エリック・シンセキのソースを表示

{{政治家
|各国語表記 = Eric Shinseki
|画像 = Eric Shinseki official Veterans Affairs portrait.jpg
|画像説明 = エリック・シンセキ（2009年1月）
|国略称 = {{USA}}
|生年月日 = {{生年月日と年齢|1942|11|28}}
|出生地 = [[ハワイ州]] [[カウアイ郡 (ハワイ州)|カウアイ郡]]
|没年月日 =
|死没地 =
|出身校 = [[陸軍士官学校 (アメリカ合衆国)|陸軍士官学校]]<br/>[[デューク大学]]<br/>[[アメリカ陸軍指揮幕僚大学]]
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|称号・勲章 = [[レジオン・オブ・メリット]]<br/>[[ブロンズスター]]<br/>[[パープルハート章]]
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|国旗 = アメリカ合衆国
|職名 = 第7代[[アメリカ合衆国退役軍人長官]]
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|就任日 = [[2009年]][[1月20日]]
|退任日 = [[2014年]][[5月30日]]
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|元首職 = [[アメリカ合衆国大統領|大統領]]
|元首 = [[バラク・オバマ]]
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{{基礎情報 軍人
| 氏名 = エリック・ケン・シンセキ
| 各国語表記 = Eric Ken Shinseki
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| 没年月日 =
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| 生誕地 =
| 死没地 =
| 所属政体 = {{USA}}
| 所属組織 = {{USARMY}}
| 軍歴 = 1965年 - 2003年
| 最終階級 = [[陸軍大将]]
| 指揮 = 第34代[[アメリカ陸軍参謀総長]]<br/>アメリカ陸軍ヨーロッパ中央司令官
| 部隊 =
| 戦闘 = [[ベトナム戦争]]<br/>[[ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争]]
| 戦功 =
| 賞罰 =
| 除隊後 =
| 廟 =
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'''エリック・ケン・シンセキ'''（'''Eric Ken Shinseki''', [[1942年]][[11月28日]] - ）は、[[アメリカ合衆国陸軍]]の元軍人（退役[[大将|大将（四つ星）]]）で、元[[アメリカ陸軍参謀総長|陸軍参謀総長]]（第34代、在任:[[1999年]][[6月21日]] - [[2003年]][[6月11日]]）。[[バラク・オバマ|オバマ政権]]において[[アメリカ合衆国退役軍人長官|退役軍人長官]]（閣僚）を務めた。[[ハワイ州]]出身の[[日系アメリカ人]][[三世 (日系人)|3世]]である。日本名（姓）は'''新関'''。

== 略歴 ==
[[真珠湾攻撃]]の翌年の[[1942年]][[11月28日]]、ハワイ州の[[カウアイ島]]で生まれた。祖父の代に[[広島県]][[広島市]][[江波 (広島市)|江波]]から移住してきた日系3世である<ref>両祖父母とも広島出身。プロゴルファー、[[デビッド・イシイ]]は[[いとこ]]（[[中国新聞]] 2009年1月22日 30頁[http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20090130144958922_ja]）、[http://ido-shien.mobi/johnlennon/message/obama.html 移動支援フォーラム Message to Obama]。</ref>。

=== 軍歴 ===
[[1965年]]、アメリカ合衆国の[[陸軍士官学校 (アメリカ合衆国)|陸軍士官学校]]（[[ウェストポイント (ニューヨーク州)|ウェストポイント]]）を卒業、[[ベトナム戦争]]では実戦に参加し、[[地雷]]を踏んで右足の半分を失う負傷している。[[ヨーロッパ]]には10年以上駐在し、[[1994年]]3月から[[1995年]]1月まで、[[テキサス州]]に司令部をおく[[第1騎兵師団 (アメリカ軍)|第1騎兵師団]]の師団長を務めた。

