Xcode
テンプレート:Infobox Xcode(エックスコード)は、ソフトウェアを開発するためのアップルの統合開発環境 (IDE) であり、Mac OS Xに付属する形で配布されている。Mac OS X v10.3のリリースと共に2003年10月24日に初めて紹介されたこのソフトは、NeXTの資産を受け継ぐ、Mac OS Xの初期 IDE「Project Builder」を進化させる事となった。
Macintosh (OS X) にて、Mac OS XあるいはiOS用のアプリケーションを開発する場合、またソースコードで配布されているUNIX用ソフトウェアをインストールする場合に、Xcodeが必要になる。初期状態ではXcodeはインストールされておらず、Mac App Storeからの無料ダウンロードでインストールを行う。
目次
特徴
Xcode はユーザインタフェースを作成するために使用するグラフィカルツール、Interface Builder(NeXT社の資産)と協力しながらソフト開発の作業をこなしている。
Xcode はGNU Compiler Collection (GCC) を含み、Cocoa, Carbon、Javaに制限されることなく、多様なプログラミング・モジュールを含むC、C++、Objective C++、Java、AppleScript、そしてオブジェクト指向記述言語 Objective-C ソースコードをコンパイルできる。サードパーティは GNU Pascal [1]、Free Pascal [2]、Ada [3] 向けの追加サポートを行っている。
Xcodeは主にプロジェクト管理、コード編集、デバッグを行う為のソフトである。この他にクラスブラウザやドキュメントブラウザなどが統合されている。DelphiやVisual Basicと異なり単体ではRAD的なツールではないが、Interface Builderとよく連携しており、簡易なテキストエディタなどであれば一行のコードも書く事なく開発できる。
distccによる分散ビルドをサポートし、Bonjourによるネットワーク検索及び構築を行う。
さらに10.4付属のVersion 2.0からはCore Data/WebObjectsで用いるUMLに準じたモデルエディタが統合された。
ファイル管理は同社のiTunesなどに準じた形式でやや癖があるが、全体としてはよく整理されており、比較的プログラマ臭のしないツールである。
その他の特徴としてZeroLinkが挙げられる。これはコンパイル後のリンク過程を実行時まで遅延することで高速なソフトの再起動を行なうもので、DelphiやC#ほどではないが、かなりの速度でソフトを再構築できる。
Xcode バージョン歴
2.0
Xcode 2.0 は Mac OS X 10.4 Tiger と共に、2005年4月29日にリリースされた。
- Mac OS X SDK サポート利用による Mac OS X v10.1、Mac OS X v10.2 (Jaguar)、Mac OS X v10.3 (Panther)、および Mac OS X v10.4 (Tiger) 向け開発サポート。
- GCC コンパイラの新しいバージョン(4.0)が含まれる。
2.1
Xcode 2.1 は WWDC 2005 にて2005年6月6日にリリースされた。
- Mac OS X SDK サポート利用による Mac OS X v10.4.1 上での PowerPC 及び インテル設計のためのユニバーサル・バイナリ (Universal binary) 制作サポート。
- WebObjects開発ツールがオプションでのインストールで Xcode ツールに追加される。
2.2
Xcode 2.2 は2005年11月11日にリリースされた。
- gcc が 4.0.1 にバージョンアップ。
- 日本語リソースが再び含まれるようになった。
- Deployment ビルドがクラッシュした際にもデバッガに接続してくれるようになった。ただしデバッグシンボルが存在しないため、スタックトレースのみとなる。
2.2.1
Xcode 2.2.1 は2006年1月10日にリリースされた。
- バグ修正: Xcode IDE、cctools、デバッガ、コンパイラのバグが修正された。
- Mac OS X 10.4.4での開発のために10.4u SDKに更新された。
- CHUDが4.3.0に更新された。
2.3
Xcode 2.3 は2006年5月23日にリリースされた。
- DWARFデバッグフォーマットに対応し、デバッグ精度とディスク利用効率の向上を実現した。
- 新しい分散ネットワークビルド (New Distributed Network Build, DNB) によるスケーラブルなビルドアーキテクチャ。
- Xcode IDE、ビルドシステム、Code Senseの安定性と性能の向上。
2.4
Xcode 2.4 は2006年8月7日にリリースされた。
- 64-bitのIntel Mac上での開発をサポートするようになり、IntelとPower PCの両CPUでの32、64 bitの、計4つのアーキテクチャのアプリケーション開発を可能とするようになった。
- DWARFバイナリのデバッグ時の著しい段階的な動作が切り詰められ、分散ネットワークビルドにも修正が加えられた。
