幻想絵画

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テンプレート:独自研究 テンプレート:出典の明記 幻想絵画(げんそうかいが)とは、幻想芸術のジャンルである。「幻想芸術」は英語のファンタスティック アートに対応する日本語であるが、通常それは絵画を中心的に意味するため、慣習上、幻想絵画という呼称がある部分の日本美術界や美術愛好家の間に定着してきた。厳密には絵画以外に幻想彫刻や幻想工芸、幻想建築といったものを幻想芸術のジャンルとして想定することもできるが、実際はそれらは絵画と比較して一般的な呼称になっていない。

幻想という言葉の定義

国語辞書によって知ることができる日本語の幻想の意味は、以下の二つである。

  1. 現実にないことをあるように感ずる想念。
  2. とりとめもない想像。 

対して、英語のファンタスティック=Fantasticの意味は、

  1. 極めて良いこと。魅力的で楽しいこと。
  2. 誰かが何か良いことに関して話す口語。
  3. 途方も無く大きいこと。
  4. 不可能そうにみえる計画や提案など。
  5. (名詞に限った場合)想像上の生き物や場所、極めて奇妙で魔術的なこと、あるいはそういったことに関する物語。

このように英語では通常、肯定的なものや壮大なものに対して、ファンタスティックという言葉を使うのに対して、日本語においては「幻想を抱く。」「幻想に過ぎない。」というように現実が認識されていない否定的な状況で使われることが多い。しかし美しく好ましい、あるいは壮大な事柄については、「幻想的」と表現される。つまり誰かが現実に眼にしている状況があたかも現実ではないかのような場合「なんと幻想的だ」というような言い方をするのである。しかし「なんという幻想だ。」と言えば、それはやはり現実ではないイリュージョンという意味合いを持つ。

このような言葉の用法にもかかわらず、「幻想芸術」がファンタスティック アートの翻訳である以上、ここでの「幻想」とは英語における意味と同様のものを示唆していることを留意する必要がある。補足すると、日本人がよく使うファンタジック=Fantasyicという言葉は英語には存在していない。

幻想絵画の特徴

 日本語における幻想絵画は、その言葉を文字通りに受けると、現実には存在していないものをあるかのように描かれた絵のことになる。しかし、非現実的な主題であっても、それが画家自身の内的必然性から浮かび上がってきたものではない場合は、幻想絵画と呼べるとは限らない。  

基本的に幻想絵画のスタイルはリアリズムとしての具象絵画である。そしてその表面は平滑であることが多い。それは二次元の表面の奥に画家のヴィジョンやイメージが鏡像のように描き出されているからである。さらにその描写の仕方はしばしば精密である。幻想画家は彫刻工芸に携わることもあり、必ずしも二次元平面のみに関心があるのではなく、建築作品の構想を持つ幻想画家も存在している。

 表現の内容としては、シュルレアリスムを現代において引継いでいるもの、あるいはエロティック夢想、人間心理の中に潜在している様々なトラウマや悪夢、グロテスクで病的なイメージを表出させようとするスタイル、あるいは宗教的な啓示や神話民話精霊妖精といったものを、有機的なフォルムや幾何図形を用いて表現しているものなどがある。さらには幻想文学SF小説に感化されて、それらを視覚化しようと試みる中で生まれた幻想絵画もある。

幻想絵画の現状

 日本においては幻想絵画を描いている画家が必ずしも「幻想画家」として自認しているとは限らない。その理由の一つとしては、「幻想絵画」が示唆するジャンルを限定し難いという状況があるからだと思われる。つまり日本美術界において幻想絵画と呼びうるスタイルは、洋画日本画といった伝統的な具象絵画のみならず現代美術にも幅広く確認することができるため、あるいは芸術全般の本質が歴史を通じてそもそも幻想性を担ってきたために「幻想絵画」は用語として曖昧ではある。しかしながら日本において1960年代あたりから意識化されてきた幻想絵画と呼ばれる方向性は、今日、国際的規模で失われかけている古典的な版画テンペラの技術や伝統的な宗教芸術で培われた霊的表現力を現代的な形で再生し実践する上で大きく貢献している。

西洋美術史における幻想絵画

 幻想絵画を西洋美術史の中に見いだせる範囲はきわめて広く、一般的には、ヒエロニムス・ボス(Hieronimus Bosch; 1450年頃-1516年)辺りを始まりとすることが多いが、その後、ウィリアム・ブレイク(William Blake; 1757年-1827年)、ラファエル前派象徴主義とその周辺から、20世紀の素朴派シュルレアリスム、第二次世界大戦後のウィーン幻想派、あるいは60年代以降の ヴィジョナリーアート、70年代後半におけるローブローアートまで、時代と国を問わず、幻想絵画と呼びうる作品が存在する。

関連項目

幻想絵画と関連した日本人の美術家

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