愛者であることそれ自体が犯罪であり、発覚すれば社会的信用を失いかねなかった)、ギネスの性的指向がバイセクシャルであったことについては認めている[6]。
主な出演作品
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1946 | 大いなる遺産 Great Expectations |
ハーバート | |
1948 | オリヴァ・ツイスト Oliver Twist |
フェイギン | |
1949 | カインド・ハート Kind Hearts and Coronets |
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1951 | ラベンダー・ヒル・モブ The Lavender Hill Mob |
ホランド | |
白衣の男 The Man in the White Suit |
シドニー・ストラットン | ||
1953 | 地中海夫人 The Captain's Paradise |
ヘンリー・セントジェームズ | |
マルタ島攻防戦 Malta Story |
ピーター・ロス | ||
1955 | マダムと泥棒 The Ladykillers |
マーカス教授 | |
白鳥 The Swan |
アルバート王子 | ||
1957 | 戦場にかける橋 The Bridge on the River Kwai |
ニコルスン隊長 | アカデミー主演男優賞 受賞 英国アカデミー賞 主演男優賞 受賞 ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門) 受賞 ニューヨーク映画批評家協会賞 主演男優賞 受賞 |
1958 | The Horse's Mouth | ヴェネツィア国際映画祭 男優賞 受賞 | |
1960 | ハバナの男 Our Man in Havana |
ジム | |
1962 | アラビアのロレンス Lawrence of Arabia |
ファイサル王子 | |
1964 | ローマ帝国の滅亡 The Fall of the Roman Empire |
マルクス・アウレリウス・アントニヌス | |
1965 | 戦場はどこだ! Situation Hopeless... But Not Serious |
ウィルヘルム・フリック | |
ドクトル・ジバゴ Doctor Zhivago |
エフグラフ | ||
1966 | ホテル・パラディソ Hotel Paradiso |
ベネディクト | |
さらばベルリンの灯 The Quiller Memorandum |
ポル | ||
1967 | 危険な旅路 The Comedians |
H・O・ジョーンズ | |
1970 | クロムウェル Cromwell |
チャールズ1世 | |
クリスマス・キャロル Scrooge |
|||
1972 | ブラザー・サン シスター・ムーン Fratello sole, sorella luna |
インノケンティウス3世 | |
1973 | アドルフ・ヒットラー 最後の10日間 Adolf Hitler: the Last 10 Days |
アドルフ・ヒットラー | |
1976 | 名探偵登場 Murder by Death |
ジェームズサー・ベンソンマム | |
1977 | スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望 Star Wars: Episode IV - A New Hope |
オビ=ワン・ケノービ | |
1979 | ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ Tinker, Tailor, Soldier, Spy |
ジョージ・スマイリー | テレビシリーズ |
1980 | スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲 Star Wars: Episode V - The Empire Strikes Back |
オビ=ワン・ケノービ | |
レイズ・ザ・タイタニック Raise the Titanic |
ジョン・ビガロー | ||
リトル・プリンス Little Lord Fauntleroy |
ドリンコート伯爵 | ||
1982 | Smiley's People | ジョージ・スマイリー | テレビシリーズ |
1983 | スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還 Star Wars: Episode VI - Return of the Jedi |
オビ=ワン・ケノービ | |
1984 | エドウィン/疑しき隣人 Edwin |
フェニモア・トラスコット卿 | テレビ映画 |
インドへの道 A Passage to India |
ゴッドボール | ||
1988 | Little Dorrit ... aka Nobody's Fault | ウィリアム・ドリット | |
1991 | ハンドフル・オブ・ダスト A Handful of Dust |
トッド氏 | |
KAFKA/迷宮の悪夢 Kafka |
事務所長 | ||
1993 | ノルマンディーの黄昏 Screen One: A Foreign Field |
エイモス | テレビシリーズ |
1994 | ミュート・ウィットネス Mute Witness |
||
1996 | エスキモー・デイ Eskimo Day |
脚注
外部リンク
- テンプレート:Imdb name
- テンプレート:IBDB name
- 1986 audio interview of Alec Guinness by Don Swaim of CBS Radio - RealAudio
テンプレート:ヴェネツィア国際映画祭 男優賞 1950-1969
テンプレート:アカデミー賞主演男優賞 1941-1960- ↑ GRO Register of Births: June 1914 1a 39 Paddington – Alec Guinness De Cuffe, mmn = De Cuffe.
- ↑ "Alec Guinness." Hollywood Walk of Fame (Hollywood Chamber of Commerce, Hollywood, California), 2011. Retrieved: 22 June 2011.
- ↑ "Alec Guinness biography." MSN Movies. Retrieved: 29 July 2007.
- ↑ "The shy introvert who shone on screen"-guardian.co.uk, Monday 7 August 2000 19.08 BST
- ↑ ‘Guinness, Alec (1914 - )’ 2000, in The Cambridge Guide to Theatre, Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom, viewed 22 June 2011, from Credo referenceテンプレート:Subscription required
- ↑ Piers Paul Read, Alec Guinness: The Authorised Biography, London, 2005