世界自然保護基金のソースを表示

{{基礎情報 非営利団体
|名称 = 世界自然保護基金<br />World Wide Fund for Nature
|ロゴ = 
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|画像サイズ = 
|画像説明 = 
|創立者 = [[ベルンハルト (オランダ王配)|オランダ王配ベルンハルト]]<br />[[ジュリアン・ハクスリー]]<br />[[:en:Edward Max Nicholson|マックス・ニコルソン]]<br />[[:en:Peter Scott|ピーター・スコット]]<br />[[:en:Guy Mountfort|ガイ・マウントフォート]]
|団体種類 = 公益信託
|設立 = [[1961年]]
|所在地 = {{USA}} [[ニューヨーク州]][[ニューヨーク]]
|緯度度 = |緯度分 = |緯度秒 = 
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|主要人物 = [[フィリップ (エディンバラ公)|エディンバラ公フィリップ]]<br />({{small|名誉総裁}})<br />[[:en:Yolanda Kakabadse|ヨランダ・カカバドス]]<br />({{small|総裁}})<br />ジェームズ・リープ<br />({{small|事務局長}})
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|主眼 = [[環境主義]], [[:en:Conservation (ethic)|Conservation]], [[生態学]]
|活動内容 = 
|活動手段 = ロビーイング、研究、コンサルタント
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|ボランティア人数 = 
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|子団体 = 
|標語 = For a Living Planet
|ウェブサイト = [http://wwf.org/ wwf.org]<br />[http://panda.org/ panda.org]
|解散 = 
|特記事項 = 
}}
[[File:WWFbalaobrasilia22032007.jpg|thumb|240px|WWFによる[[気球]]（[[ブラジリア]]）]]
'''世界自然保護基金'''（せかいしぜんほごききん、[[英語|英]]:''World Wide Fund for Nature''、略称:'''WWF'''）は、世界最大規模の[[自然保護団体|自然環境保護団体]]である国際的[[非政府組織|NGO]]。[[1986年]]までは'''World Wildlife Fund'''として活動し、略称もここからとられている。現在、ＷＷＦインターナショナルのホームページ<ref>http://wwf.panda.org/what_we_do/how_we_work/</ref>では、生物多様性を維持しつつエコロジカルフットプリントを減らし、総じて地球一個分の暮らしを目標とするのが、ＷＷＦの活動方針であることを示している。また、ホームページでは基本的に科学的情報を基準（サイエンスベース）とする活動方針を示している。具体的な活動分野は気候変動、森林保全、海洋保全、水産物管理、綿花や砂糖などの農産物、水など多岐にわたり、人間の持続可能な環境づくりが活動の中心になっている。

== 概要 ==
WWF創設のきっかけは、[[ジュリアン・ハクスリー]]が『[[オブザーバー (イギリスの新聞)|オブザーバー]]』紙に[[アフリカ]]の野生動物の危機的状況を報告した記事を端緒とする<ref>[http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/history/history001.html （1）はじまり｜WWFの歴史]WWFジャパン</ref>。ハクスリーの働きかけを受けて、アフリカの野生生物を危機から救うために、[[1961年]][[9月11日]]に、[[鳥類学者]]のマックス・ニコルソン（[[:en:Max Nicholson|Max Nicholson]]）、後にWWFのロゴを提案した鳥類学者のピーター・スコット（[[:en:Peter Scott|Peter Scott]]）、[[実業家]]のビクター・ストーラン（[[:de:Victor Stolan|Victor Stolan]]）、[[アマチュア]]鳥類学者のガイ・マウントフォート（[[:en:Guy Mountfort|Guy Mountfort]]）、[[ベルンハルト (オランダ王配)|オランダ王配ベルンハルト]]らによって、自然保護のための資金を集める国際組織として世界野生生物基金（World Wildlife Fund：WWF）が[[スイス]]に設立された。名称は1986年に世界野生生物基金（World Wildlife Fund）から世界自然保護基金（World Wide Fund for Nature）に改められたが、略称はWWFのまま用いられることになった<ref>[http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/history/history005.html （5）新しい出発｜WWFの歴史]WWFジャパン</ref>。

当初は，[[国際自然保護連合]]（IUCN）の資金調達の目的のための補完的な機関として設立されたため、「WWFインターナショナル」の本部事務局は1970年代後半までスイスのIUCN本部と同じビルに置かれ、一般の行政サービスもしばらく共有していた<ref group="e" name="IUCN">{{Cite book |author= Leif E. Christoffersen |editor=Helge Ole Bergesen, Georg Parmann |year=1997 |title=Green Globe Yearbook of International Co-Operation on Environment and Development 1997 |url=http://www.fni.no/YBICED/summaries.html#1997 |publisher=[[オックスフォード大学出版局|Oxford University Press]] |location= USA |pages=59-69 |chapter=IUCN: A Bridge-Builder for Nature Conservation |chapterurl= http://www.fni.no/YBICED/97_04_christoffersen.pdf |isbn=0198233485 }}</ref>。資金調達のためのキャンペーンが成功するにつれ、WWF独自の方向に活動の幅を広げていった<ref group="e" name="IUCN"/>。

スイスのWWFインターナショナルを中心として、各国の事務局（ナショナル・アピール）は「WWFネットワーク」の一員となっている<ref>[http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/history/history002.html （2）最初の活動｜WWFの歴史]WWFジャパン</ref>。ネットワークでも突出した存在なのが[[欧州連合|EU]]の政策や活動に影響力を持つ「WWFブリュッセル事務局」と、[[世界銀行]]などの国際機構に影響力を持つ「WWFワシントン事務局」である。また、それぞれの国内で独立しているWWFは「世界保護計画」に資金提供をしている。

WWFは各国の環境保護団体と連携しながら、主に希少となって絶滅が心配される[[野生動物]]の保護に関する全般的な活動を行っている。WWFの職員は[[フィールドワーク]]で科学的・専門的な知識を収集し、マスメディアや行政・立法関係を代表とする多くの人々への働きかけを主な仕事としている。WWFの2004年度総支出は約470億円で58％が自然保護活動に充てられており、総収入は約526億円で個人による寄付が43％を占めている。

=== 日本の支部組織 ===
日本では[[1968年]]に東京動物園協会の[[古賀忠道]]理事長らを中心として「野生生物保護基金日本委員会」（WFJC）が設立され、[[1971年]][[9月22日]]に世界自然保護基金ジャパン（WWFジャパン）が発足した。WWFジャパン発足当初の所管官庁は環境省<ref>[http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/koueki/ko22.htm 特定公益増進法人（旧第３号－ラ）] 財務省</ref>。WWFジャパンの2006年4月の職員数は54名で、公務員や銀行員、獣医や薬剤師の資格を持つ人など職歴はさまざまである。著名なところでは、名誉総裁に[[秋篠宮文仁親王]]、会長に、[[徳川恒孝]]・[[日本郵船]]元副社長、理事に、[[豊田章一郎]]・[[トヨタ自動車]]取締役名誉会長、[[成田純治]]・[[博報堂]]代表取締役社長 、[[日枝久]]・[[フジテレビジョン]]代表取締役会長 、[[福地茂雄]]・[[日本放送協会]]会長、 評議員に、[[末吉竹二郎]]・[[国連環境計画]]・金融イニシアチブ（UNEP FI）特別顧問など<ref>[http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/japan/board.html 役員等名簿｜組織概要｜WWFジャパンについて] WWFジャパン</ref>。

同年のWWFジャパンの活動収入は7億4千万円で個人による寄付が54％である。活動支出は6億7千万円で、自然保護に割り当てられた55％のうち、貴重な[[生態系]]を保全する取り組みである“グローバル200”への拠出が21％と最も多くなっている。

