環状星雲
環状星雲[1](Ring Nebula 、M57、NGC6720)はこと座にある惑星状星雲である。地球からの距離は約2600光年。リング状の特徴的な姿をしており、惑星状星雲の中では最も有名な天体の一つで、「リング星雲」「ドーナツ星雲」の別名がある。惑星状星雲としてはM27に次いで発見された。
1779年フランスのダルキエが口径約3インチの望遠鏡で彗星を観測していて偶然に発見し「大きさは木星ほどで、惑星をうすめたような感じで、ぼんやりしているが輪郭ははっきりしている」と記している。数日後シャルル・メシエも同じ彗星を観測中に発見し「γとβの間にあり、光のシミのよう。ここを通過した彗星の追跡中に見つけたが、形はまるく非常に微かな星から構成されているに違いない。しかし、良機でこれらの星をはっきりさせることはできず、ただの推測に過ぎない」と記している。両者ともリング状の形態を観測していない。ウィリアム・ハーシェルは「穴の開いた星雲で、中心部に暗い星があり、おそらく星からできたリングであろう。楕円形で長短軸の比は83:100点この光は分解される性質のもので、北側には3個の非常に微かな星、そして南の部分は1~2個の星が見られる」とした。ジョン・ハーシェルは「環の内部は、微かではあるが星雲状の光で満たされており、タガの上にガーゼを貼った感じがする」とした。ロバート・ポールは「たばこの煙でできた環のようだ。中に穴のある星雲」とした。ウィリアム・パーソンズは「とくに短軸方向は分解されそうな気配を示し、そこに隙間があり、空間に入り込む枝状のもので破損しているように見える」とした。
小口径の望遠鏡でも見ることができる。口径5cmの望遠鏡でリング状になっていることは確認できる。口径8cmの望遠鏡では楕円形になっていることがわかり、15cmでとがっている先がすこし暗くなっていることがわかり、20cmでさらに輪郭が明らかになってくる。中心星(15等級)を見るには最低でも口径30cmの望遠鏡を必要とする。
カラー撮影するとリングの内と外で異なった色をしていることが分かる。
特徴
星雲の中心には白色矮星が存在し、この星から数千年前に放出されたガスが白色矮星からの紫外線を受けて蛍光灯のように輝いている。リング部分の青い色はヘリウム、緑色は酸素、赤色は窒素の輝線スペクトルである。
出典
- ↑ メシエ天体ガイドM57AstroArts