垂直尾翼
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垂直尾翼(すいちょくびよく)とは、飛行機を始めとする航空機の尾翼の一種の名称である。
概要
垂直尾翼(すいちょくびよく)とは、飛行機を始めとする航空機の尾翼の一種で、垂直についている部分。小さな(よって軽い)尾翼で十分なモーメントを発生できるように、ふつうは重心から離れた位置に取りつけられる。
いわゆる風見安定によって、航空機がヨー方向への安定性を保つ働きをする。胴体上部に取り付けられる一般的な垂直尾翼の場合、ロール方向の静安定を強める効果もある。垂直尾翼は単純に発生する揚力で効果を推し量ることができないため、その指標として垂直尾翼容積という値が使用される。
固定翼機
固定の垂直安定板 (vertical stabilizer) と、後縁にある可動の方向舵(rudder)で構成される。
- 着陸進入時など、横風を受けながら飛ぶときは方向舵を作動させて(切って)まっすぐに飛ぶ。横風着陸も参照。
- 旋回飛行中、方向舵を切ることで力のつりあいを保つ。
回転翼機
テイルローターを持つ機種が殆どであるため、方向舵を持つ機体は少ない。またテイルローターによって常に機首方向を維持していることと、固定翼機にくらべて巡航速度が低いことから、垂直尾翼による風見効果はさほど期待されておらず、固定翼機に比べて小型である。
- 方向舵を持つ機種(テイルローターを持たない回転翼機)
無尾翼機
いわゆる無尾翼機は、水平尾翼を廃した航空機(固定翼機)の事であるが、さらに垂直尾翼を廃した例もある。垂直尾翼を廃した航空機は、スポイラーによってヨー制御を行う。