博報堂は、WWFに広報の専門家を送り、WWFの広報能力の向上に貢献したとして、WWFから「WWF ゴールドパンダ賞」を受賞している<ref>[http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2007/20071002.pdf 博報堂、WWF（世界自然保護基金）より「2007年度 GOLD PANDA AWARD」を受賞。] 2007年10月2日 博報堂広報室</ref>。WWFジャパンの[[ウェブサイト]]は[[博報堂アイ・スタジオ]]が手がけ、その広告作品は2002年度の[[カンヌ国際広告祭]]・サイバーライオン部門に出品され金賞を受賞するなど高い評価を得ている<ref>[http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2002/20020628.pdf 2002年度カンヌ国際広告祭・サイバーライオン部門で金賞受賞]博報堂, 2002年6月28日</ref>。

WWFジャパンは日本の[[エコロジカル・フットプリント]]を2.3と見積り、政府に対して環境基本計画の中でエコロジカル・フットプリントを環境指標として積極的に採用するよう要望書を提出している<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/2010/08/884825.html エコロジカル・フットプリントで見る、日本がかけている地球への負担], WWFジャパン, 2010.8.25</ref>。

[[2011年]][[2月1日]]、[[公益法人制度改革]]に伴い、[[公益財団法人]]となる。

=== 日本への影響 ===
[[沖縄県|沖縄]]の[[ジュゴン]]保護を国内外に訴えており、それに関連して2008年にバルセロナで行なわれた[[IUCN]]の第4回世界自然保護会議により「ジュゴン保護勧告」が採択されている<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/2008/10/612214.html WWFの活動 IUCNの「ジュゴン保護勧告」が採択される]</ref>。また、日本に対しては、[[べっ甲]]、[[捕鯨]]、[[マグロ]]などの海洋生物や、[[割り箸]]、[[象牙]]などの文化的に馴染みの深い動植物による加工品が、WWFのキャンペーンの対象と重なることもあるため、対象動植物の取引全面禁止などが行われた場合、日本の産業や文化へ与える影響は少なくない。

近年では、マグロの大量消費国として日本に対する非難が強まっている。日本は「みなみまぐろ保存条約」に加盟していたが、条約非加盟国によるマグロの乱獲が行われ、その大部分が日本へ輸入され問題となっている
<ref>{{Cite book|和書 |author=小松正之 |year=2010 |title=世界クジラ戦争 |publisher=[[PHP研究所]] |pages=139-159 |isbn=4569775861 }}</ref>。[[クロマグロ]]に対しては、WWFによるボイコット運動の呼びかけが行われ、2010年には[[CITES]]により取引の全面禁止が[[モナコ]]によって提案される運びとなった。一方、鯨に関しては、2001年に報告された[[日本鯨類研究所]]の論文によれば、調査対象とされた[[イルカ]]類を含む35種の鯨の総消費量は、人類が食用に捕獲する魚（7538万トン）と同規模の魚（5736万トン～7804万トン）<!--文献値から計算すると、餌の場合は2.5億トン～4.34億トンとなります。-->を消費すると推定されており<ref group="e" name="Tamura2001">{{cite journal |url=ftp://ftp.fao.org/FI/DOCUMENT/reykjavik/pdf/09Tamura.pdf |author=Tsutomu Tamura |title=Competition for food in the ocean: Man and other apical predators |journal=Reykjavik Conference on Responsible Fisheries in the Marine Ecosystem |date=2001 |doi= }}</ref>{{#tag:ref|Tsutomu Tamura (2001)では、3種の方法を用いて[[イルカ]]類を含む35種類の鯨が捕食する魚、[[頭足類]]、[[甲殻類]]に対する消費量について推定が行われ、その総消費量は、魚が年間5736万～7804万トン、頭足類が7713万～1億2246万トン、甲殻類が1億734万トン～2億3322万トン、残りの約50種の鯨が捕食する消費量は不明<ref group="e" name="Tamura2001"/>。ただし、食用として好まれるヒゲクジラは全80種の内わずか10種程度にすぎず、一部例外を除くほぼ全てがIWC所管の捕鯨対象種であるが、それに限れば直接人間の漁業と競合する魚の消費量を1200万～2400万トンと推定している。ここで挙げられる甲殻類とはオキアミのほかは[[端脚類]]や[[コペポーダ]]、頭足類も主に深海凄のイカ類である。ただし、南半球のヒゲクジラ類の主食のナンキョクオキアミは現状ではさほど大きな漁業ではなく、外洋域のハクジラ類の餌の多くはほとんど利用されない中層性、深海性の生物であり、漁業と競合していない部分も多く、全体を単純に漁獲高と比較しえるものではない（『イルカ･クジラ学 イルカとクジラの謎に挑む』東海大学出版会、2002年、ISBN 4486015932 第5章大泉宏　110頁）。松田横浜国立大学教授によると、主要な生態学の教科書に引用されている「ピーター・ヨッジスの間接効果理論」によると食物網の関係から、鯨の捕食が一方的な水産資源減少の要因足りえない事を数学的論的モデルで証明していると指摘している<ref name="norin"/>。また、この調査結果に関して算出した田村力自身、飽くまで世界に[[叩き台]]として提供したものであり、更なる調査が必要であるとしている（『読売新聞』2002年5月21日）。
|group="注"}}、特に沿岸国等において[[食糧安全保障]]上の重要な問題として認識されている<ref group="e">{{cite journal |url=http://www.iwcoffice.org/_documents/commission/IWC58docs/58-16Rev.pdf |author=IWC |title=St. Kitts and Nevis Declaration |journal=58th Annual Meeting of the International Whaling Commission |date=2006 |doi= }}</ref><ref>邦訳：[http://www.e-kujira.or.jp/iwc/2006stkitts/58-16Rev.html セントキッツ・ネーヴィス宣言]</ref>。しかし、WWFジャパンはこの見解に関しては非科学的なものであり、日本政府は危機を煽るだけ煽って資源管理に真剣に取り組んでいないと非難されるだろうとしている<ref>[http://prweb.org/press06/00697.htm WWFJapan＞クジラ問題に関する見解について]　</ref><!--AAP通信によると前述の世界自然保護会議においては、漁業と鯨の捕食の競合説は科学的証拠が不足しているとする動議に、日本を含めた捕鯨国も署名する予定であったと報道している<ref group="注">[http://www.25today.com/news/2008/10/post_2788.php 日豪プレス（AAP）. (2008年10月15日). ]　ただし、オーストラリア代表の[[ピーター・ギャレット]]環境相がもっと捕鯨国に厳しくするように主張した事で、逆にこの動議を台無しにした。-->。

== 活動例 ==
=== 地球温暖化対策 ===
[[地球温暖化]]が[[生物多様性]]に及ぼす影響は、多くの環境保全活動と大きなかかわりを持つことから、WWFでは現在、温室効果ガスの排出を抑え、地球の平均気温の上昇を、[[産業革命]]以前のレベルに比べて摂氏2度未満に抑えることを目標にした活動を行なっている。WWFの科学者によれば、2012年までに[[ホッキョクグマ]]の繁殖は止まり、絶命の危機に瀕する恐れがあると警告している<ref group="e">Juliet Eilperin, [http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A35233-2004Nov8.html Study Says Polar Bears Could Face Extinction], ''Washington Post'', 2004</ref>。削減策としては、キャップアンドトレード型の[[排出権取引]]を支援している<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/20100330policymixl_ver2_sum.pdf 脱炭素社会へ向けたポリシーミックスの提案  Ver. 2 要約版]、WWFジャパン、2010年3月31日</ref>。このために、WWFの気候変動プログラムでは、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量を大幅に削減する約束を、各国政府と産業界、金融セクター、そして一般市民から引き出すことができるよう、世界各地で活動を展開している。

たとえば、世界最大の建築材料のサプライヤーであるフランスの多国籍企業[[ラファージュ]]と提携し、[[カーボンフットプリント]]を縮減するためのアドバイスを行い、年あたり200万ドルを受けとっている<ref group="e" name="Newsweek2008">William Underhill, [http://www.newsweek.com/id/84501 When Greens Go Corporate], '' Newsweek'', Jan 14, 2008</ref>。アドバイスの効果は疑わしいものだったが、WWFはラファージュを称賛する大々的な宣伝活動を行った<ref group="e" name="Newsweek2008"/>。WWFは中南米アマゾン等での森林管理による炭素取引で巨額の利益を見込んでおり<ref group="e">Christopher Booker, [http://www.telegraph.co.uk/comment/columnists/christopherbooker/7488629/WWF-hopes-to-find-60-billion-growing-on-trees.html WWF hopes to find $60 billion growing on trees ], ''Telegraph'', 20 March, 2010</ref>、WWFの[[熱帯雨林]]に関する報告書は[[IPCC]]にも採用されている<ref group="e">Christopher Booker, [http://www.telegraph.co.uk/comment/columnists/christopherbooker/7113582/Amazongate-new-evidence-of-the-IPCCs-failures.html Amazongate: new evidence of the IPCC's failures], ''Telegraph'', 30 January, 2010</ref>。

