大韓民国の入学試験

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大韓民国の入学試験(だいかんみんこくのにゅうがくしけん)では大韓民国における大学入試に関して記述する。日本の大学にあたる教育機関は韓国では大学校と呼ばれる。

概要

大学修学能力試験(略称は「修能」・日本で例えるなら大学入試センター試験に近い)をほとんど全ての大学が利用するため、受験生はこれを受ける。これと高等学校が発行する生活記録簿(調査書)、各大学の用意する2次試験(小論文、面接、実技など)の結果を合わせ合否判定を受ける(2次試験を課さないとか大学修学能力試験あるいは生活記録簿の結果を合わせない大学、学部もある)。

韓国は日本よりも大学進学率が高い。これには日本では専門学校で教える内容も韓国では大学(2,3年制大学が中心)で教えているという面もある。又、高校受験がなくなり内申点による実業高校と一般高校の振り分けのみで一般高校には私立・公立の差や一般高校間での格差が無く、一般高校の高校生は全員が進学を希望する。(なお外国語高等学校や科学高等学校などの特殊目的高校の高校生の大部分も進学を目標にする)よってほとんどが大学受験一回の受験の機会であるために、大学受験が激化した。(今は条件さえ合えば何校でもOKである。)

2006年度の高等教育進学率(大学に順ずる高等教育機関=専門大学つまり日本の短期大学専門学校相当を含める)は86パーセントとなり、フィンランドに続いて世界第二位である。

入学難易度

ソウルに財閥が集中しているため、ソウルにある大学が難関になっている。ソウルではSKYのソウル大学校(S)を頂点として高麗大学校(K)や延世大学校(Y)などがそれに続く。地方では浦項工科大学校韓国科学技術院が特に難関であり、釜山大学校などがそれに続く。

学部ごとにみれば、文科の場合は経営学部、理科の場合は医学部の難易度が高い。法学部は高い難易度を誇ったが、法学専門大学院(日本の法科大学院に相当)を導入した大学は2009年から廃止となった。

日本の浪人生に対応する人は「再修生」と呼ばれる(韓国には男性の場合兵役の義務があるのでなるべく避けようとする)。

背景と弊害

韓国は極端な学歴社会であり、李氏朝鮮は科挙の合格者、学者が政治権力をも握る高級官僚となり、立身出世への関門であったため、その伝統が今日にまで関係していると考えられる。

受験生は年少の頃から自由時間を犠牲にし深夜まで営業する塾に通うほど過酷な受験戦争[1]を戦う不健康な生活を送るため、受験生の負担軽減が課題となっている。一例を挙げると、予備校家庭教師による補習が可能な都市部の学生がより有利であるとして、地域格差解消のために教育専門の全国放送局、EBSが修学能力試験に関する講座を放送する専門チャンネル(EBSプラス1)を開設している。

また、受験戦争を勝ち抜くため韓国の保護者は子供にOECD加盟国の中でトップとも言われる多大な私教育費(塾などの個人負担教育費)[2]をかけている。そのため子供にかかる教育費を賄えない家庭や子供を持つことが出来ない夫婦が増えていて韓国の出生率を世界最低水準(1.08人)に落ち込ませる要因の一つとして問題視されている。

それでも、1回の試験に人生を左右される構造には変化がない。2004年に修学能力試験における大規模な携帯電話を使ったカンニングが発覚し社会問題となった際には、改めてその弊害が指摘された。

さらに、高学歴層の就職率が必ずしも高いわけではないこと、海外留学が盛んになっていること、また各種の競争緩和政策が効果を発揮しだしていることに伴い、就職できない学生・院生が続出し「学歴難民」として社会問題化しつつある。

関連項目

参考文献

  • 「超格差社会・韓国」九鬼太郎著 扶桑社
  • 「本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖」三橋貴明著 彩図社

脚注

  1. 「超格差社会・韓国」九鬼太郎著 扶桑社
  2. 中央日報 韓国、教育費トップ・出産率最下位...今年のOECD統計(2006年12月)

外部リンク