イナンナ
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イナンナ(シュメール語: 𒀭𒈹、翻字: DINANNA、音声転写: inanna)はシュメール神話の金星の女神で、ウルク文化期(紀元前4000年-紀元前3100年)からウルクの守護神として崇拝されていたことが知られている(エアンナ寺院に祭られていた)。夫にテンプレート:仮リンクをいただく。
呼称
その名は「天の女主」を意味するとされている。 アッカド帝国(en)期には「イシュタル」(新アッシリア語: DINGIR INANNA)と呼ばれた。
神話のなかのイナンナ
メソポタミア神話において、イナンナは神エンキの誘惑をふりきり、酔っ払ったエンキから、文明生活の恵み「メー」をすべて奪い、エンキの差し向けたガラの悪魔のその追跡から逃がれ、ウルクに無事たどりついた。エンキはだまされたことを悟り、最終的に、ウルクとの永遠の講和を受け入れた。この神話は、太初において、政治的権威がエンキの都市エリドゥ(紀元前4900年頃に建設された都市)からイナンナの都市ウルクに移行するという事件を示唆していると考えられる。
王権を授与する神としてのイナンナ
イナンナ神は外敵を排撃する神としてイメージされており、統一国家形成期には王権を授与する神としてとらえられている。なお、それに先だつ領域国家の時代、および後続する統一国家確立期においては王権を授与する神はエンリル(シュメール語: テンプレート:Cuneiform)であり、そこには交代がみられる[1]。
脚注
- ↑ 前田(2003)p.21
出典
- 前田徹『メソポタミアの王・神・世界観-シュメール人の王権観-』山川出版社、2003年10月。ISBN 4-634-64900-4テンプレート:Myth-stub