Cフォント
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Cフォントは、写研の専用組版機で使用されるフォント形式。CはContour(輪郭)を意味する。文字の輪郭をスプライン関数の情報として持ち、拡大しても綺麗な文字が表示できる。文字のランの差分を情報として持つDフォントの後継として開発され、1983年に発表された日本初のアウトラインフォント。
背景
手動写植機の文字盤に代わり、電算写植や電子組版機では文字はデジタルデータ化されたが、そのまま版下や清刷として使用するには制約があった。当時使われていたデジタルフォントが基本的にはビットマップフォントであったからである。ドット数を上げることで解像度を高くし、本文用としては実用的な精度が確保されてはいたが、本文から見出しまで級数を変化させることのできる手動写植機と比較すれば一種の後退であったともいえる。
その問題を解決すべく開発されたのがアウトラインフォントであるCフォントであった。文字の輪郭をベクトルデータとしてもっていることから、拡大縮小が自在であった。またSKコードと呼ばれる文字コードで管理され、約2万字を包括する。
概要
写研は同社が字母を所有する書体(いわゆる“写研書体”)およびそのフォントに関して、クローズドな環境を構築しており、2000年に登場した組版システム・Singis(シンギス)は組版作業に特化した日立製コンピュータとWindows NT上で動作する組版専用プログラムの組み合わせといえるが、専用フォーマットであるCフォントとして搭載されている“写研書体”に対して、汎用のソフトウェアからはアクセスすることができない(OSの管理下にある汎用の「フォントフォルダ」ではなく専用フォントとして写研独自のディレクトリに収められている)。ただし、PDFへのエンベッドのみは可能となっている。
搭載機種
- 1983年 - 新聞向けレーザー出力機サプルスN
- 1985年 - Cフォントと命名。サプトロン・ジミィ(フィルム・刷版出力機)
- サゴメスTL(普通紙出力機)
- サイバートH(組版機) - 日本語組版環境にWYSIWYGを導入
- テレビ写植用の「TELOMAIYER-C」にも搭載されていたが、その後継機となった「TELOMAIYER-C1」への搭載は見送られ、タショニムフォントが搭載された。