カストロール

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テンプレート:出典の明記 カストロールCastrol)とは、自動車エンジンオイルオートバイ用オイル船舶潤滑油BP(旧ブリティッシュペトロリアム)のブランド名。または、かつて同ブランドのオイルを製造していた会社名。名の由来は、かつて潤滑油として用いられていたヒマシ油(カストオイル)からの造語である。 工業・産業分野でも潤滑油、切削油研削油のトップブランドである。

日本で販売されるCastrolブランドのエンジンオイルの多くは日本の石油会社、ブレンド工場でライセンス生産されたものであるが、一部輸入されている商品もある。ディスカウントショップで見受けられる樹脂ボトル入りのオイルは、並行輸入されたもので正規ルートの商品ではない。

歴史

1899年イギリスロンドン市で創業したウェークフィールド社に起源。その後、カストロール社として展開、イギリス王室御用達になったほか、化学合成油を配合した高性能エンジンオイルの製造やモータースポーツのスポンサーとして活動したことから世界的な知名度を得た。

1966年バーマ石油(en:Burmah Oil)に買収されバーマ・カストロールとなる。 2000年スーパーメジャー国際石油資本会社)のBPアモコ(現BP)に吸収されるも、オイルブランドとしてのカストロールは、その知名度の高さから、同じくBP傘下になったダッカムスブランドのオイルと共に並行して販売が続けられていた。(ダッカムスブランドは2009年に廃止)日本では、BPカストロール株式会社が販売を行っている。

競技シーンではトヨタ自動車のレーシングマシンにカラーリングが行われることが多々あり、SUPER GTのカストロール・トムススープラWRCセリカカローラの赤、白、緑のトリコロールカラーがシンボルとなっていた。

なおイメージカラーのグリ-ンは、昔のイギリスの自動車レースにおいてのチームカラーであったことに由来する。

2012年アメリカ、オーストラリアに次いで日本でも液化チタン配合のエンジンオイルが販売された。

カストロールの香り

いわゆる「カストロールの香り」という言葉は1960年代から使われており、当時のカミナリ族が使用していたオートバイの大半が2ストロークエンジンで、スタイルがレース指向だったので、当時の植物性レーシングオイル「カストロールR30」を使用する者が多く、ひまし油ベースのこのオイルの強烈な甘い香りを称して「カストロールの香り」と言われる[1]。後に当時の香りを懐かしんだファンのウケを狙って「カストロールスーパースポーツ」という廉価版2ストロークオイルも発売された。

上記R30はカストロール社創業時からの伝統をひきつぐ100パーセント植物性オイルで、2サイクル4サイクルどちらにも使え、皮膜保持性能は現代の化学合成オイルをもってしてもひけをとらないほどの高性能オイルであり、第一次大戦後の航空レース華やかりしころに全盛を極めた。ただし、極端に耐酸化性能が悪く一般用にはまったく使えない代物であるが、その高性能から航空機レースや自動車、オートバイレースに限って長く使われていた。後の1980年代のバイクブーム時代には化学合成オイルと植物性オイルをつかった「A747」が発売され、「R30」の需要は落ちて行った。

化学合成油の概念を変えた

USカストロールが、超精製油(高度水素化分解された高粘度指数鉱物油 APIのベースオイル(基油)の分類でグループ3になる。例 VHVIなど)を用いた、<Syntec>というエンジンオイルを「化学合成油」として販売する。これに対してモービルは「化学合成油はPAOポリアルファオレフィン グループ4)、もしくはエステル系(ポリオールエステル、ジエステルなど グループ5)を意味し、グループ3ベースオイルを用いたモーターオイルは化学合成油でない」と主張し、アメリカの広告審議会(NAD)の審判を仰ぐ。評決はカストロールが勝訴し、グループ3も化学合成油として表示することが認められた。今では訴えたモービル(現エクソンモービル)をはじめ、多くのオイル会社がグループ3を用いたオイルを化学合成油(シンセティックオイル)として販売している。

日本でも化学合成油の定義がないため、グループ3基油を用いたエンジンオイルは、会社によって「鉱物油」として売られたり、あるいは「化学合成油」で売られていたりして統一されておらず、消費者に混乱を与えている。

