ヒエロニムス・ボス

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テンプレート:Infobox 芸術家 ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch/本名:Jeroen van Aken、1450年頃- 1516年8月9日)は、ルネサンス期のネーデルラントフランドル)の画家初期フランドル派に分類される。「ヒエロニムス」は本名であるイェルーン(Jeroen)のラテン語読み、「ボス」は街の名前から。オランダ語でイェロニムス・ボス、ドイツ語でヒエローニュムス・ボシュと発音するが、日本では「ヒエロニムス・ボッシュ」と表記されることもある。

生涯

史料が乏しく、伝記には不明な点が多いものの、現在のオランダベルギー国境近くにあるス・ヘルトーヘンボスの画家一家に生まれた。父はアントニス・ファン・アーケン(Anthonis van Aken)、祖父はヤン・ファン・アーケン(Jan van Aken)、兄のホーセン(Goossen)および3人のおじ達は画家であった。

ボスの本当の苗字は「ファン・アーケン」であるが、作品にはボス(Bosch)とサインをしている。理由はスヘルトーヘンボス(デン・ボス)で生まれ、生涯のほとんどをデン・ボスに住んでいたからである。

富裕な家の娘との結婚により街の友愛団体である兄弟会に所属し、名士としても活動していたようである。

作品

ヨーロッパ各地からの求めによって多数の作品が制作されたが、ほとんどが16世紀の宗教改革運動での偶像破壊のあおりを受けて滅失した。現在、30点ほどの作品が残されている。聖書に基づく寓話を絵にしたような作品が多いが、シュルレアリスムを思わせるような、それぞれの主題も謎に満ちている。スペイン王のフェリペ2世はボスの絵の愛好者で、ボスの故郷から遠く離れたマドリードに傑作の多くがある(現在、10点がプラド美術館蔵)のもそのためである。

快楽の園

テンプレート:Main 現存する作品には、普通の板絵のほか、三連祭壇画(3枚のパネルからなる祭壇画)の形式をもつものがいくつかある。この形式は当時のフランドル絵画では頻繁に行われた。有名な「快楽の園」も三連祭壇画である。この作品は、向かって左のパネルに、キリストの姿を取った神がアダムにイブを娶わせている「エデンの園」があり、右のパネルに「地獄」を描き、胴体が卵の殻になっている男、人間を丸呑みにしては、すぐ排泄してしまう怪鳥、その他何とも名づけようのない奇怪なイメージで満たされている。中央の一番大きなパネルは「快楽の園」で、現世と考えられ、無数の裸の男女が様々な快楽に耽っている様が描かれているが、単なる群像ではなく、一種異様な雰囲気であり、背景にはやはり奇妙な、生物とも無生物ともつかない物体が配置されている。

この絵の主題についてはさまざまな解釈がある。中央パネルが好色の罪を表し、その罪を犯した者が右パネルの地獄図で罰せられているとするのが、最も一般的な説であるが、ボスが他の作品『狂人船』では教会勢力を痛烈に批判していることと併せ、この絵はアダム教或いはアダム主義と言われる異端の描写であり、地獄図で拷問されているのは騎士、僧侶などアダム主義の密儀を否定する教会勢力とする説もある。 テンプレート:-

代表作

ギャラリー

関連項目

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文献

  • ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を読む 著:神原 正明 出版:河出書房新社
  • 「悦楽の園」を追われて―ヒエロニムス・ボス 著:中野孝次 出版:小学館

外部リンク

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