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'''亡命'''(ぼうめい)とは、主に政治的な事情により[[政治家]]や[[軍人]]、[[スパイ]]などが他国に逃れることを意味する。また、亡命してきた志士・名士を'''亡命客'''と呼ぶ<ref>[http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1109797 社会ユーモア・モダン語辞典] 社会ユーモア研究会 1932年</ref>。 == 概説 == 亡命の理由として政治的迫害によるものが多いが、[[宗教]]対立や[[民族]]対立、経済的窮乏など、その他の理由によるものが含まれることもある。 [[クーデター]]などの政変により国を追われた政治家が他国に亡命したり、政治的抑圧から逃れるため、周辺国または亡命者の親族、保護者等が在籍する国など亡命者の安全が確保できると思われる国に亡命する例などがある。 越境にて亡命する以外にも[[大使館]]などの[[在外公館]]に保護を求める場合もある。近年では、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]から亡命を試みる者が[[北京市|北京]]など当事国外に所在する亡命先または第三国の在外公館、外国人学校などへ駆け込むケースもみられた。([[脱北者]]、[[瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件]]を参照) 亡命者の多くは[[交通]]を制限された状況下で脱出を図っており([[ベルリンの壁]]等)、その途中で命を落とす者もいる。なお、[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]からの場合は例外もあり、[[政治犯]]として逮捕され[[西ベルリン]]へ追放される形で成功した者もいる。また、反体制側の要人の場合は亡命先で[[暗殺]]される恐れもあるため、保護が必要である。 また、亡命者達が作った政府の事を[[亡命政府]]と言い、世界の各所に現存する。古くは[[第二次世界大戦]]中、ドイツに占領された[[フランス]]、[[ポーランド]]、[[チェコスロバキア|チェコスロヴァキア]]などで組織された。 政治家や官僚ではない一般市民が他国に越境する場合は[[難民]]として区別される。 == 主な亡命事件 == * [[百済]]滅亡([[660年]])により、一部の百済人が日本へ亡命。王族は[[百済王氏]]となった。 * [[高句麗]]滅亡([[668年]])により、一部の高句麗人が日本へ亡命。王族は[[高麗氏]]となった。 * 17世紀前半、朝鮮からの亡命者である[[佐野主馬]]が、但馬守となった[[柳生氏|柳生家]]の門番をしていたとされる([[耳嚢]]、[[玉栄拾遺]])。 * [[1659年]]、[[復明運動]]([[:zh:反清复明]])の失敗によって[[朱舜水]]が日本へ亡命。 * [[フランス革命]]([[1789年]])による、[[フランス]][[貴族]]、[[僧侶]](聖職者)の亡命。亡命貴族のことをフランス語で'''エミグレ'''と言う。 * [[ヴァレンヌ事件]]([[1791年]]): フランス革命時のフランス王家の亡命事件。失敗におわり、反王家の傾向を激化させる一因となった。 * [[1895年]]、[[孫文]]が日本に亡命。[[1911年]]、中国に帰国。 * [[ロシア内戦]]([[1917年]]~[[1922年]])及び[[ソビエト連邦]]誕生により、[[白系ロシア人]]が各国へ亡命。 * [[1929年]]、[[レフ・トロツキー]]、[[ソビエト連邦]]から追放。以後[[フランス]]、[[メキシコ]]などに亡命。[[1940年]]殺害。 * [[1933年]]、[[アルベルト・アインシュタイン]]、[[ナチス・ドイツ]]から追放。米国に亡命。 * [[1938年]]、[[ゲンリフ・リュシコフ]]がソ連の重要機密情報を持って満州に亡命。 * [[1949年]]、[[プリーディー・パノムヨン]]、[[クーデタ]]に失敗し、[[フランス]]へ亡命。 * [[1952年]]、[[チャールズ・チャップリン]]、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]から追放。[[スイス]]へ移住。 * [[1957年]]、[[プレーク・ピブーンソンクラーム]]、[[クーデタ]]により[[カンボジア]]経由で出国。[[日本]]へ移住。 * [[1959年]]、[[ダライ・ラマ14世]]、[[チベット]]から[[インド]]に亡命。[[チベット亡命政府]]を樹立。 * [[1960年]]、[[李承晩]]、[[大韓民国|韓国]]からアメリカに亡命。 * [[1970年]]、[[共産主義者同盟赤軍派]]メンバーが[[日本航空]]機(よど号)を[[ハイジャック]]し、北朝鮮へ亡命([[よど号ハイジャック事件]])。 * [[1974年]]、[[アレクサンドル・ソルジェニーツィン]]が[[ソビエト連邦]]から国外追放。[[スイス]]経由で[[1976年]]に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に移住。 * 1974年、[[ミハイル・バリシニコフ]]、[[ソビエト連邦]]から[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に亡命。 * [[1975年]]、[[マルチナ・ナブラチロワ]]、[[チェコスロバキア]]から[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に亡命。 * [[1976年]]、[[ソビエト連邦|ソ連]][[空軍]]のパイロット、[[ヴィクトル・ベレンコ|ヴィクトル・イワノヴィチ・ベレンコ]]中尉が乗機[[MiG-25 (航空機)|MiG-25]]で[[函館空港]]に強行着陸。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に対し亡命を申請([[ベレンコ中尉亡命事件]])。 * [[1979年]]、[[イディ・アミン]]、[[ウガンダ]]から[[リビア]]経由で[[サウジアラビア]]に亡命。 * [[1983年]]、[[アントニオ・ネグリ]]、[[イタリア]]から[[フランス]]に亡命。 * [[1984年]]、[[アンドレイ・タルコフスキー]]、ソビエト連邦当局からの帰国要請を拒否しイタリアにて事実上の亡命を宣言。 * [[1986年]]、[[フェルディナンド・マルコス]]及び[[イメルダ・マルコス]]、[[エドゥサ革命]]により[[ハワイ]]へ亡命。 * [[1989年]]、[[ナディア・コマネチ]]、[[ルーマニア]]から[[ハンガリー]]経由でアメリカに亡命。 * [[1998年]]、[[李洪志]]、[[中華人民共和国|中国]]からアメリカに亡命。 * [[2000年]]、[[テルアビブ空港乱射事件]]に対して[[イスラエル]]で終身刑判決を受け、服役中に「捕虜交換」の名目で釈放され[[レバノン]]に滞在していた[[岡本公三]]に、再びテルアビブ事件についての刑事責任を問う目的で日本政府が引き渡し要求をした事に対し、レバノン政府は岡本の政治亡命を認め保護。 * 2000年、日本滞在中の[[ペルー]]大統領、[[アルベルト・フジモリ]]が大統領辞任を表明後も日本滞在を続け、事実上亡命。大統領選出馬の意を表明、2005年帰国途中のチリで逮捕。 * [[2002年]]、[[中華人民共和国|中国]]・[[瀋陽市|瀋陽]]において北朝鮮を脱出した住民が亡命を目的に日本[[領事館|総領事館]]に駆け込むが、総領事館を警備していた中国公安職員が敷地内に立ち入り住民を拘束。日本政府が抗議。その後、住民らは[[マニラ]]を経て[[大韓民国|韓国]]へ亡命。 * [[2004年]]、当時の[[チェス]]世界チャンピオンであった[[ボビー・フィッシャー]]が[[成田国際空港|成田空港]]で有効旅券不所持により出国差止めのうえ身柄収容され、[[フィリピン]]への亡命を申請。[[アイスランド]]が市民権を承認し出国。 * [[2006年]]、[[タクシン・チナワット]]、外遊先から帰国せず、以来、事実上の亡命状態となる。 * [[2009年]]、[[キューバ]]の野球選手[[アロルディス・チャップマン]]が[[キューバ]]代表の遠征地[[オランダ]]にて亡命。 * [[2013年]]、アメリカの元[[中央情報局|CIA]]職員[[エドワード・スノーデン]]がロシアに一時亡命。 このほかの亡命の事例については[[:Category:亡命者]]を参照。 == 備考 == 自身の所属する会社・団体・学校を辞め(派閥争いに負ける、上司から不利な扱いを受ける、[[いじめ]]に遭うなど「追いやられた」「排除された」印象が強い場合)、競合する事業をしている会社・機関に入り直す際、前会社・前学校に対する皮肉という形で比喩的に遣われることがある。 == 関連項目 == * [[暗殺]] * [[国籍]] * [[難民]] * [[脱北者]] * [[裸体官僚]] - 蓄財した資産を海外に移し、(主に[[留学]]の名目で)家族を海外に移す高級官僚を揶揄した中国語。 == 出典 == <references/> <!--:英語版のリンク先記事は「国外追放」のニュアンスが強いので、自発的な政治亡命については[[:en:Defector]]も参照のこと。--> {{DEFAULTSORT:ほうめい}} [[Category:政治運動]] [[Category:難民]] [[Category:人間の移動]]
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