屋外排泄

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テンプレート:出典の明記 屋外排泄(おくがいはいせつ)とは、屋外において便所が無いところで排泄すること。野外排泄(やがいはいせつ)とも呼ばれる。特に尿の場合は立ちション(たち-)、野ション(の-)などと呼ばれ、の場合は野糞(のぐそ)と呼ばれる。

便所が無かった原始時代においてはごく自然なことであり、違反でも何でもなかった。しかし、近代化に伴い公衆衛生疫病の防止)の観点から法令で禁止されることとなった。日本では軽犯罪法にて取り締まられているが、守られていないことも多い。

傾向

一般

一般的にトイレが近くになく我慢できないときに行われる。羞恥心および汚す箇所を最小限にとどめ、目立たなくするといった理由で、隅の方や、目立たない場所、元々汚れているところで行われることが多い。植物による目隠しや、分解されることを期待して、自然の中で行われることも多い。

子供トイレトレーニングの一環で行わせることもある。かつての日本では、道端で小さい子に排尿させることは当たり前に行われてきた。これは当時、布おむつが使われていたため洗う手間を省くためでもある。 子供がトイレやおまるで排泄することに恐怖心を抱いているときに、行わせることもある。


しかし、羞恥心をあおる目的で野外排泄をする人間もいる。そのような人間は、

  • トイレ、またはトイレの前
  • 人通りの少ない地下道

などで行う。

意識的野糞

写真家伊沢正名は、撮影対象の菌類に傾倒したことに端を発し、大便は自然の分解サイクルに戻すべしとの信念から、常に屋外排出をしている。彼は自ら糞土師(ふんどし)を名乗り、その著作には、これを正面から取り上げた「くう・ねる・のぐそ―自然に「愛」のお返しを」がある。

海外

中国

中国は、田舎、街中問わず、子供の排泄には寛容な傾向にあり、催せばいつでもどこでも用を足させる。その象徴たるものが股割れズボンで、しゃがみこむだけで用が足せるようになっている。ただ、中国政府は北京五輪を前にマナー向上の一環で街中での用足しをやめるよう周知したため、人々の意識も変わりつつある。

モンゴル

モンゴルの遊牧生活をしている人々は、パオまたはゲルと呼ばれる移動式住居に住んでいるが、その住居にトイレはなく、大地に用を足している。

インド

世界最大の屋外排泄大国で、未だに人口の半数がトイレを利用できないことから屋外排泄を行っている。これにより特に都市部では衛生状況の悪化が深刻化しており、インド政府や国際機関などがその習慣をやめるよう促している。

絶対禁止

汚(けが)してはならない場所や、汚(よご)した際に復旧が困難となる場所では、絶対に行ってはならない。

神社仏閣墓地地蔵などの宗教施設の様に神聖な場所は汚してはならぬとの考え方から、上水道(生活用水として使っている川、井戸など)や、公園の砂場は(抵抗力の弱い幼児が遊ぶ事が多い場所であるため)疫病予防の観点から、高山は気温が低く、排泄物を分解する微生物の活動が落ちるため行ってはならない。

社会的見地から

テンプレート:Ambox

屋外排泄は、予想できない渋滞の発生時やトイレの無い山中などでは許されることもあるが、これは極めて稀有なケースで、基本的には軽犯罪法違反である。また、場所によっては刑法142条の「浄水汚染」(付近に飲料水として使用されている井戸などがあった場合)、同第261条「器物損壊等」(他人の所有物などに放尿・排便した場合)、同第174条「公然わいせつ」(人々が集合したり往来のある場所などで陰部を露出して放尿・排便した場合)によって処断されたケースもあり、更に公衆衛生上も好ましくないため認められる行為ではない。男女の性別も問われない。

しかしながら、刑法に抵触する上記のケースはともかく、単純に屋外排泄を行っただけの場合は、あまり厳しく取り締まられていないのが実情である。これは、摘発の方法が事実上警察官の目視によるしかないこと、排泄後に犯人を特定することが難しいことなどに起因する。

科学的見地から

「小便は樹木類の肥料となる」との理由で自己の野外排尿を正当化する人もいるが、これは全くの誤解である。小便を肥料として用いるには、容器に入れて1~2ヶ月程保管して発酵しなければならず、排尿直後の小便は逆に樹木を傷めてしまう。 繁華街ビルなどでは酔っ払いなどによる立ち小便が原因で植え込みの木が枯れてしまうという被害が出ている。日本では昭和時代中期まで人の糞尿を農耕の肥料として用いてきたため、このような誤った解釈が生まれたと推測される。ちなみに大便は窒素リン酸などを含有しており、脱糞直後の状態でも十分肥料として通用する。

もちろん、これらの事を理由に野外排泄を行ってよいという訳ではない。

なお、昆虫採集家が野外で採集する際に、野糞を行うことがある。すると、動物の糞を好む昆虫 つまり糞虫ハエ類が集まってくる。もし採集家がこの類の採集を求める場合、これを見逃す手はないので、当然のように時間をおいて立ち戻り、集まった昆虫を採集する。昆虫採集の方法として、このような虫を捕るために糞を用意しておいて、それを置いて集める方法があり、これはトラップのひとつとされる。そこから、このような自分の糞で虫を集めることをセルフトラップと呼ぶ。ちなみにこれは由緒正しい方法であって、かの南方熊楠もこれを行っていた記録がある。

後始末

地表に吸い込まれる尿と異なり、糞は跡形も残るし、臭いもある。また、最後に尻を拭かなければならないから、紙も出る。これらをそのままに放り出してある例もあるが、できれば土をかけるか石をかぶせるかした方が良いだろう。

なお、野糞をするのは便所へ行く用意ができていない状態であることが多い。当然ちり紙など持っていない可能性がある。やむを得ない場合は紙であればなんでもよし、とするが、それさえなければ、野外の場合、木のを使う方法がある。草の葉も使えないこともないが、シダの葉は避けた方が無難である。

また、東南アジアから西アジアで広く行われている「手と水で洗い流す(=手動ウォシュレット)」という方法に慣れておくと、このような非常事態にも慌てることなく対応できる。ただし、糞が、沢などの人が飲用に利用する可能性のある水に混入しないよう注意が必要である。


関連項目