[[1996年]]7月、[[中将|陸軍中将]]に昇進して作戦・計画担当の参謀次長になってから、短期間に陸軍上層部で急速に昇進した。

[[1997年]]には[[大将|陸軍大将]]に昇進した後、[[アメリカ欧州陸軍|在欧アメリカ陸軍]]（第7軍）司令官を経て[[1998年]][[11月24日]]第28代陸軍副参謀総長に就任した。

[[1999年]][[6月22日]]に第34代[[アメリカ陸軍参謀総長|陸軍参謀総長]]として陸軍制服組トップに上り詰める。同日にフォート・マイヤー基地で就任式典が行われた。[[アメリカ軍]]で参謀総長や[[統合軍 (アメリカ軍)|統合軍]]の司令官など大将級ポストに就任するためには、まず[[アメリカ合衆国上院|上院]][[アメリカ合衆国上院軍事委員会|軍事委員会]]において適性を審査され、さらには上院本会議において議員の賛成多数を得ることが必要であるが、この時は日系人で同じハワイ州出身の[[ダニエル・イノウエ]]上院議員が取りまとめ、全会一致で承認されている。

1999年10月、AUSA（アメリカ陸軍協会）での演説にて、より地域紛争や[[対テロ戦争]]に適した、機甲部隊と軽歩兵部隊の中間に当たる[[装甲車]]を主装備とした攻撃力と機動力とに優れた部隊の構想を発表、[[ストライカー装甲車]]を主装備とするストライカー[[旅団]]が誕生する契機となった<ref>ただしストライカー装甲車は、地域紛争や対テロ戦争での活躍を期待されて登場したものの、実戦投入の一例となったイラク戦争では、テロ組織やゲリラなどが好んで使用する高威力の[[即席爆発装置]]（IED）や路肩爆弾に装甲が十分対応しておらず、その脆弱性ゆえ死傷者が出ているケースも見受けられる。現在では、よりIEDなどへの耐久性・生存性を高めた[[MRAP]]も投入されている。（参考資料:「[http://www.kamiura.com/whatsnew/continues_1167.html イラク戦争終結宣言　「素晴らしい成果」　オバマ米大統領]」　軍事ジャーナリスト・[[神浦元彰]]が所長を務める「日本軍事情報センター」のサイトに掲載された記事。）</ref>。2001年、それまで特殊技能部隊将兵のシンボルだった[[ベレー帽]]を一般部隊にも導入させた（これは不評で、2011年にパトロールキャップに戻された）。

陸軍参謀総長として出席した上院軍事委員会の公聴会（2003年2月）で、[[イラク戦争]]における運用兵力の規模を巡って「イラクの戦後処理には「数十万人」の米軍部隊が必要」との見解を述べ、少数精鋭論を唱えた[[ドナルド・ラムズフェルド|ラムズフェルド]][[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]らと対立する。このためシンセキはラムズフェルドにより退任・退役に追い込まれた<ref>ただし、陸軍参謀総長ポストの任期である4年という期間を満了するという形ではあった。</ref>。この退任を巡って、アメリカのマスコミの一部には、ラムズフェルドによる人種差別・偏見（アジア系の人物がアメリカ陸軍のトップであることを許さなかったこと）による「解任」であるとの報道も散見された。また、通常であれば大将クラスの高位の軍人については退任・退役式典が催され、その式典に国防長官が出席することが慣例であるが、ラムズフェルド本人はシンセキの退任・退役式典を欠席、さらには国防長官欠席時には代理を務めることが一般的なはずの[[ポール・ウォルフォウィッツ]][[アメリカ合衆国国防副長官|国防副長官]]（当時）も出席しないなど、最後まで異例の「非礼」とも言える扱いをとった<ref>[http://facta.co.jp/article/200902038.html シンセキの退役軍人長官就任にあたり、その経歴などを紹介した軍事ジャーナリスト・田岡俊次による記事]</ref>。

