雪駄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
雪駄、雪踏(せった)は、竹皮草履の裏面に皮を貼って防水機能を与え、皮底の踵部分にプロテクター(後金)がついた履物(草履)の一種で、傷みにくく丈夫である。また、湿気を通しにくい。
歴史
諸説あるが、千利休が水を打った露地で履くためや、下駄では積雪時に歯の間に雪が詰まるため考案したとも、利休と交流のあった茶人丿貫の意匠によるものともいわれている。主に茶人や風流人が用いるものとされた。現代においては、男性が着物を着る場合はほぼ雪駄が用いられる。
江戸時代には江戸町奉行所の同心が必ずばら緒の雪駄を履いており、「雪駄ちゃらちゃら」(後金の鳴る音)は彼らのトレードマークだった。
最近までは、愛知県津島市が全国の雪駄生産の半分強を占めていたが、第一人者的職人の死去に伴って製作所が閉鎖されたため、今後はシェアの変動も考えられる。
80年代を生きた人(特にサーファー)はビーチサンダルのことを「セッタ」と呼ぶこともある。
近年では、雪駄表を模した型押しビニール表に鼻緒を固定し、革や合成底を接着した、軽装草履や軽装履と呼ばれる履物(右画像の物など)が出回っているが、これらの造りは雪駄よりもヘップサンダルに近く、主にカジュアルな洋装にあわせる履物として普及している。