WWFは[[エコロジカル・フットプリント]]に基づき「地球一個分の暮らし」 (One Planet Living)というコンセプトを提唱しており、エコロジカル・フットプリントの数値が世界一の[[アラブ首長国連邦]]の[[アブダビ]]政府に対しては、[[カーボンニュートラル]]、廃棄物ゼロ、車のない都市を目指した大規模プロジェクトとして[[マスダール・シティ]]の立ち上げと支援を行っている<ref group="e">[http://wwf.panda.org/wwf_news/press_releases/?121320/WWF-Abu-Dhabi-unveil-plan-for-worlds-first-carbon-neutral-waste-free-car-free-city WWF, Abu Dhabi unveil plan for world’s first carbon-neutral, waste-free, car-free city], WWF Internatinal, 13 January, 2008</ref>。このプロジェクトは2008年にアブダビで開催された世界未来エネルギーサミットで{{仮リンク|ムハンマド・ビン・ザーイド・アール＝ナヒヤーン|en|Mohammed bin Zayed Al Nahyan}}皇太子により公表され、その皇太子が会長を務める[[政府系ファンド]]の[[ムバダラ開発]]が出資を行い、マスダール・イニシアチブの一環として行われている。この構想された[[計画都市]]は一部に[[ゲーテッドコミュニティ]]の完成形とも評され<ref group="e">Nicholai Ouroussoff, [http://www.nytimes.com/2010/09/26/arts/design/26masdar.html In Arabian Desert, a Sustainable City Rises], ''The New York Times'', September 25, 2010 </ref>、開発には220億ドルの費用が見込まれており、大規模な[[太陽光発電]]施設や[[風力発電]]<ref group="e">[http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7237672.stm Work starts on Gulf 'green city'], ''BBC News'', 10 February, 2008</ref>、[[天然ガス]]の改質により得られた水素を用いた世界最大の水素発電所の建設などが計画されている<ref group="e">Richard Black, [http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7200052.stm Abu Dhabi plots hydrogen future], ''BBC News'', 21 January, 2008</ref>。2009年には、[[潘基文]][[国際連合事務総長|国連事務総長]]、[[トニー・ブレア]]前英国首相、[[気候変動に関する政府間パネル|IPCC]]の[[ラジェンドラ・パチャウリ]]議長等の支持を受け、マスダール・シティ内に[[国際再生可能エネルギー機関]]の本部を設置することが決定された<ref>[http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=200907013682 ＩＲＥＮＡ本部をＵＡＥに設置　　アブダビのマスダール・シティー]、共同通信PRワイヤー、2009.7.1</ref>。

=== 野生動物保護 ===
野生動物保護はWWFが設立されるきっかけであり、設立以来41年間にわたってどうすれば[[生物多様性]]に負担をかけることなく開発を行うことができるかという具体的な例を追求し、持続可能な開発における確かな実績を残してきた。その持続可能な開発を妨げる主な問題として「違法で持続不可能な、あるいは規制されていない野生生物の取引」と「生息域の喪失」がある。WWFはこれらの問題に対し、乱獲防止活動や動植物の保護、そしてそれらが生息する貴重な[[エコリージョン]]（生態域）の保全をフィールド活動や政府や企業への働きかけを通して実現している。

==== 国立公園の管理 ====
WWFは幾つかのアフリカ諸国の国立公園の管理・運営に参与している。[[マサイ族]]の暮らす[[ケニア]]や[[タンザニア]]では、白人入植者の狩猟によって野生動物が激減しており、当初、狩猟地を設ける予定であったが、後に自然保護を名目とした保護区が設置されることになった<ref>[[#フレッド1992|フレッド･ピアス (1992), pp. 105-6]]</ref>。[[ジンバブエ]]では、WWFがジンバブエ兵士にヘリコプターを提供したところ、密猟に対して射殺方針（shoot-to-kill polciy）が敷かれていたため、50人以上の密猟容疑者が殺処分となった<ref group="e">[[#Bonner1993|Raymond Bonner (1993)]], p. 18</ref><ref group="e">[[#Carlisle2003|John K. Carlisle (2003), p. 5]]</ref>。[[南アフリカ]]では、[[サイ]]の角の違法取引を防止するため、[[:en:ベルンハルト (オランダ王配)|ベルンハルト]]殿下の発案でロック作戦（[[:en:Prince Bernhard of Lippe-Biesterfeld#Project Lock|Project Lock]]）と呼ばれる密猟対策がとられた<ref group="e">Foreign Staff and Agencies, [http://www.independent.co.uk/news/world/pretoria-inquiry-confirms-secret-battle-for-the-rhino-1324553.html Pretoria inquiry confirms secret battle for the rhino], ''The Independent'', 18 January, 1996</ref>。任務は軍事活動に詳しい[[英国]]のデビッド・スターリング（[[:en:David Stirling|David Stirling]]）が編成した[[民間軍事会社]]のKAS Enterprisesがあたり、傭兵を用いて秘密裏に行われた<ref group="e">[[#Bonner1993|Raymond Bonner (1993)]], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_5.pdf pp. 78-81]</ref>。

[[コンゴ民主共和国]]では、[[キタシロサイ]]（[[:en:Northern White Rhinoceros|Northern White Rhinoceros]]）などの希少な野生動物を保護するために、WWFは「フランクフルト動物学協会」（Frankfurt Zoological Society）、[[IUCN]]下の[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]]とともに、[[ガランバ国立公園]]を管理するプロジェクトに参加している<ref group="e" name="Avant">{{cite journal |url=http://www.socsci.uci.edu/~davant/pub/7_avant_ris.pdf |author=[http://www.socsci.uci.edu/~davant/ Deborah Avant] |title=Conserving nature in the state of nature: the politics of INGO policy implementation |journal=Review of International Studies |volume=30 |issue=3 |year=2004 |pages=361–382 |doi=10.1017/S0260210504006114 }}</ref>。このプロジェクトでは密猟対策として公園職員にパトロール用の車や偵察機、公園監視員の制服などの装備一式やパトロール手当てなどを提供したが、[[スーダン人民解放軍]]により近隣の町が占領されると、[[スーダン]]難民が公園周辺の禁猟区域に移住し、スーダン人民解放軍や難民による密猟が増加し、それらゲリラとの銃撃戦に備えるため公園監視員の武器も補充された。表向きは[[キンシャサ]]の政府機関が公園職員を雇用し解雇したが、WWFからの海外駐在員が指揮にあたり支払いも行われていた。ただし、海外駐在員に与えられた指揮権は不明瞭であったため、武器の運搬や保管のガイドラインとなる基準も欠如していた。そのため、最近では密猟からの動物保護を[[民間軍事会社]]へ委託することも検討されている<ref group="e" name="Avant"/>。

WWFは[[世界銀行]]およびインドネシア政府と共同で、[[インドネシア]]の[[スラウェシ島]]にある[[ミナハサ半島]]に、旧称デュモガ・ボネ国立公園（Dumonga Bone National Park）、現在はボガニ・ナニ・ワルタボネ国立公園（[[:en:Bogani Nani Wartabone National Park|Bogani Nani Wartabone National Park]]）と呼ばれる国立公園を設置している。移動農耕を行っていたモンゴンドウ族（Mongondow）が住むデュモガ渓谷に米の栽培を行う移住者が入ったことにより、1万人ものモンゴンドウ族が周囲の山に追い出され、灌漑用のダムが建設されることになると、ダムの泥土対策としてダムの貯水池一帯が国立公園として保護されることになり、移動農民たちは不法な土地侵犯者として規定されることになった<ref>[[#フレッド1992|フレッド･ピアス (1992), p. 303]]</ref>。

