デノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月3日 (日) 05:31時点における111.64.152.25 (トーク)による版 (株式会社デノン)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

デノンDENON Consumer Marketing Co.,Ltd. )は、日本AV機器企業である株式会社ディーアンドエムホールディングス音響機器ブランドのひとつ。

また、株式会社デノンは、2001年4月1日から2005年3月31日まで同ブランドの音響機器を製造・販売していた企業である。

ブランド名および事業遷移

DENONおよび、そのデンオン読みは、「日本響株式會社」の通称「電音」が由来である。1963年日本コロムビアに吸収合併され[1]、同社の音響機器事業のブランド名であったが、株式会社デノンへ事業譲渡された。なおデンオン読みは、この事業譲渡後もコロムビアでのクラシックレーベルとして使われている(後述)。

日本電気音響株式会社

テンプレート:節stub 1939年(昭和14年)に東京府北多摩郡三鷹村下連雀(現在の東京都三鷹市)に設立された。事業領域は放送機器の製作。企業名の通称は「電音」であった。

日本コロムビア株式会社

1963年(昭和38年)、放送機器を製作していた日本電気音響が日本コロムビアに吸収合併されたことにより、日本コロムビアが放送機器を取り扱うことになった。当時の日本コロムビア音響設計部門には、旧電音の三鷹事業所と、1910年(明治43年)10月1日に発足した日本蓄音機商会として続いてきた川崎事業所が存在していた。三鷹事業所は業務用回転機器のダイレクトドライブターンテーブルオープンリールテープレコーダーを担当し、川崎事業所ではテレビ電蓄などをはじめ、冷蔵庫などの白物家電も製造販売していたこともある。

その後1970年代になり日本に於けるハイファイオーディオ市場の隆盛をうけて、三鷹事業所はデンオン製放送業務用機器であったMCカートリッジDL-103を民生市場にも販売するようになり、その後業務用回転機器の技術を応用した民生用オーディオ機器も発売し、これらをプロフェッショナルオーディオブランドとして訴求した。この時代で最も有名なモデルはDP-3000ダイレクトドライブターンテーブルやDH-710オープンリールテープレコーダーなどである。一方川崎事業所でもハイファイオーディオアンプやチューナースピーカーなどもデンオンブランドで発売した。

DENONとして最も特筆すべきエポックは、1972年(昭和47年)に世界で初めて実用化されたPCM録音機開発である。放送業務用機器納入先として最も大きいNHKが1960年代後半にPCM録音機の試作を行っていたが、NHK技研でPCMレコーダー試作機を見た日本コロムビア録音部の幹部は衝撃を受け、以後、このPCMレコーダーのエラー補正を実用化に耐えうる程度まで高め、さらに収録したデジタルテープを手切り編集できるまで進化させた。この標本化周波数=47.25kHz、量子化bit数=13bit、録音再生=8チャンネルの実用PCMレコーダーはDN-023Rと命名された。テープトランスポートは芝電製2インチ・ヘリキャルスキャンVTRで、テレビ画面を見ながらカミソリでテープ切断する「手切り編集」が可能だった。

1980年代はオーディオカセットテープ事業(生産は栃木県真岡市にあった子会社・コロムビアマグネプロダクツ株式会社が担当していた)にも進出し展開していた。1990年代末期にはこれらの事業から撤退し解散している。

DENONレーベル

コロムビアの音楽レーベルの名称にもDENONが用いられたこともあった。1968年(昭和43年)から1973年(昭和48年)まではポップス系のレーベルとして存在し、1975年(昭和50年)以降はクラシックやジャズ等高音質を期待されるジャンルの音楽の為のレーベルとしてリニューアルした。[2][3]。「DENON」ロゴマークには、戦前に用いられていたものと、1955年(昭和30年)に採用されたロゴマークもあったが、1963年以降は現在のロゴマークになっている。

