アカネ
テンプレート:生物分類表 アカネ(茜、Rubia argyi)はアカネ科のつる性多年生植物。分布は中国、朝鮮半島、日本。日本では本州、四国、九州に分布し、路傍や林の縁などでよく見かけることができる。根は乾燥すると赤黄色から橙色となり、赤い根であることからアカネと名づけられたといわれる。シノニムR. akane。
形態
四角い茎には細かいとげがあり、葉はハート型で4枚輪生するが、そのうち二枚は托葉が変化したもので(偽輪生)、実際は対生である。見分けるには枝分かれを見ればよく、枝が出ている方向の葉とその向かいの葉が本当の葉で、違う2枚が托葉の変化した葉である。春になると根から芽を出し、成長する。花期は夏から秋にかけてで、目立たない小さな花が咲く。晩秋には黒い果実をつけ、冬にはほとんど地上部は枯れてしまう。アカネの花は多数分岐した枝の先に咲く(写真参照)。果実は1つ、たまに2つくっついてできる。中には軟らかい果肉とやや硬い種子が一つ入っている。種子からの発芽は大体2月下旬から3月ごろ。
利用方法
アカネの名は「赤根」の意で、その根を煮出した汁にはアリザリンが含まれている。これを使った草木染めが古くから行われており、茜染と呼び、また、その色を茜色と呼ぶ。同じ赤系色の緋色もアカネを主材料とし、茜染の一種である。このほか黒い果実も染色に使用できるという。
現在では、アカネ色素の抽出には同属別種のセイヨウアカネ(西洋茜、R. tinctorum)が用いられることがほとんどである。セイヨウアカネは常緑で、葉は細長く6枚輪生。根が太く、アカネより収量が多い。色素の構成物質がアカネとは若干異なる。
染色用途のほかには、秋に掘り起こした根を天日で十分乾燥させたものを茜草根(せいそうこん)として、生薬に用いる。
アカネの文化
日本では上代から赤色の染料として用いられていた。ヨーロッパでも昆虫学者のジャン・アンリ・ファーブルがアカネ染色法の特許を取るなど、近代まで染料として重要視されていた。
関連項目
- 茜色
- 緋色
- 纁
- 赤坂 (東京都港区) - アカネが群生していたことから、古くは『茜坂』と呼ばれていた。
外部リンク
- アカネ:植物雑学辞典
- アカネ(茜草) 江戸時代の植物図鑑(長野電波技術研究所)