雲形

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雲形(うんけい)とは、をその形状により分類したものである。雲級(うんきゅう)ともいう。

世界気象機関発行の「国際雲図帳」では雲をその大まかな形から10の「類」に分類しており、これを十種雲形十種雲級)と呼ぶ。それぞれの類は、形の特徴や雲塊の組成などからさらに「種」に分類される。また、雲塊の配列、雲の透明度による細分類は「変種」と呼ばれる。さらに、部分的な特徴や、付随する雲がある場合には「副変種」として記される。 また、地形などによって発生する雲は、十種雲形には含まれていない。

雲形分類表

ファイル:Wolkenstockwerke.png
高度による国際的分類
基本形 変種 副変種
上層雲 巻雲
(Ci)
毛状雲
鉤状雲
濃密雲
塔状雲
房状雲
もつれ雲
放射状雲
肋骨雲
二重雲
乳房雲
巻積雲
(Cc)
層状雲
レンズ雲
塔状雲
房状雲
波状雲
蜂の巣状雲
尾流雲
乳房雲
巻層雲
(Cs)
毛状雲
霧状雲
二重雲
波状雲

中層雲 高積雲
(Ac)
層状雲
レンズ雲
塔状雲
房状雲
半透明雲
隙間雲
不透明雲
二重雲
波状雲
放射状雲
蜂の巣状雲
尾流雲
乳房雲
高層雲
(As)

半透明雲
不透明雲
二重雲
波状雲
放射状雲
尾流雲
降水雲
ちぎれ雲
乳房雲
乱層雲
(Ns)


降水雲
尾流雲
ちぎれ雲
基本形 変種 副変種
下層雲 層積雲
(Sc)
層状雲
レンズ雲
塔状雲
半透明雲
隙間雲
不透明雲
二重雲
波状雲
放射状雲
蜂の巣状雲
乳房雲
尾流雲
降水雲
層雲
(St)
霧状雲
断片雲
不透明雲
半透明雲
波状雲
降水雲
対流雲 積雲
(Cu)
扁平雲
並雲
雄大雲
断片雲
放射状雲 頭巾雲
ベール雲
尾流雲
降水雲
アーチ雲
ちぎれ雲
漏斗雲
積乱雲
(Cb)
無毛雲
多毛雲

降水雲
尾流雲
ちぎれ雲
かなとこ雲
乳房雲
頭巾雲
ベール雲
アーチ雲
漏斗雲

※乱層雲については下層雲に分類される場合もある。

種の分類

毛状雲

毛状雲(fibratus、略号fib.) は、細い筋状の雲の中で、先端がまっすぐなものをいう。巻雲、巻層雲に現れる。

鉤状雲

鉤状雲(uncinus、略号unc.) は、細い筋状の雲の中で、先端が釣り針状に曲がっているものをいう。巻雲に現れる。

房状雲

房状雲(floccus、略号flo.) は、巻雲・巻積雲・高積雲に現れる種で、巻雲では雲の先が丸くなっているもの、巻積雲・高積雲では雲片が丸いものをいう。

濃密雲

濃密雲(spissatus、略号spi.) は、厚く濃密な巻雲のこと。

塔状雲

塔状雲(castellanus、略号cas.) は、上方へ塔のように伸びた雲をいう。巻雲、巻積雲、高積雲、層積雲に現れる。上昇気流が生じていることを示す雲種で、雨の前触れであることが多い。

層状雲

層状雲(stratiformis、略号str.) は、空の大部分を層状に覆う雲をいう。巻積雲、高積雲、層積雲に現れる。

レンズ雲

ファイル:Lenticular4.jpg.jpeg
レンズ雲 (左上の雲)
レンズ雲(lenticularis、略号len.) は、輪郭がレンズ型にはっきりしている雲をいう。巻積雲、層積雲に現れる。山の近くや風の影響でできる雲で、風が吹きはじめる前兆であることも多い。シェイクスピアは「定まらないような雲、それは風に吹かれ飛雲増大する」と評している。