政権内では結局ラムズフェルドらの意見が通ったが、[[イラク戦争]]は占領後にその計画の不備を露呈し、結果的にシンセキの見解が正しかったことが証明される形となった。2006年11月には、イラクを管轄する[[アメリカ中央軍|中央軍]]（CENTCOM）の司令官である{{仮リンク|ジョン・アビゼイド|en|John Abizaid}}大将が、上院軍事委員会の公聴会で「イラクを確保するためにもっと多くの兵力が必要と言ったシンセキは正しかったか」との上院議員の質問に対し「シンセキ将軍は正しかった」と応じるなど<ref>「[http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/27492921.html オバマの退役軍人長官へのエリック･シンセキ指名]」 シンセキの退役軍人長官指名について論じた茂田宏・元駐イスラエル大使（他に国際情報局長などを歴任）の運営するブログ（現在は更新終了）「国際情報センター」の記事。2008年12月10日掲載・2012年12月30日閲覧。</ref>、現場の将官からもシンセキの見解が正しかったことを示す証言が次々となされるようになり、今度はラムズフェルドが更迭されることとなった（2006年12月）。

この一連の出来事について、[[バラク・オバマ]]は「シンセキ氏は権力に対して真実を述べることを、決して恐れてこなかった」と評価している<ref name="sankei2014-6-8">{{cite news |title=【アメリカを読む】巨大官僚機構に敗れた日系閣僚、シンセキ氏 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-6-8 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140608/amr14060812000001-n1.htm |accessdate=2014-6-10|author=加納宏幸}}</ref>。

[[2003年]][[6月11日]]、任期満了により退役した。

=== 退役後 ===
[[2006年]][[12月8日]]、非営利団体ゴー・フォー・ブローク教育センターは、シンセキを全米広報担当（スポークスパーソン）に任命した<ref>[http://www.goforbroke.org/about_us/about_us_news_press120806.asp FORMER U.S. ARMY CHIEF OF STAFF, GENERAL ERIC SHINSEKI (RET.) NAMED GO FOR BROKE'S NATIONAL SPOKESPERSON] - Go For Broke National Education Center Press Releases</ref>。ゴー・フォー・ブローク（"Go for Broke" 当たって砕けろ）とは、日系アメリカ人のみによって編成された独立部隊、第100歩兵大隊の[[モットー]]である。教育センターは[[第442連隊戦闘団]]をはじめとする[[第二次世界大戦]]中に戦死した1万6,126名の日系アメリカ人についての歴史教育を主な活動目的としている。

=== 退役軍人長官 ===
[[2008年]][[12月7日]]、[[バラク・オバマ]]次期[[アメリカ合衆国大統領|大統領]]は、[[シカゴ]]での記者会見で、シンセキを[[退役軍人長官]]に指名することを明らかにした<ref name=CNN_7_December_2008_Shinseki>{{cite news|accessdate=December 7, 2008
|url=http://www.cnn.com/2008/POLITICS/12/07/obama.shinseki/|title=Obama: No one 'more qualified' than Shinseki to head VA|date=December 7, 2008|publisher=CNN}}</ref>。オバマ政権が発足した[[2009年]][[1月20日]]に上院の全会一致の承認を受け、翌日に第7代退役軍人長官に就任した。アジア系アメリカ人初の退役軍人長官、日系アメリカ人として[[ノーマン・ミネタ]]元商務長官・前[[アメリカ合衆国運輸長官|運輸長官]]に次ぐ2人目の閣僚となった。

