双手刈
双手刈(もろてがり)は、柔道の投げ技の手技16本の一つ。現代仮名遣いを用い双手刈りとも表記される。
解説
相手の両膝裏を両手で刈り、肩で押しながら重心を崩すことで後方に倒す技。技の特性上瞬時の一本勝ちも期待できることから、時間終了の間際に優勢負けしそうな選手が双手刈を狙う場面が時折見られる。なお日本国内のルールでは中学生以下の試合では両手で脚を取る行為自体が反則であるため、該当する年齢層の公式戦において双手刈は使用できない。
また、組み合いを重視し技の華麗さを求める傾向にある日本では、双手刈は朽木倒と並んで美しくない技の代表格であるとされる。 しかし国際大会ではこの限りではなく、組み手を徹底して拒否し双手刈を狙う戦法をとる選手もしばしば見られる。これは日本国内で古来から推奨されてきた「組み合いから投げ技で一本を取る」スタイルに対し、海外においては「ポイントを稼ぎ優勢勝ちする」スタイルが発展し、柔道という同じルールの中で生じた競技的観点の相違であるとする意見が多い。双手刈はレスリングのダブルレッグダイブとほぼ同形であることから、他競技から転向した選手が習得する技として容易な部類に入るという評もある。 この技の名手としては、元無差別世界チャンピオンであるポーランドのラファウ・クバツキや、元70kg級世界チャンピオンであるイギリスのケイト・ホーウェイが挙げられる。
歴史
テンプレート:Seealso なお、この技は古流柔術の「膝折」が由来であり、創始者は神田久太郎とされる。これは両膝裏を両手で引いて折ってから持ち上げて後ろに倒す技(レスリングの水車落としとほぼ同形)である。
2000年代になって双手刈や朽木倒、隅返といった「掛け逃げ」が可能な技を多用するスタイルを問題視する声の高まりを受け、国際柔道連盟がルールの改正を検討[1]、2009年にルール改正を決定。掬投、朽木倒、双手刈、肩車を制限し、連続技や返し技に絡めずにこれらの技を使うことを反則とした。その後も連携の一つとしての使用は認められていたが[2]、2012年12月に帯から下の部位を掴んでの攻撃、防御ともに反則技に指定する案件が検討中と発表され、2013年2月から改正された新ルールを試験的に導入した[3] 。この変更点により公式試合において両手刈の使用は非常に難しくなるとみられている。