=== 森林保護 ===
WWFは1962年に最初の森林保護プロジェクトを[[マダガスカル]]で展開して以来、世界各地の森林保全に取り組んできた。残されている森を守ることはもちろん、生活のために必要とする木材や紙を人間が森林環境に配慮しながら利用する仕組みづくりに取り組んでいる。その一環として、WWFでは企業や公共団体に対し責任ある林産物の調達を推進し、また、森林環境保全に配慮し、地域社会の利益にもかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材を認証して、このマークが入った製品を買うことで、消費者も世界の森林保全に間接的に関与できる仕組み（[[森林管理協議会|FSC森林認証制度]]）を推奨している。

=== 認証・顕彰事業 ===
WWFが推進する認証事業には、代表的なものとしてFSC森林認証制度<ref>[http://www.jmar.co.jp/eco/mdb/mark.html 参考になる？環境認証マーク、環境ラベル | 環境活動への取り組み] 日本能率協会総合研究所</ref>や[[海洋管理協議会|MSC]]エコラベル、[[パーム油]]を認証する「持続可能なパーム油のための円卓会議」（[[:en:Roundtable on Sustainable Palm Oil|RSPO]]）、大豆の持続可能な生産を推進する「責任ある大豆に関する円卓会議」（RTRS）などがある<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/resource/cat1305/rsportrs/index.html RSPOとRTRS]｜WWFジャパン</ref>。RSPOは[[ミグロス]]、[[ユニリーバ]]、[[セインズベリー]]、RTRSは[[モンサント (企業)|モンサント]]、[[シンジェンタ]]（[[:en:Syngenta|Syngenta]]）、[[カーギル]]などの企業との提携によって設立された。地球温暖化対策としては、[[クリーン開発メカニズム]]（CDM）や「共同実施プロジェクト」（JI）における炭素クレジットのクオリティーの高さを保障するものとして、「ゴールド・スタンダード」の認証を推進している<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/climate/cat1297/cat1299/ ゴールド・スタンダード]WWFジャパン</ref><ref>[http://www.pwcaarata.or.jp/pdf/sustainability_column/FO_20040624_ASCert.pdf WWF ゴールドスタンダード －ハイクオリティーな炭素クレジットのためのベンチマーク] (株)あらたサステナビリティ認証機構、2004. 06.29</ref>。 

[[海洋管理協議会|MSC]]は1996年に持続可能な漁業を擁護するためにWWFと[[ユニリーバ]]によって設立された。この機関が認証するエコラベルによって、巨大水産企業であるユニリーバ製品は「グリーン」のお墨付きを得ることになり、この差別化によって市場での優位性が得られるとされている<ref>[http://eco.nikkeibp.co.jp/style/eco/report/080930_guideline/ 第35回　ユニリーバの認証制度戦略 自社ガイドラインの普及を狙う]  ECO JAPAN〈エコジャパン〉</ref>。MSCエコラベルは「海のエコラベル」として[[商標登録]]が行われており、日本の「マリン・エコラベル」<ref>[http://eco.nikkei.co.jp/special/ecopro/article.aspx?id=MMECf2002027012009 カーボンフットプリント、マリン・エコラベル――「見える化」が続々] NIKKEI NET 日経Ecolomy</ref>などが「海のエコラベル」の呼称を用いることはできなくなっている。

WWFは[[ジャン・ゲティ]]家に代行してゲティ賞（[[:en:J. Paul Getty Award for Conservation Leadership|J. Paul Getty Award for Conservation Leadership]]）を管理している。WWFアメリカの前総裁のラッセル・トレインによれば、レーガンはゲティ賞を”環境保全のノーベル賞”と述べている。その他の事業としては、ロゴなどの使用許可等に伴うライセンス事業などがある。

==== 認証事業に対する反応 ====
WWFが認証制度の立ち上げに関与する場合、WWFと利害関係を持つ特定の企業に有利に制度設計が行われているのではないかと疑いが持たれているケースが幾つかあり、その独善的な振る舞いを指摘する声があり、独立性や公平性などの点でも複数のNGO団体などから疑問が呈されている。

* WWFとユニリーバの提携事業により設立された[[海洋管理協議会|MSC]]は特定の独占的営利水産企業をグリーンに仕立て上げ、海洋資源の保全や公正な分配という点で問題があることが国際NGOの「国際野生生物管理連盟」（IWMC-World Conservation Trust<ref group="e">[http://www.iwmc.org/ IWMC-World Conservation Trust]</ref>）によって指摘されている<ref>[[#ラポワント2005|ユージン･ラポワント (2005), pp. 239-240]]</ref>。また、MSCに対しては、反漁業キャンペーンを展開してきた団体に水産資源の管理責任を任せることに対する懸念が水産庁関連団体の「海の幸に感謝する会」によって表明されている<ref>{{cite press release |title=水産資源の管理責任を環境保護団体に委ねていいのか？ |publisher=[http://www.umisachi.jp/ 海の幸に感謝する会] |date=2006年12月27日 |url=http://www.umisachi.jp/press/061227.html}}</ref>。
* RSPOは[[グリーンウォッシング]]の一種ではないかと疑問視する250を越えるNGOなどの組織からの反応がある<ref group="e">[http://www.rainforest-rescue.org/news/997/over-250-organisations-condemn-greenwashing-of-palm-oil Over 250 organisations condemn Greenwashing of Palm Oil], Rettet den Regenwald e.V. (Rainforest Rescue), 15.10.2008</ref><ref group="e">[http://www.wrm.org.uy/plantations/RSPO_letter.html Oil Palm monocultures will never be sustainable], World Rainforest Movement</ref>。RSPOに懐疑的なNGOによれば、パーム油の開発はきわめて広大なプランテーションを必要とし、熱帯雨林などの生態系の破壊など環境負荷が大きく、そのほかにも地域共同体の生活の破壊、[[オランウータン]]の棲息地が脅かされるなど、根本的に持続可能なパーム油の開発は不可能との見解が示されている。
* 熱帯雨林を守っている先住民ネットワークを含む国際NGOの「世界熱帯林運動」（[[:en:World Rainforest Movement|World Rainforest Movement]];WRM）は、FSC認証スキームを利用して大規模な[[モノカルチャー]]の[[プランテーション]]を推進すべきではなく、それらは必ずしも森林保護に結びついていないと主張している<ref group="e">[http://www.wrm.org.uy/bulletin/64/viewpoint.html#viewpoint The FSC must stop certifying large-scale tree monocultures], ''WRM Bulletin '', Issue Number 64 November 2002</ref><ref>トム・エドワードソン、[http://www.kiwi-us.com/~scc/ud/28b.html ヨーロッパでの木材認証に関する議論]、Sarawak Campaign Committee</ref>。
* WWFの提唱する「紙のスコアカード」に対して、PEFC森林認証機関から公平性の点で疑問が呈されている<ref>[http://pefcasia.org/japan/about_council/statements/20080318.html WWFの提唱する「紙のスコアカード」に対するPEFCの立場表明書], 森林認証 PEFCアジアプロモーションズ PEFC声明書, 2008年3月18日</ref>。
* WWFが設立のイニシアティブをとる水産養殖認証ラベルの「水産養殖管理協議会」（Aquaculture Stewardship Council; ASC）<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/2009/02/642717.html WWFがＡＳＣ（水産養殖管理協議会）の設立に資金援助へ] ＭＳＣについて｜WWFジャパン</ref>は先住民や地域コミュニティの声が排除されており、世界中の地域から70を越える人権・環境グループがASCの設立に反対を表明している<ref group="e">[http://mangroveactionproject.org/news/current_headlines/worldwide-protest-against-wwf2019s-plans-to-launch-aquaculture-stewardship-council Worldwide Protest Against WWF’s Plans to Launch Aquaculture Stewardship Council], Mangrove Action Project, 14th May 2009</ref>。