霧状雲

霧状雲(nebulosus、略号neb.) は、霧のようにかすんでいて輪郭の定まらない雲をいう。巻層雲、層雲に現れる。

断片雲

断片雲(fractus、略号fra.) は、積雲・層雲がちぎれてできた切れ端をいう。
ひつじ雲などと呼ばれる。

扁平雲・並雲・雄大雲

積雲はその発達具合により名前がつけられている。扁平雲(humilis、略号hum.) は、まだ発達しておらず雲頂の平らなもの、並雲(mediocris、略号med.) は通常の積雲、雄大雲(congestus、略号con.) は、雲頂が大きく盛り上がったいわゆる「入道雲」をいう。

無毛雲・多毛雲

積乱雲もまた発達の度合いにより分類される。雲頂が毛羽立っていないものを無毛雲(calvus、略号cal.)、発達して雲頂から毛状の雲が広がるものを多毛雲(capilatus、略号cap.)という。

変種の分類

雲塊の配列による分類

もつれ雲

筋がもつれたような状態の巻雲をもつれ雲(intortus、略号in.) という。上空の風が弱いときに発生しやすく、この雲が出た後は晴天が続く場合が多い。

肋骨雲

肋骨雲(vetrebratus、略号ve.) は、巻雲から横向きに筋が出て、魚の骨のような形に見える雲のこと。雨の前兆とされる。

放射状雲

放射状雲(radiatus、略号ra.) は、空の広範囲に放射状に広がるように見える雲のこと。実際は平行な雲の列であるが、遠近感により放射状に見える。巻雲、高積雲、高層雲、層積雲、積雲に現れる。

二重雲

二重雲(duplicatus、略号du.)は、同じ種類の雲が異なる高度で重なって出現している状態をいう。巻雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲で現れる。

波状雲

波状雲(undulatus、略号un.)は、波のような模様で空を覆う雲のこと。巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲、層雲で現れる。

蜂の巣状雲

蜂の巣状雲(lacunosus、略号la.) は、蜂の巣状の穴が無数に開いた雲のこと。巻積雲、高積雲、層積雲で見られる。下降気流のあることを示し、好天の前触れとされる。

雲の透明度による分類

半透明雲・不透明雲

空を大きく覆っている高積雲・高層雲・層積雲・層雲のうち、比較的薄く太陽や月が透けて見える程度のものを半透明雲(translucidus、略号tr.)、厚くて太陽や月を完全に隠すものを不透明雲(opacus、略号op.)という。

隙間雲

隙間雲(perlucidus、略号pe.)は、大きく広がった雲のうち、隙間があり空が見える状態にあるものをいう。高積雲、層積雲に現れる。

副変種の分類

部分的に特徴のある雲

尾流雲

尾流雲(virga、略号vir.)は、雲底から筋状の雲が垂れ下がっている状態のこと。地上に達しない降水による雲。巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲、積雲、乱層雲に現れる。

降水雲

降水雲(praecipitatio、略号pra.)は、地上に達する降水に伴って雲底から下がる筋状の雲のこと。高層雲、層積雲、積乱雲、積雲、乱層雲、層雲に現れる。

かなとこ雲

積乱雲が発達を続け対流圏成層圏の境に達すると、上昇が妨げられ雲頂部は横に大きく広がる。この状態をかなとこ雲(incus、略号inc.) という。

アーチ雲

アーチ雲(arcus、略号arc.)は、積雲・積乱雲の雲底にできるロール状の雲のこと。雲の下で強い対流が起こっているときに現れ、大雨になることも多い。

乳房雲

乳房雲(mamma、略号mam.)は、雲底からこぶ状の雲が垂れ下がっている状態のこと。巻雲、巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲に現れる。雲底で下降気流や渦流が発生しているとき発生し、大雨の前兆ともされる。

漏斗雲

漏斗雲(tuba、略号tub.)は、積雲・積乱雲の雲底から渦をまいて垂れ下がった漏斗状の雲のこと。地上に達すると竜巻を起こす。

付随して現れる雲

ちぎれ雲

ちぎれ雲(pannus、略号pan.)は、厚い雲の下を流れる断片雲。高層雲、積乱雲、積雲、乱層雲に現れる。

頭巾雲・ベール雲

頭巾雲(pileus、略号pil.)は、積雲・積乱雲の雲頂に帽子をかぶせたようにベール状の雲が乗っている状態をいう。これがさらに大きく広がった場合にはベール雲(velum、略号vel.)という。

関連項目

テンプレート:気象要素