{{Main|en:Veterans Health Administration scandal of 2014}}

2013年11月、[[CNN]]が2箇所の退役軍人病院を取材した時、診療の遅れの問題があることが発覚した<ref>{{cite news |title=シンセキ米退役軍人長官、一連の不祥事を受け辞任 |newspaper=[[CNN]] |date=2014-5-31|url=http://www.cnn.co.jp/usa/35048743.html|accessdate=2014-6-1}}</ref>。その後の調査で、2014年4月には、退役軍人病院で、約40人の退役軍人が、診察待ちの間に死亡した事案が発覚した。数カ月から1年以上放置されていた患者もおり、病院は、この診察の遅れが記録に残らないように裏名簿を作るなど、書類を改竄した疑いもある。オバマ大統領は、事態の徹底解明をシンセキに指示した<ref>{{cite news |title=【岐路に立つ米国】退役軍人病院「診察待ち」が政治問題化 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-5-27 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140527/amr14052709290003-n1.htm |accessdate=2014-5-31 }}</ref><ref>{{cite news |title=米退役軍人の専用病院「診察待ち」で40人超死亡か |newspaper=[[テレビ朝日]] |date=2013-3-28 |url=http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000027411.html |accessdate=2013-3-30}}</ref><ref>{{cite news |title=不正容認せず＝退役軍人の治療遅延－米大統領 |newspaper=[[時事通信社]] |date=2014-5-22|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014052200023 | accessdate=2014-5-31 }}</ref>。

2014年5月16日には、保健担当の次官が辞任した<ref>{{cite news |title=退役軍人省の次官辞任＝治療遅延の責任者－米 |newspaper=[[時事通信社]] |date=2014-5-17|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014051700089 | accessdate=2014-5-31 }}</ref>。5月28日には、待ち時間を短くみせるための隠蔽工作が行われていたとする暫定報告が発表され、[[共和党 (アメリカ)|共和党]]だけでなく、与党の[[民主党 (アメリカ)|民主党]]からもシンセキの辞任を求める声が上がった<ref>{{cite news |title=「辞任は時間の問題」？　窮地の日系米長官、退役軍人病院の不祥事で |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-5-27 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140530/amr14053015470009-n1.htm|accessdate=2014-5-31 }}</ref>。調査では、不祥事が数カ所の医療機関にとどまらず、広範に及んでいたことが明らかになっており、5月30日にはシンセキは辞任、オバマはシンセキの軍人や退役軍人省長官としての職務を評価しつつ、辞任を受け入れた<ref>{{cite news |title=シンセキ米退役軍人長官が辞任、ヘルスケアめぐる不祥事で |newspaper=[[ブルームバーグ (企業)|Bloomberg]] |date=2014-5-30 |url=http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6EBRC6JTSEM01.html |accessdate=2014-5-31 |author=Steven Komarow }}</ref>。

このような不祥事が起こったのは、増大する退役軍人の医療費を抑制するため、診察待ち時間を減らした施設の幹部にボーナスを与えるようにしたところ、偽の待機者名簿を提出する病院が続出した事による<ref name="sankei2014-6-8" />。

この問題は、オバマ政権への打撃になると考えられている<ref>{{cite news |title=日系の退役軍人長官辞任＝オバマ米政権に打撃 |newspaper=[[時事通信社]] |date=2014-5-31|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014053100011 | accessdate=2014-5-31 }}</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
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{{commonscat|Eric K. Shinseki}}

{{Start box}}
  {{S-mil}}
  {{Succession box
    | title  = [[アメリカ陸軍参謀総長]]
    | years  = 第34代:[[1999年]] - [[2003年]]
    | before = [[デニス・ライマー]]
    | after  = [[ピーター・シューメイカー]]
  }}
  {{S-off}}
  {{Succession box
    | title  = [[アメリカ合衆国退役軍人長官]]
    | years  = 第7代:[[2009年]][[1月20日]] - [[2014年]][[5月30日]]
    | before = [[ジェームズ・ピーク]]
    | after  = 
  }}
{{End box}}
{{アメリカ合衆国退役軍人長官}}

{{DEFAULTSORT:しんせき えりつく}}

[[Category:アメリカ合衆国退役軍人長官]]
[[Category:アメリカ合衆国陸軍の軍人]]
[[Category:日系アメリカ人の政治家]]
[[Category:日系アメリカ人の軍人]]
[[Category:ハワイ州の人物]]
[[Category:切断障害を持つ人物]]
[[Category:1942年生]]
[[Category:存命人物]]