=== 広告活動 ===
WWFは独自のレポートを発行しており、広告活動も盛んに行われている。Advertising Community Together(ACT)<ref group="e">[http://www.act-responsible.org/ACT/ACTINCANNES/THEEXPO2009.htm THE EXPO : Climate change, human impact, creative challenge], Act Responsible</ref>などの他団体への支援も行っている<ref group="e">[http://www.act-responsible.org/ACT/ACTINCANNES/ACTIVEPARTNERS.htm SPONSORS & PARTNERS], Act Responsible</ref>。WWFは持続可能な資源利用を原則として認めているが、鯨や象などの募金キャンペーンの主役を担うカリスマ性のある動物（[[保全生態学#保全生態学の考え方|フラッグシップ種]]）に関しては正反対の立場をしばしとることがある。象牙取引禁止提案に関して始めは反対していたが、資金集めの点で不利になったため、これまでの立場を翻し、1988年から全面禁止に舵を切ることになった<ref>[[#ラポワント2005|ユージン･ラポワント (2005), p. 82]]</ref>。全面禁止のキャンペーンの後、1989年、[[CITES]]により、すべての[[象牙]]取引は禁止されることになった。 

近年、WWFは、[[グリーンピース (NGO)|グリーンピース]]と国際動物福祉基金（[[:en:International_Fund_for_Animal_Welfare|IFAW]]）と共同で、アメリカの一流紙に寄付金募集の広告を行っている。広告は[[反捕鯨]]をテーマにしたもので、時期的には日本の[[首相]]の訪米や[[国際捕鯨委員会|IWC]]やCITESなどの重要な国際会議の開催時期に重ねて行われている<ref>[[#ラポワント2005|ユージン･ラポワント (2005), p. 82]]</ref>。

2011年4月、マグロの乱獲に反対するキャンペーンのポスターで、マグロの頭に絶滅させないように大事に繁殖させられているパンダの顔を合成して”もし、わたしがパンダだったら、もっと大事にしてくれますか？”とのメッセージで乱獲反対を訴えた。また、他にもゴリラ、サイなどの物がある。<ref>もしマグロがパンダだったらもっと大切にしてくれるかな？と訴えかけるポスター[http://gigazine.net/news/20110421_tuna_panda/]</ref>

==== 広告・レポート等の信頼性 ====
* [[CNN]]に出したWWFの広告が科学的に不正確な内容とアジア人に対する[[人種差別]]的な認識があることが指摘されたため、その広告は取り下げられることになった<ref>[[#ラポワント2005|ユージン･ラポワント (2005), p. 195]]</ref><ref group="e" name="CNN">[http://www.iwmc.org/whales/iwc50/980507.htm WHEN CNN ERRS, WHO IS TO BLAME?], IWMC - News Release, 07 May, 1998</ref>。
* WWFの氷河に関するレポートは[[気候変動に関する政府間パネル|IPCC]]の執筆者によって高く評価されており、参考文献としても引用されたが、その後、2009年にWWFのレポートは論文発表の行われていない記事に基づいて作成されたものであることが明らかとなり、[[IPCC第4次評価報告書]]の信頼性自体への批判（[[:en:Criticism of the IPCC AR4|Criticism of the IPCC AR4]]）にまで発展した。
* WWFは寄付金集めを促進するために気候変動の脅威を扇情的に誇張し、[[誇大広告]]を行っているとの指摘が[[オックスフォード大学]]の[[生物多様性]]研究グループのポール・ジェプソン博士、リチャード・ラドル博士等によってなされている<ref group="e">Richard J. Ladle et al. (2004), [http://www.geog.ox.ac.uk/research/biodiversity/crywolf.pdf 'Crying wolf on climate change and extinction'], [http://www.geog.ox.ac.uk/research/biodiversity/output.html Supplement] in ''Nature'' by Richard Ladle et al.</ref><ref group="e">{{cite journal |author=Richard J. Ladle et al. |url=http://www.cea.uevora.pt/umc/pdfs/Ladle_et_al.2004.pdf |journal=Nature |title=Dangers of crying wolf over risk of extinctions |volume=428 |pages=799 |year=2004 |doi=10.1038/428799b }}</ref> 。この指摘に対して、WWFイギリスの広報は、感情に訴えることは募金につながるため、主張を単純化してアピールすることは正当化されるとの認識を示している<ref group="e">Elizabeth Day, [http://www.telegraph.co.uk/education/3339550/Charities-spread-scare-stories-on-climate-change-to-boost-public-donations.html Charities 'Spread Scare Stories on Climate Change to Boost Public Donations'], ''Telegraph'', 02 May, 2004</ref>。
* 2005年、[[ロンドン大学]]の[[毒物学]]者アラン・ブービス教授の指摘により、WWFが[[化学物質]]に対して無責任でヒステリックなデマを行っていたことが明らかにされた<ref group="e">Robin McKie, [http://www.guardian.co.uk/science/2005/sep/18/medicineandhealth.health Poison experts attack 'hysteria' over chemicals], ''The Observer'', Sunday 18 September 2005</ref><ref>{{Cite book|和書 |author=ダン・ガードナー |translator=田淵健太 |year=2009 |title=リスクにあなたは騙される　恐怖を操る論理 |publisher=[[新風舎]] |pages=352 |isbn=978-4-15-209036-2 }}</ref>。
* 1997年にWWFは世界の森林の三分の二が永久に失われたとプレスリリースを出したが、その根拠となる研究報告書は存在しなかった<ref>{{Cite book|和書 |author=[[ビョルン・ロンボルグ]] |translator=[[山形浩生]] |year=2003 |title=環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態 |publisher=[[文藝春秋]] |pages=37 |isbn=4163650806 }}</ref>。

=== 金融商品の開発 ===
WWFアメリカのトマス・ラブジョイ（[[:en:Thomas Lovejoy|Thomas Lovejoy]]）は、1984年に自然保護債務スワップ（[[:en:Debt-for-Nature Swap|Debt-for-Nature Swap]]）と呼ばれる金融取引を考案した。初めて行われたコスタリカとの取引で、WWFは三倍の投資効果を実績として収めている<ref>[[#フレッド1992|フレッド･ピアス (1992), p. 336]]</ref>。一方、巨大ダムの建設などの開発計画に借款を与えることにもなるため、本来の目的である債務と自然保護の交換ではなく、結局、環境負荷の大きい大規模開発計画を促進しているだけではないかとの指摘もある<ref>[[#フレッド1992|フレッド･ピアス (1992), pp. 334-343]]</ref>。

WWFは、2000年に、[[金融商品]]を開発するため[[ウォール街]]から金融[[コンサルタント]]を雇い入れ、次世代の自然保護・金融モデルの開発を任務とした自然保護金融センター（The Center for Conservation Finance
）を立ち上げた<ref>{{Cite book|和書 |author=マイケル･ゴールドマン |translator= 山口富子 |year=2008 |pages=199-200 |title=緑の帝国―世界銀行とグリーン・ネオリベラリズム |publisher=[[京都大学学術出版会]] |isbn=4876987246 }}</ref>。WWFは債務スワップと信託基金を通して[[レバレッジ]]を行ない、市場変化のイニシアチブを介した自然保護金融を推奨している<ref group="e">[http://www.ecosystemmarketplace.com/pages/dynamic/organization.page.php?page_id=2217&section=directory The Katoomba Group's Ecosystem Marketplace - The Center for Conservation Finance]</ref>。

== 総裁 ==
[[ファイル:Prince Bernhard 1942.jpg|thumb|right|250px|初代総裁ベルンハルト殿下]]
{| class="wikitable" 
|+ '''1962年から現在に至る歴代総裁'''<ref group="e">[http://www.panda.org/about_wwf/who_we_are/organization/presidents/index.cfm WWF Presidents of the Organization over its history]</ref>
! width="50" style="text-align:left;background-color:#B0C4DE;" | Years || style="text-align:left;background-color:#B0C4DE;"| Name
|- 
|1962-1976
|[[:en:Royal Highness|HRH]] [[ベルンハルト (オランダ王配)|オランダ王配ベルンハルト]]殿下
|-
|1976–1981
| ジョン・H・ラウドン（John H. Loudon）
|-
|1981–1996
| [[:en:Royal Highness|HRH]] [[フィリップ (エディンバラ公)|エディンバラ公フィリップ]]殿下
|-
|1996–1999
| シド・ババル・アリ（Syed Babar Ali）
|-
|2000
| ルード・ルベルス（[[:en:Ruud Lubbers|Ruud Lubbers]]）
|-
|2000–2001
| Hon. Sara Morrison
|-
|2001–2010
| エメカ・アニャオク（[[:en:Emeka Anyaoku|Emeka Anyaoku]] ）
|-
|from 2010
| ヨランダ・カカバドス（Yolanda Kakabadse）
|}

