「電算写植」の版間の差分
(相違点なし)
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2011年1月2日 (日) 19:15時点における最新版
電算写植(でんさんしゃしょく)とは、手動写植による組版作業を電算機=コンピュータで行えるようにしたシステムのこと。
新聞社を含む印刷会社ごとに異なるシステム(CTS)と写植会社の写植機のシステムの双方を指し、印刷・出版業界内では「電算」と言えば電算写植のことを意味する。
旧来の活版印刷や手動写植の欠点を補い、ワークフローを一新するものとして登場し、新聞などで大規模に導入された(朝日新聞社の「NELSON」、神戸新聞社の「六甲」等)。
手動機に対する電算の利点は、以下のようなものが挙げられる。
- 手動写植は基本的に1文字ずつ文字を打っていく必要があるが、電算写植では文字入力と組版を分業化できる。
- 誤植や変更があった場合、手動写植の場合は版下を1文字単位で切り貼りする必要があり、大変な労力を要していたが、電算写植では保存しておいた組版データ上で修正を行うようになり、大幅な修正も簡単になった。
- また、組版データを保存しておくことができるということは、版下と校正紙が切り離されることを意味し、校正紙を複数出力することなども可能になった。
- 歯車の動作に依存する手動機では不可能なような、複雑なデザインがこなせるようになった。
- 写研のSAPCOL(サプコル)に代表される組版プログラムの開発は、日本語組版のルールに基づくページレイアウトを可能にし、“美しい”組版が発達した。
「早く組める」「大幅に直せる」ということにつながる利点は、「あとで直せるから」という意識につながり、原稿を組版工程に回す前段階で綿密に行われるべき編集者の原稿整理や校正、レイアウトなどがおろそかになった(誤植・誤報につながる)という指摘も多い。暗算による字数計算に基づく紙面レイアウトなどの、活字時代には編集者の基本とされた技能が、組版技術の進化と反比例するように衰退したとも言われる。それはDTP時代になると、かつてならばあり得なかったであろう「仮組み」(とりあえず組んでみて、レイアウトを調節する)などが行われることにつながる。
WindowsやMacintosh上で動作するDTPが電算写植に比べて安価であることから、現在では全体的な傾向としてはDTPが電算写植に取って代わりつつある。しかしDTPでは希望する書体が使えない、和文の組版ルールへの対応が甘い、あるいは数式と和文の混在したページを満足に組めないなどの理由から、現在も相当の需要・使用状況がある。
なお、当初は写真植字の機構を電算機で管理・制御していた「電算写植」であるが、PostScriptへの対応やWYSIWYGを実現したシステムも登場してきており、「DTP」との境目はかなり曖昧になってきてもいる。