環水平アーク
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環水平アーク(かんすいへいアーク、英語:circumhorizon arc、circumhorizontal arc)とは、大気中の氷粒に、太陽光が屈折し、ほぼ水平な虹が見える光学現象である。虹などと同じ大気光象の一種で、水平弧、水平環 とも呼ばれる。
「彩雲」と呼ばれる場合もあるが、回折により見られるいわゆる彩雲とは別の現象である。
概要
上空の氷の結晶の方向がほぼそろったときに、この結晶で屈折した太陽光により見える現象で、一般の虹が太陽とは反対の方向に見えるのに対し、環水平アークは太陽と同じ方向に、ほぼ水平に現れる。ただし、低空に雲があると見えない[1]。
内暈(ないうん:いわゆる太陽に暈(かさ)がかかる現象)に似るが、結晶の中での屈折の仕方により区別される。プリズムと同じく各色の光はそれぞれ特定の方向に進むため、最小偏角に光が多く進むことにより見られる内暈よりも明瞭に色が分離する。また、内暈は太陽を中心とする完全な円なのに対し、環水平アークは天頂を中心とする円の太陽に近い側の方位角にしておよそ108°しか見えない。太陽の下約46°の位置に出現するため、太陽高度がある程度高くないと見えない。そのため、冬の間や緯度の高い地域では見ることができない。
日本国内では年に数十回ほど観測される。本州太平洋岸で環水平アークが見える期間は、概ね夏至を挟んだ半年の間である。
日本で観測された例
- 2005年6月12日に群馬県で観測され、天文台などに不吉なことが起こる前兆ではとの問い合わせが寄せられた。
- 2005年7月20日10:30秋田と岩手にまたがる栗駒国定公園で観測された。栗駒山荘に写真が絵葉書として売られている。新聞にも掲載された。
- 2012年5月26日午前 埼玉県南部で観測された。
- 2014年4月12日午前11時頃、兵庫県姫路市立城北小学校で観測された。
- 2014年5月4日午前11時頃、愛媛県上浮穴郡久万高原町美川スキー場で観測された。[2]また、この日は東京、埼玉、和歌山、鳥取、徳島、高知など全国各地で環水平アークの観測が報告されている。
- 2014年5月4日午後0時30分頃、広島県庄原市口和町で観測された。
- 2014年5月4日午後1時頃、兵庫県姫路市青山で観測された。
- 2014年5月24日午前10時頃、新潟県広域で観測された。
2014年5月29日午前11時頃、札幌中央区大通りで観測