== 1001クラブ ==
{{main|:en:1001 Club}}
1970年代初頭、[[オランダ]]の[[ベルンハルト (オランダ王配)|ベルンハルト皇太子]]と[[イギリス]]の[[フィリップ (エディンバラ公)|フィリップ皇子]]は、数人の仲間と一緒に、1001：ネイチャー・トラストを設立した。その目的はWWFの管理と資金調達の側面をカバーすることになっている。このクラブは、それぞれ一万ドルをトラストに寄付をした1001人のメンバーを得ている<ref group="e">[http://wwf.panda.org/who_we_are/history/seventies/ WWF in the 70's]</ref>。クラブのメンバーには、麻薬密輸業者の[[:en:Robert Vesco|Robert Vesco]]や[[マネーロンダリング]]や武器密輸、麻薬取引への関与が指摘される[[国際商業信用銀行]]の創立者である[[:en:Agha Hasan Abedi|Agha Abedi]]など多彩な人物によって構成されている<ref group="e">[[#Bonner1993|Raymond Bonner (1993)]],  [http://www.ogiek.org/indepth/whit-man-game-wwf.htm p. 68]</ref><ref group="e">{{cite journal |url=https://openaccess.leidenuniv.nl/bitstream/1887/9076/1/ASC-1241486-094.pdf|author=Stephen Ellis |title=Of elephants and men: politics and nature conservation in South Africa |journal=Journal of Southern African Studies |volume=20 |issue=1 |year=1994 |pages=53-69 |doi=10.1080/03057079408708386 }}</ref><ref group="e">[[#Carlisle2003|John K. Carlisle (2003), p. 2]]</ref>。

== 幹部理事の特徴 ==
WWFの第二代総裁は、[[ロイヤル・ダッチ・シェル]]元会長のジョン・H・ラウドンが務める。WWFはロイヤル・ダッチ・シェルだけでなく、[[エクソン・モービル]]、[[モンサント (企業)|モンサント]]のような企業からも資金提供を受けており<ref group="e">{{Citation |author=Mac Chapin |year=2004 |title=A Challenge to Conservationists |journal=World Watch Magazine |volume=17 |issue=6 |pages=17-31 |url=http://www.worldwatch.org/system/files/EP176A.pdf |doi=  }}</ref>、WWFの理事会のメンバーには、実業家や多国籍企業の重役や銀行経営者などが多数含まれており、しばし彼らは重大事故による環境破壊を引き起こしている当事者であることも少なくないが、その事故の責任については幹部理事ということで免責されている<ref group="e" name="Board Games">{{Citation |author=Jim Donahue |year=1990 |title=Environmental Board Games |journal=Multinational Monitor |volume=11 |issue=3 |pages=10-12 |url=http://multinationalmonitor.org/hyper/issues/1990/03/donahue.html |issn= |doi=  }}</ref>。

=== 環境破壊に対する免責 ===
WWF設立メンバーの一人であるラッセル・トレイン（[[:en:Russell E. Train|Russell E. Train]]）は、[[ボパール化学工場事故]]を起こした[[ユニオンカーバイド]]社の当時取締役でもあったが<ref group="e" name="Board Games"/>、その事故に対する雑誌のインタビューで、ユニオンカーバイド社は優れた環境プログラムを有していると述べ、数千人以上の死者が出たことに対する責任はないとしている<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), p. 255]]</ref>。1989年に起きた[[エクソンバルディーズ号原油流出事故]]において、WWFアメリカはエクソンに対するボイコットへの参加を見送っている。これは、当時エクソン・ケミカルのユージン・マクブレイヤー社長が、WWFアメリカの理事を務めていたことが、その一因として挙げられている。また、環境分野の名誉称号（comandante dell'ordine dell' Arca D'Oroなど）を受けているWWFインターナショナルの名誉副会長リュック・ホフマンは、1976年当時イタリアで[[セベソ事故]]を起こしたICMESA社の幹部でもあった。

=== スポーツハンティング ===
WWF名誉会長[[フィリップ (エディンバラ公)|エディンバラ公フィリップ]]は、WWFの創始者の一人であり、大型動物の狩猟家グループ（[[:en:Big-game hunter|Big-game hunter]]）としても知られている<ref>[[#ラポワント2005|ユージン･ラポワント (2005), pp. 81-2]]</ref>。イギリスでは、植民地時代のハンターのたまり場として知られるロンドンのシカール・クラブ（[[:en:Shikar Club|Shikar Club]]）を支持基盤に持つ<ref>[[#フレッド1992|フレッド･ピアス (1992), p. 40]]</ref>。WWFは[[トラ]]保護キャンペーンを行う一方で、フィリップ殿下など幹部によるトラなどの野生動物の[[スポーツハンティング]]も行われている<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), pp. 257-8]]</ref>。野生生物の保護を謳いながら、スポーツハンティングなどの娯楽目的の狩猟は認めているため<ref group="e">{{Citation |author=Candida Hadley |year=2005 |title=World Wildlife Fund |journal=Globalization and Autonomy Online Compendium |volume= |issue= |pages= |url=http://www.globalautonomy.ca/global1/glossary_entry.jsp?id=OR.0048 |issn= |doi=  }}</ref>、[[動物の倫理的扱いを求める人々の会|PETA]]などの極端な動物愛護団体から批判を受けている<ref group="e">[http://www.wickedwildlifefund.com/ WickedWildlifeFund.com]</ref>。これは、フィリップのようなWWF幹部にとって、本来、ハンティングとは上流階級の嗜みとして行われる崇高なスポーツであり、上流階級の特権とみなされてきた歴史がある<ref>{{Cite book|和書 |author=ハリエット･リトヴォ |translator=三好みゆき |year=2001 |title=階級としての動物―ヴィクトリア時代の英国人と動物たち |publisher=[[国文社]] |isbn=4772004858 }}</ref>。一方、[[アフリカ]]等での取り組みに対しては利己的で[[新植民地主義]]（[[:en:Neocolonialism|Neocolonialism]]）との指摘もある<ref group="e">{{Citation |author= Ann O'Hanlon |year=1993 |title=At the Hand of Man: Peril and Hope for Africa's Wildlife. - book reviews |journal=Washington Monthly |volume=25 |issue=5 |pages=60 |url=http://findarticles.com/p/articles/mi_m1316/is_n5_v25/ai_13786334/?tag=content;col1 |doi=  |archiveurl=http://archive.is/nOk0|archivedate=2012-07-10}}</ref><ref group="e">[[#Bonner1993|Raymond Bonner (1993)]], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_5.pdf p. 76]</ref>。

=== ロッキード事件 ===
WWF設立メンバーの一人である[[ベルンハルト (オランダ王配)|オランダ王配ベルンハルト]]は、[[ロッキード事件]]においてロッキード社製軍用機購入に対する賄賂を、WWFの資金として企てる用意があったことを明らかにしている<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), p. 256]]</ref>。ロッキード事件の余波を受け、ベルンハルト殿下は1976年に総裁を辞任しているが、WWFの資金システムを構築した功労者としてWWF内部では現在でも高く評価されている<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), p. 256]]</ref>。

=== 関係者の違法行為 ===
WWFイタリアのフルコ・プラテージによるアブルッツォ国立公園の杜撰な運営に対して会計検査院によって指摘が行われ、判決によって賠償等が命じられている<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), pp. 253-4]]</ref>。プラテージは、WWFの最初期からのメンバーで国立公園の理事であるフランコ・タッシと組んで、粉飾決算や公園予算の私的流用などを行い有罪判決を受けている。

