矢印式信号機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年7月2日 (水) 19:10時点における60.37.119.126 (トーク)による版 (動作事例)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索
ファイル:Signal LED.jpg
日本の矢印式信号機
斜め矢印のタイプ

矢印式信号機(やじるししきしんごうき)とは道路に設置される信号機の一種であり、規定された色で矢印が表示されるものをいう。  

日本の事例

日本には、青の矢印灯・黄色の矢印灯の2種類が存在する。これらは、道路交通法施行令の中でそれぞれ「青色の灯火の矢印」「黄色の灯火の矢印」として規定されている。これらのうち「黄色の灯火の矢印」は路面電車に対してのみ意味をもつものであり、併用軌道(道路内)の運行専用に黄色の矢印灯を設ける例がみられる。「青色の灯火の矢印」は路面電車以外の車両に対して意味をもつものであり、全国各地に設置されている。以下では、青色の灯火の矢印について述べる。

「青色の灯火の矢印」の意味は、「車両は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。(後略)」である。

日本の矢印式信号機は特に右折する車両の多い交差点に設置されることが多い。交通量が多い場合、通常の青信号では、右折する車両が対向車が途切れるのを待ち続けることになり、右折車両の渋滞ができてしまうことがある。右折専用の矢印信号を設置すれば、対向車に遮られずに右折車両のみが通行できる時間ができ、右折車両の渋滞が解消される。このような理由から、矢印信号は大半が右折専用に設置されているが、丁字路や一方通行路との交差点では左折や直進専用のものもある。かつては矢印が点灯し、一定時間がたつと直ちに消灯していたため、事故が多く、2000年代からは事故防止のために矢印の消灯時に再度黄色を表示するものが用いられている。東京都など一部の地域では、特に右左折矢印消灯後直ちに赤信号というパターンは現在でも残っている。

また、一部の交差点では青の代わりに直進と左折の矢印を点灯(このときは右折はできない)、その後右折の矢印を出す方式をとり、青にならないところ、青信号の部分に矢印がある信号もある。交差点の形状によっては左折・直進・右折がすべて別々のタイミングで点灯するものや、交差点形状などの理由から直進・右折同時点灯の後に左折などのパターンも存在する。青の代わりに直進・左折の矢印の点灯と右折の矢印の点灯を繰り返す信号機のことを「右折分離信号」または「セパレート信号」という。

丁字路や一方通行との交差点を中心に、時差式の青の代わりに矢印を用いるところもある。時差式の一例としては、時差式の先発側が青の代わりに全方向への矢印を出し、後発側の青になるタイミングにあわせて先発側も矢印から青に変更するといったものがある。

右折の矢印は、信号が青または左折・直進の矢印から黄色に変わったときから出すものもあるが、赤になってから表示されるものもある。赤になるものの中には、時差式で対向車線が青のものもある。

動作事例

  • 簡略化のため、シンプルな十字路の場合で記す。
  • 右折分離信号では←↑の時に同時に赤(または青信号の箇所にある赤信号)が点灯するものがある。
  • 上記にもあるように、以前は例1のタイプの表示が主流だったが、交通事故などの問題のため、2000年代からは例2や例3のタイプが使われている。右折分離式信号機は左折・直進と右折の矢印を完全に分けていて、この場合は通常の信号機の方で青になることは絶対にない。
例1
青(右折分離信号では「←↑」) 青(右折分離信号では「←↑」)
赤→ 赤→
例2
青(右折分離信号では「←↑」) 青(右折分離信号では「←↑」)
赤→ 赤→
例3
青(右折分離信号では「←↑」) 青(右折分離信号では「←↑」)
黄→ 黄→
赤→ 赤→
時差式の先発側が青の代わりに全方向への矢印を出すもの
←↑→
時差式のため一旦右折矢印の前に一旦赤となり、対向車がさきに右折しはじめるもの
←↑ 青(または「←↑」)
青(または「←↑」)
青(または「←↑→」)
黄→
赤→ 赤→

注意

ファイル:Uturn Signal.jpg
転回専用の矢印青信号の付いた信号機
  • 右折を可能とする青色の矢印信号が表示されている場合には、右折に加えて、転回禁止の交差点を除き転回(Uターン)できる。(道路交通法施行規則 矢印信号に関する規定の整備(平成24年4月1日施行))。[1]
  • 軽車両と二段階右折をする原動機付自転車は右折の矢印で右折することは出来ない。右折分離信号など右折以外の矢印が出る信号機においての扱いは特に決まっていないが、直進の矢印や左折の矢印で進むのが安全である(但し左折が分離されている交差点での危険性が残る。東京都などはこのような交差点において原付の二段階右折を禁止していることが多い)。
  • 矢印信号が出ている間、対向車線や歩行者は赤信号である、とする情報が一部に存在する(十字路で直進・右折・左折がすべて点灯するパターンの説明など)が、都道府県によって矢印信号の運用は異なる。例として、東京都目黒区の上大崎交差点では歩行者用信号が青のまま左折矢印が表示される。
  • 以前の右折分離信号は「『赤+←↑』から『黄』標示のあと間髪を入れず『赤+→』へ変わる方式」だったが、2013年末以降は「『赤+←↑』から『黄』のあと一旦全方向を『赤』にし、それから約1秒後に『赤+→』へ変わる方式」の導入が進んでいる。また左折専用車線のある交差点の場合、(横断する歩行者・自転車巻き込み防止の観点から)左折優先の「赤+←」標示が出た後は「黄」を経て一旦全方向「赤」となり、それから約1秒後に「赤+←↑」へ変わる方式が導入されている(横断歩道が「青」時は「赤+↑」、横断歩道が赤になると「赤+←↑」・「黄」を経て「赤+→」に変わる歩車分離式の交差点もある)。

特異事例

  • 青森中央大橋が有料だった時代、南側に接する交差点には青の燈火が直進の矢印を兼ねる信号機があった(無料開放後は未確認)。
  • 神戸市内には何箇所か、右側の信号のみに矢印が設置されている交差点(三宮交差点など)があった。今は両側とも矢印が設置されている。
  • 岡山市には、矢印式の自転車用信号機が設置されている[2]
  • 瀬戸中央自動車道では児島IC下り線と与島PA上下線の手前に左折矢印付きの信号機が設置されており、強風のため通行止めとなった際には左折矢印を点灯させて強制流出させる。

日本国外の事例

日本国外では赤や黄の矢印を点灯させるところもある。

大韓民国

韓国(右側通行)の場合、1982年6月21日施行により矢印は信号機と同じ列にある。矢印は緑色。制定時は右から左折・緑・黄・赤であったが、1986年5月1日の変更により右から緑・左折・黄・赤の順序になっている。緑では左折ができない交差点が多い。2011年4月20日から、ソウル特別市内の一部の交差点で、三色矢印式信号機(左折車線)+三色信号機が試験運用されている [3]

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Asbox
  1. 「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」等について - 警察庁交通局 2011年9月12日
    え!違反だったの? 右折信号でUターン可能に 警察庁 - MSN産経ニュース 2011年7月14日
    右折矢印信号でUターン可 道交法施行規則の改正案 - 47NEWS共同通信 2011年7月14日
    右折信号のUターンOK=渋滞緩和、事故抑制に期待-警察庁 - 時事通信 2011年7月14日
  2. 岡山県の信号機
  3. 서울 도심 ‘3색 화살표’ 신호등 도입(ソウル中心部、三色矢印式信号機導入) - ソウル新聞 2011年4月19日