株式会社デノン

テンプレート:See also リップルウッド・ホールディングス主導による日本コロムビアの経営再建に際して、2001年(平成13年)10月1日に音響機器事業を分離独立させた新設会社。日本コロムビアの100%子会社として設立し、同社のAV・メディア関連機器部門およびブランド名「デンオン」が譲渡された。新会社は設立時に、日本語ブランド名「デンオン」を譲渡はされたものの使用を止め、DENONの読みを日本国外での発声である「デノン」とし、これを社名および日本国内の新たな商標とした。この時点で永きに渡り親しまれた片仮名書きのオーディオ機器ブランド「デンオン」は消滅した。

分社化に当たっては、リップルウッドによる日本コロムビアの財務面での救済と、リップルウッド側のバイアウト・ファンドとしての利益確保という側面が色濃いことで知られている。まず、事業譲渡後直ちに日本コロムビアが100%保有するデノン株式を、リップルウッドが組成したペーパーカンパニーの「ニュー・デノン」が持株98%を59億円で、日立製作所が持株2%を1億円で買い取り、デノンはリップルウッドの実質的な連結子会社となった。この結果、同日中に日本コロムビアへ60億円の譲渡益がもたらされ、コロムビアの子会社では無くなった。

株式会社デノン コンシューマー マーケティング

テンプレート:See also テンプレート:Infobox 2002年(平成14年)3月に株式会社デノンはフィリップスの連結対象外となった同業の日本マランツと、株式移転により新設持株会社ディーアンドエムホールディングスの傘下に入る形での経営統合を発表した。移転比率は【デノン=0.4416 対 日本マランツ=1】で、日本マランツが一見有利に見えるが、デノンの発行済み株式数が日本マランツより過多な点【デノン120,000,000株 対 日本マランツ22,709,280株】に注意を要する。株式移転の結果、デノンの大株主であるニューデノンを保有するリップルウッドがディーアンドエムの筆頭株主になる計算である事から、リップルウッドによるデノンと日本マランツ両社の実質的買収という結果になった。

事業領域

主にホームシアター向けの音響機器、ミニコンポ、Hi-Fiコンポーネント、電子楽器を製造販売している。最近テンプレート:いつではCDJなどのDJ向け機器メーカーとしても知られる。日本ではピュアオーディオ分野においてティアックオンキヨーおよびヤマハなどと競合している(かつてはパイオニア日本ビクター(現・JVCケンウッド)、ケンウッド(現・JVCケンウッド)なども競合していた)。

アンプに関しては日本国内ではトップクラスのラインナップを誇っており、ホームシアター向けのAVアンプからピュアオーディオ向け2chプリメインアンプまで、低価格機から高級機まで幅広く生産している。また、DVDDVD-AudioSACD対応機を含む)・SACD・BD(DVD-Audio/SACD対応機を含む)プレイヤーに関しても、低価格機から高級機まで製造しており、ラインナップは業界随一である。また、コロムビアブランドで発売されていた卓上型オールインワンステレオ(アナログプレーヤー内蔵)の「音聴箱」(おとぎばこ)やホームカラオケシステムもごく一部を除きデノンブランドで引き続き発売している。

代表的な製品
  • AVサラウンドアンプ
  • ブルーレイディスク/DVDプレーヤー
  • プリメインアンプ
  • AM/FMチューナー
  • スーパーオーディオCDプレーヤー
  • CDプレーヤー
  • カートリッジ
  • スピーカーシステム
  • ホームシアターシステム
  • システムオーディオ
  • レコードプレーヤー
  • カラオケシステム (2011年10月現在の時点で最後のコロムビアブランドの製品となる。2013年3月現在は在庫のみの販売)
  • 音聴箱(おとぎばこ。2013年3月現在は在庫のみの販売)
  • オーディオアクセサリー
  • 輸入オーディオ
  • DJ用製品

CMキャラクター

提供番組

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

  • DENON Museum[1]
  • 前者の時代にはレーベルとしての呼称を「デノン」として音響機器との差別化を図っていた(GARO ガロ/コンプリート・ディスコグラフィー:シングル(初版)の「盤レーベル」と「内袋」について
  • DENON Museam 1975