超新星残骸

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ファイル:Keplers supernova.jpg
ケプラーの超新星SN 1604の超新星残骸の多波長合成画像
ファイル:Sig06-030.jpg
大マゼラン雲の超新星残骸N49の多波長合成画像

超新星残骸(ちょうしんせいざんがい、Supernova remnant、SNR)は、恒星超新星爆発した後に残る構造である。超新星残骸は、爆発により拡張する衝撃波によって区切られ、恒星からの噴出物と星間物質によって構成される。

超新星に至るには、主に2つの道がある。どちらも大質量の恒星が燃料を使い果たし、核での融合によるエネルギー生産を止め、自身の重力によって内側に押しつぶされて崩壊し、中性子星ブラックホールを形成するか、伴星からの物質の降着によって白色矮星となる。

どちらの場合にも、結果として生じる超新星爆発は光速の10%、即ち30,000km/sもの速さで、恒星物質のほとんど全てを吹き飛ばす。このような噴出物は、マッハ1000以上の超音速で、星間物質の温度は10,000Kにも達する。噴出物の前面に強い衝撃波が形成され、プラズマを数百万Kに加熱する。衝撃波は徐々に遅くなるが、音速以下に落ちるまでに数十万年に渡り数十パーセク以上の領域に広がる。

最も良く観測された若い超新星残骸の1つは、1987年2月に大マゼラン雲で発生したSN 1987Aによって形成されたものである。他によく知られた超新星残骸としては、かに星雲、増光を記録したティコ・ブラーエから名付けられたSN 1572による超新星残骸ティコ、ヨハネス・ケプラーから名付けられたSN 1604による超新星残骸ケプラー等がある。既知の最も若い超新星残骸は、銀河系の中心で発見されたG1.9+0.3残骸である[1]

段階

超新星残骸の拡大は、以下の段階を経る。

  1. 恒星が自身の質量を星間空間に吹き飛ばすまで、噴出物は自由に拡大する。この段階は、周囲のガスの密度に依存して、数十年から数百年続く。
  2. 衝撃波によって形成された星間ガスの殻を吹き飛ばし、Sedov-Taylor段階に入る。強い衝撃波と熱いガスの放出が終わり、強いX線の放出が始まる。
  3. 殻が冷え、数百万Kの熱い内部を包む薄く(1パーセク以下)、高密度(100万~1億原子/m3)の殻が形成される。これは、圧力による除雪段階である。殻は、再結合したイオン化水素とイオン化酸素からの可視光放射によってはっきりと見ることができる。
  4. 内部が冷え、殻は自身のモーメントによって拡張し続ける。この段階は、中性水素原子からの電子放射によって観測できる。
  5. 周囲の星間物質と融合する。およそ3万年後、超新星残骸が周囲の物質のランダムな運動の速度を遅くすると、残った運動エネルギーによって乱流に融合する。

超新星残骸の種類

超新星残骸は3つの種類に分けられる。 テンプレート:節stub

宇宙線の起源

超新星残骸は、銀河内の宇宙線の主な発生源の1つであると考えられている[2][3][4]。宇宙線と超新星の関わりは、1934年にウォルター・バーデフリッツ・ツビッキーが初めて指摘した。1964年、ヴィタリー・ギンツブルクとセルゲイ・シロワツキーは、超新星残骸中の宇宙線の加速の効率性が約10%だとすると、銀河系内における宇宙線の消失が補償されることに気づいた。この仮説は、エンリコ・フェルミのアイデアによる「衝撃波加速」と呼ばれる特殊な機構によって支持された。

実際に、エンリコ・フェルミは1949年に、星間物質内の磁場の雲と粒子の衝突による宇宙線の加速についてモデル化した[5]。「二次フェルミ加速」として知られるこの過程では、正面衝突によって粒子のエネルギーは一定に増加する。後者のモデルは、強力な衝撃波面で形成される。衝撃波面を繰り返し横切る粒子は、エネルギーが大幅に増加しうる。この現象は、「一次フェルミ加速」として知られている[6]

超新星残骸は、超高エネルギー宇宙線の生成に必要な高エネルギーの衝撃波面を形成しうる。X線によるSN 1006の超新星残骸の観測で、この天体が宇宙線の発生源となっていることに矛盾しないシンクロトロン放射を示した[2]。しかし、約1015 eVを超えるエネルギーは、超新星残骸では十分なエネルギーを供給できず、異なる機構が必要である[6]

超新星残骸が宇宙線をPeVまで加速できるか否かについては、未だはっきり分かっていない。将来建設されるチェレンコフ望遠鏡アレイは、この問題に答えを出すこと助けになることが期待されている。

関連項目

出典

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:Commons category

テンプレート:超新星
  1. Discovery of most recent supernova in our galaxy May 14, 2008
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Cite journal
  3. テンプレート:Cite news
  4. テンプレート:Cite web
  5. テンプレート:Cite journal
  6. 6.0 6.1 テンプレート:Cite web