== 思想的背景 ==
WWF創設者の思想的背景には、[[優生学]]などのイデオロギーとの結びつきが指摘する向きもある<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), pp. 248-254]]</ref>。WWF創設メンバーの一人である[[ジュリアン・ハクスリー]]は1940年に安楽死協会の理事を務めており、1937年からはイギリス優生学協会の副会長を務め、1969年には人工中絶法改正協会の副会長となっている。WWFを立ち上げた1961年には優生学協会の会長でもあった<ref group="e">[http://www.eugenics-watch.com/briteugen/eug_hohz.html Eugenics Society Members List - Ho-Hz.]</ref>。当時ハクスリーは、[[ロックフェラー財団]]や[[フォード財団]]などの著名な個人財団や[[世界銀行]]だけでなく、[[国際連合|国連]]および国連の各関連機関が適当な人口管理のための[[補助金]]と援助をあたえる強力な武器になるであろうとの認識を示しており、消極的優生学的な方法として人口管理政策を行う機関の必要性を強く主張していた<ref group="e">Julian S Huxley (1962). ''Eugenics Review''. '''54''': 123-141 </ref><ref group="注">[[#ハクスリー1990|ジュリアン・ハクスリー (1990), pp. 252-3]]「適当な人工管理のための補助金と援助をあたえる強力な武器は、近代世界の偉大なる機構－国連およびF･A･Oのようなさまざまの特殊な機関を代表する技術援助庁、世界銀行と国際金融協力機関、コロンボ計画と米国国内開発基金などの国際機関、およびロックフェラー、フォード、ガルベンキアン、ナッフィールド、カーネギーなどの大きな個人財団（著名な人物、フレデリック・ケッペルによって巧みにも博愛人類と分類された）－の手許に用意されている。」</ref>。とくに低所得者の人口増加やスラム街における社会問題となる集団の出産率の高さなどに対して強い懸念を抱いていた<ref group="注">[[#ハクスリー1990|ジュリアン・ハクスリー (1990), p. 254]]「さらに、過去一〇〇年間における低所得者の集団、階級、共同社会においていちじるしくかたよった人口増加の見られることは、どうみても優生学的な効果があるとはいえない。工業都市のスラム街における、いわゆる社会問題となる集団に、きわめて出生率の高いことは、明らかに反優生学的である。」</ref>。

WWFが野生生物の保護を謳う一方で、[[人口増加]]を抑制するための宣伝を精力的に行ってきたのは、このような優生学思想に基づいた人口増加（[[人口爆発]]）に対する強い懸念が根底にあるのではとの指摘がなされている<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), pp. 247-254]]</ref>。

また、WWFの理事フルコ・プラテージは葬式や棺、埋葬は重大な汚染を引き起こすと主張し、その解決策として人間の死体を[[絶滅危惧種]]の[[猛禽類]]の餌にすることや、犬や猫のための人肉缶詰を作ることなどを提案している<ref>[[#リッカルド2008|リッカルド・カショーリほか (2008), pp. 253-4]]</ref>。

== その他 ==
=== 団体の方向性 ===
{{独自研究|date=2012-01-03}}
WWFは反捕鯨広告<ref group="e" name="CNN"/>や[[クロマグロ]]のボイコット運動<ref>{{Cite book|和書 |author=米澤邦男 |date=1998年8月6、10日 |chapter=[http://luna.pos.to/whale/jpn_yone_fish.html 欧米マスコミに燃え盛る漁業非難キャンペーンとその真の狙い] |title=農林経済 |publisher=[[時事通信社]] |isbn= }}</ref>などで[[グリーンピース (NGO)|グリーンピース]]などの他の環境保護を目的とする[[NGO]]と歩調を合わせることもあるが、クロマグロ漁の妨害活動を行う[[シーシェパード]]<ref>{{cite news|url=http://www.asahi.com/international/update/0316/TKY201003150473.html|accessdate=2010-03-16|deadlinkdate=2012-01-03|title=シー・シェパード、マグロ漁も妨害へ|newspaper=[[朝日新聞]]|date=2010-03-16|author=塚本和人}}</ref>や、非暴力を旨としながらも主張のためであれば[[グリーンピース宅配便窃盗事件|違法行為]]さえも厭わないグリーンピースなどの環境保護団体と比べると相対的に穏健な手段を用いた活動を行っており、各種エコラベルの認証事業や森林保護・野生動物保護・地球温暖化対策など幅広い活動が行われており、方向性や役割は異なると見ることが出来る。

例えば WWF ドイツ支部 "WWF Deutschland" により5月15日付で発行されたニュースレターでは、[[コンゴ共和国]]の森林地帯に生息する Mowane と名付けられたゴリラの危機的な生活環境を紹介し森林保護活動への寄付を募っているし、WWF 日本支部 "WWFジャパン" においても、支部ウェブサイト上では[[生物多様性条約]]に関する第9回締約国会議 (COP9) に際し WWF が発行した調査書 『2010 and Beyond: Rising to the Biodiversity Challenge（2010年目標とその先にあるもの：生物多様性保全という課題に向けて）』の報告<ref>[http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/news/2008/20080516.htm 生物多様性条約会議迫る 「2010年」の約束は果たせるか：WWFの活動／WWFジャパン - WWFジャパン]</ref>や[[石垣島]]・白保のアオサンゴの分布状況の調査報告<ref>[http://www.wwf.or.jp/activity/marine/news/2008/20080513.htm 石垣島・白保 世界最大級のアオサンゴの実態に迫る：WWFの活動／WWFジャパン - WWFジャパン]</ref>を行っている。一方、比較的活動が穏健に見られる理由として、WWF幹部には企業の重役が多数占めており、[[ボパール化学工場事故]]の例にあるように、数千人規模の死者が出ても全く問題にしないなど、それら企業に対して甘いだけではないかとの指摘もある<ref group="e" name="Board Games"/>。

=== 捕鯨問題 ===
WWFは[[グリーンピース (NGO)|グリーンピース]]と並ぶ反捕鯨運動の代表的団体であり<ref>[[#ラポワント2005|ユージン･ラポワント (2005), pp. 239-240]]</ref>、[[捕鯨問題]]に関しては扇情的なアピール活動を行い<ref group="e" name="CNN"/><ref>[http://luna.pos.to/whale/jpn_nemo2.html 捕鯨問題をめぐる往復書簡]、''[http://miura.k-server.org/newpage3.htm ｎｅｍｏ]''、第2号、1995年</ref>、豊富に生息している[[クロミンククジラ]]であっても絶滅危惧種と一緒くたに捕鯨を認めない立場をとり、一種の象徴としてクジラを扱うようになったのではないかとの見方がある<ref>アルネ・カラン、 [http://luna.pos.to/whale/jpn_hna_super_w.html スーパー・ホエール: 環境保護運動における作り話とシンボルの利用]、
''[http://www.highnorth.no/library/myths/su-wh-th.htm 11 Essays on Whales and Man]''、1994</ref>。ただし、WWF日本支部の会報においては個体数が多い種類を徹底した管理の上で捕る事は可能であるという旨の見解を載せており<ref>[http://luna.pos.to/whale/jpn_zat_ngo.html 反捕鯨団体あれこれ]</ref>{{#tag:ref|尚、乱獲が行われた[[シロナガスクジラ]]などは適正水準以下にあり、初期資源量には程遠い状態にあり、当時捕鯨された鯨種の殆どが増加にもかかわらず未だ初期資源量に達していないが。唯一、小柄で捕鯨オリンピックの時期に乱獲を免れたクロミンククジラは100年前の8万頭が10倍程度増加し、[[インド洋]]を含む[[南半球]]では76万頭が生息すると推定されている<ref group="e" name="Tamura2001"/>。ただし、その増加は他の鯨種の乱獲による減少による生態系の変化による影響が原因であり（『ここまでわかったクジラとイルカ』講談社、1996年、ISBN 4062571080 155-156頁）、現在ではその増加も停止している|group="注"}}、2002年には、下関におけるIWC総会の直前に、WWFジャパンはある程度の捕鯨を認めた上での対話宣言を出している<ref name="norin">[http://www.jfa.maff.go.jp/j/study/enyou/pdf/gizigaiyo3.pdf 第３回 鯨類捕獲調査に関する検討委員会議事概要   農林水産省]</ref>。