- Mac OS X v10.4.7での開発のために10.4u SDKも更新された。
- CHUDが4.4.0に更新された。
2.4.1
Xcode 2.4.1 は2006年11月1日にリリースされた。
- DWARFデバッグにおける幾つかの問題を解決し、総合的な安定性と安全性を向上させた。
- CHUDが4.4.3に更新され、Xcodeとは独立してリリースされるようになった。
- 10.3.9 SDKと10.4u SDKも更新された。
2.5
Xcode 2.5 は2007年9月5日に、Mac OS X v10.5 Leopardに先駆けリリースされた。
- Mac OS X v10.4と10.5において起動可能。しかしMac OS X v10.5上では一部の機能が制限を受ける。
- Mac OS X v10.5をターゲットとした開発環境ではなく,Xcode 3.0へのプロジェクトの移行を目的とする。
- Mac OS X v10.2.8とMac OS X v10.3.9、Mac OS X 10.4のOSにおけるユニバーサルアプリケーションを開発対象とする。
3.0
Xcode 3.0 は2007年10月26日にMac OS X v10.5 Leopardと共にリリースされた。
- Mac OS X v10.5において起動可能。それ以前では動作しない。
- Objective-C 2.0での開発が可能となり、Xcode 3.0自体もObjective-C 2.0で開発されている。
- GarageBandと似たユーザインタフェースを持つInstrumentsというパフォーマンスツールが付属する。
- Mac OS X v10.5からMac OS X v10.3.9までのOSを対象としたアプリケーション開発環境として推奨されている。
3.1
Xcode 3.1 は2008年7月11日にリリースされた。
- iPhone OSのようなMac OS X以外をターゲットとするSDKがサポートされた。
- Mac OS X v10.5向けの開発においてGCC 4.2またはLLVM GCC 4.2がオプションで使用できる。
3.1.2
Xcode 3.1.2 は2008年11月24日にリリースされた。
3.1.3
Xcode 3.1.3 は2009年6月17日にリリースされた。
3.1.4
Xcode 3.1.4 は2009年9月10日にリリースされた。
3.2
Xcode 3.2 は2009年8月27日にリリースされた。
- Mac OS X v10.6においてのみ動作する。
- Mac OS X v10.6からMac OS X v10.4までのOSを対象としたアプリケーションを開発できるが、デフォルトではMac OS X v10.4のサポートは有効にされない。
- Mac OS X v10.6向けの開発においてGCC 4.2がデフォルトになった。
4.0
Xcode 4.0 は2011年3月9日にリリースされた。
- Mac App Storeで600円で販売される(Developer Programsの会費を払っている場合は無料でダウンロードできる)。
- Mac App Store で Mac OS X v10.7 を購入した場合も無料となる。
4.0.1
Xcode 4.0.1 は2011年3月25日にリリースされた。
- 起動に失敗する問題を修正。
4.1
デフォルトコンパイラが gcc から llvm-gcc 4.2 になった。値段が600円から無償になった。
4.2
デフォルトコンパイラが llvm-gcc から llvm 3.0 になった。
4.3
各種ツールセットが単一の Xcode として配布されるようになった。
4.4
OS X 10.8 対応。
4.5
iOS 6 対応。
4.6
iOS 6.1 対応。
5.0
Xcode 5.0 は2013年9月18日にリリースされた。
- iOS 7.0 SDK のサポートが追加された。
- ツールバーが小さくなってフラットデザインになるなどのユーザインタフェースの改良も行われた。
- 新規プロジェクトの作成からはARCのメモリ管理がデフォルトで採用されるようになり、ARCがオプション扱いではなくなった。
- 実行時にデバッグエリアにメモリやCPUの使用状況が表示されるようになった。
- OpenGL ES 3.0のサポートが追加された。
- Xcode 4.xでは自動的に追加されていたAuto Layoutの制約が、自動的には追加されなくなっている。
5.1
Xcode 5.1 は2014年3月10日にリリースされた。
- iOS 7.1 SDK のサポートが追加された。
- 全てのconstraintタイプをサポートする新しいAuto Layout constraint inspectorが追加された。
- カスタムオブジェクトタイプのためのデバッガーのQuick Lookサポートが追加された。
- Instruments内でのsymbol解決能力が向上した。
- iOS standard architecture settingsに64 bitを含むよう更新された。
- 不具合と安定性が向上した。
レファレンス
- Xcode2 入門 柴田文彦 毎日コミュニケーションズ ISBN 4-8399-1880-5
関連項目
外部リンク
テンプレート:Integrated development environments テンプレート:OS Xテンプレート:Asbox