=== 割り箸に関する取り組み ===
1989年からWWFは日本の[[割り箸]]の大量消費が[[熱帯雨林]]を破壊しているとの主張を行うようになった<ref>{{Cite book|和書 |author=田中淳夫 |year=2005 |title=割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 |pages=108-111 |publisher=[[筑摩書房]] |isbn=44480063641 }}</ref>。割り箸問題に関しては、国内産の割り箸は端材や背板を利用し、森林保全としての役割も担っており、また日本国内で消費される割り箸の90%以上が中国などからの輸入であるが、中国産の輸入割り箸が輸入木材に占める割合は全体の1％未満であり、抜本的な森林保護には必ずしも結びついてはいない、との指摘がある。
もっとも日本国内で主に消費される中国などからの輸入割箸の原材料となるのは端材や背板ではなく、生産性を重視し丸太を桂剥きにしたものから大量に製造されている<ref group="注">{{cite web |url=http://www.sanshiro.ne.jp/activity/99/k01/chopsticks.pdf |title=割り箸から見た環境問題 |author=環境三四郎1999 年度春調査プロジェクト |date=1999年 |accessdate=2010/8/27 |quote=もし何らかのことで国際的に木材の価格が上がれば、再びかつてのように用途の少ない木材から割り箸を作るようになり、割り箸製造が森林に与える影響を減ることになるだろう。(p29)…(中略)…日本の状況、または中国の状況だけを見ていては、中国で森林を伐採している一方で日本国内では間伐材が捨てられている、という問題の核心を見過ごしていただろう。(p41)}}</ref>。これらのことから、WWFのみならず各環境保護団体が主張する割り箸問題は森林保護よりは、割り箸という身近なものを例に挙げた資源浪費への警鐘としての意味合いが強い。

=== マグロ資源に関する取り組み ===
近年では[[寿司]]や[[刺身]]などの需要の増加に伴い[[クロマグロ]]が乱獲により絶滅の危機に瀕していると訴え<ref>[http://www.wwf.or.jp/activity/lib/press/2006/p06070501.htm WWFが警告！違法漁業が続く地中海クロマグロ漁を禁漁に！：ＷＷＦの活動／WWFジャパン]
</ref>、世界中の小売店に対して地中海をはじめとする世界中のクロマグロの販売停止を呼びかけている。この[[ボイコット]]運動により、[[クロアチア]]を筆頭に[[地中海]]地方のクロマグロ[[養殖]]産業に影響が及んでいる<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20060725gr0a.htm マグロ養殖王国・クロアチア、「乱獲だ」批判に動揺（読売新聞）]</ref>。マグロはウナギと同様に人工孵化が難しく、原状で養殖マグロの殆どが稚魚を捕えて養畜するものなので、長期的な視野に立つ資源管理が必要だとWWFは訴えている。

===サメの保護===
[[ふかひれ]]の原材料となる[[サメ]]の乱獲を憂慮し、フカヒレ料理の提供を止めるよう働きかけを行っている。2010年からは中華料理の本場の一つである[[香港]]で、代替素材を使った料理の提供をホテルや宴会業者などに働きかけるキャンペーンを行い、反発や反対は多かったものの一部業者の賛同を取り付けるなど一定の成果を収めた。<ref>[http://www.cnn.co.jp/business/30004717-2.html フカヒレ料理を1月に廃止、海洋保護で高級ホテルチェーン]（CNN.co.jp.2011年11月27日）2011年12月3日閲覧</ref>。

=== 略称表記に関する経緯 ===
[[2001年]]に同じ略称であった[[アメリカ]]の[[プロレス]]団体'''WWF'''（現[[WWE]]）に対して名称の変更と名称の混乱に伴う3億6000万ドルの損害賠償を請求するための訴訟を起こし、当該プロレス団体の名称を変更させた経歴がある<ref group="e">[[#Carlisle2003|John K. Carlisle (2003), pp. 1-9]]</ref>。当然のことながら当団体とWWEの資本・人材関係は現在のところない。

=== その他 ===
* 2008年当時、会員に配られている会報誌の紙は、[[日本製紙]]からの提供を受けていた。[[グリーン購入法]]に基づき自治体等でも環境配慮製品の優先的な購入をしていたが、古紙配合率の[[偽装表示]]が発覚し、その余波を受け、WWFジャパンの印刷物・紙製品についても偽装表示された製品が含まれていたことが判明した<ref>[http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/japan/report/paper/20080227.html 古紙を利用したWWFジャパンの印刷物・紙製品について｜WWFジャパンについて]WWFジャパン</ref>。その後は、FSC森林認証紙など管理された林産物資源を利用することを示した。
* 公式サイトの[[HTTP 404|404ページ]]<ref>[http://www.wwf.or.jp/404.html 404エラー｜WWFジャパン]</ref>では「○○（動物の名前）は、○○○○年に絶滅しました。世界中を探しても見つけることはできません」のテキストとその動物のイラストがランダムに表示される。

== 出典 ==
{{Reflist}}

== 出典 英語==
{{reflist|group=e}}

== 脚注 ==
{{reflist|group=注}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |author=ユージン･ラポワント |translator=三崎滋子 |year=2005 |title=地球の生物資源を抱きしめて―野生保全への展望 |publisher=[[新風舎]] |isbn=4797476494 |ref=ラポワント2005 }}
* {{Cite book|和書 |author=ジュリアン・ハクスリー |translator=若林千鶴子 |year=2005 |title=進化と精神（新装版） |publisher=[[思索社]] |isbn=4783501807 |ref=ハクスリー1990 }}
* {{Cite book|和書 |author=フレッド･ピアス |translator=平沢正夫 |year=1992 |title=緑の戦士たち―世界環境保護運動の最前線 |publisher=[[草思社]] |isbn=4794204639 |ref=フレッド1992 }}
* {{Cite book|和書 |author=リッカルド・カショーリほか |translator= 草皆伸子 |year=2008 |title=環境活動家のウソ八百 |publisher=[[洋泉社]] |isbn=4862483097 |ref=リッカルド2008 }}
* {{Cite book |author=Raymond Bonner |year=1993 |title=At the Hand of Man: Peril and Hope for Africa's Wildlife |publisher=Knopf |pages=[http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_2.pdf pp. 46-55], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_3.pdf 56-65], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_4.pdf 66-75], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_5.pdf 76-85], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_6.pdf 86-95], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_7.pdf 96-105], [http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Pages_from_Bonner_CH2_8.pdf 106-113],[http://dss.ucsd.edu/~ccgibson/docs/Africa%20Besieged.pdf 114-159] |isbn=0679400087 |ref=Bonner1993 }}Vintage Books ed., ISBN 0679733426
* {{Citation |author=John K. Carlisle |year=2003 |title= World Wide Fund For Nature vs. World Wrestling Entertainment |publisher=[[:en:Capital Research Center|Capital Research Center]] |url=http://www.capitalresearch.org/pubs/pdf/x3773144899.pdf |ref=Carlisle2003 }}

== 関連項目 ==
* [[生きている地球レポート]] - 世界自然保護基金が発行している環境問題についての報告書
* [[持続可能な開発]]
* [[:en: Traffic (conservation programme) |TRAFFIC]]
* [[アース・アワー]]
* [[ジュリアン・ハクスリー]]
* [[人口爆発]]
* [[優生学]]
* [[責任ある漁業]]
* [[反捕鯨]]
* [[捕鯨問題]]
* [[割り箸]]

== 外部リンク ==
{{Commonscat|WWF}}
* [http://www.panda.org/ WWF International]
* [http://www.wwf.org/ WWF's global network]
* [http://www.wwf.or.jp/ 世界自然保護基金ジャパン]
* {{Google+|108754874954201753310|WWF Japan|page=posts}}
* {{Twitter|WWFJapan|WWFジャパン}}

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