従来、日本で販売されていたカストロールの化学合成油、 シントロンや、RSシリーズはある時期からエステルを省き、PAOベースのみの処方に変更された。安価な化学合成油の一番手として、ホームセンター向けに超精製基油ベースのRSXというオイルを概ね4L3500円前後で「化学合成油」として販売開始した。その後このRSXはカタログ商品となり、一般的にカー用品店で4L5000円前後で販売された。またそれに続いたRSシリーズの後継商品のEDGEシリーズでは、VHVIやVHVI・PAOが主流のベースオイルになってゆく。また基油の表記もある時期から「100%化学合成油」を「全合成油」に改めた。なおシントロンとRSは二輪・四輪共用オイルであったが、現在シントロンの後継エッジ5W-50、現行RS10W-50には「二輪車には使用できません」と表示されている。これは同社の二輪専用化学油パワー1シリーズが販売されたことにより、JASO T903の分類テストを実施していないためで、実際のテストで不具合が生じたからではない。なおBPブランドの二輪車用ビストラシリーズはカストロールとの統合後、大きくラインナップが削減され、専門店用マニア向け二輪オイルの販売は廃止された。

RS ヒートプロテクション10W-50はEDGEシリーズに組み入れていなかったが、2008年からEDGE RSとなった。と同時にACEAA3の認証製品ではなくなった。

ドイツで販売されているEDGEはアウトバーンの走行やロングドレイン,DPFに対応したブレンドになっており、日本で販売されるEDGEとは異なる。


ビーピーカストロール(ジャパン)はCastrol(カストロール)ブランドのほか、bp(ビーピー)、ダッカムス(DUCKHAMS)ブランドでも化学合成油を販売しているが、bpブランドの量販店向け商品である、<バービス>、<レーシング>、輸入車用の<ユーロ&US>シリーズの化学合成油も、ある時から銘柄、容器のデザイン、販売価格の変更がないのにも関わらず、<エステル+PAO>(実際にはPAOの方が比率が多い)から、<PAO配合>に表示が変わった。併せて基油の表示が「100%化学合成油」から「全合成油」に改められ、WEBサイトに公表されていた動粘度や粘度指数などの代表性状が削除されている。ちなみにバービスシリーズの部分合成油は<VHVI+PAO>から<PAO配合>に変わっている(但し、<ユーロ&US>シリーズドイツ車用を除く)。なお、bpブランドの整備工場向けオイルは基油は変更せず、グループ3(VHVI、HC-S)の高粘度指数油を用いた「部分合成油」、「高度精製油」といった表記の方を「全合成油」と改めた。このためランナップの殆どが「全合成油」になってしまった。なおマニア、サーキット向けのBP<VIGORAS(ビゴラス)>シリーズは廃番になった。

2009年夏、缶のパッケージデザインが変更になり、バービスシリーズの<PAO配合>といった具体的な基油の記載は削除され、「2輪車には使用できません」と追記された。この時、<レーシング>シリーズ、<ユーロ&US>シリーズは廃止され、0W-40、10W-50といった高粘度のオイルが<バービスレーシング>となり、<バービス>シリーズから離された。

輸入車用純正オイルの供給

日本のオイル市場では、自動車メーカーが補修用部品と販売する「純正オイル」というものが定着しているが、海外では市販されているオイルを自動車メーカーが認証する「アプルーバル制度」を採用している。日本の輸入車代理店は日本のマーケットに合わせて、カストロールに純正オイルのOEM供給を委ねている。


カストロールが供給する輸入車向け純正オイル。

BMWジャパン>

  • BMWLL01  5W-30 #9023 0144 450 (超精製油+化学合成油)
  • BMWLL01FE 0W-30 #9023 0144 462 (化学合成油)
  • BMWLL01   0W-40 #9023 0144 321 (化学合成油)

VWアウディジャパン>

  • VW504.00   5W-30(化学合成油)
  • VW503.00   0W-30(化学合成油)
  • VW503.01   0W-40(化学合成油)


ディーラー向けオイルとしてはACEA C3規格に対応したSLX Professional Powerflow 0W-30があったがSN規格への移行によりEDGE Professional C3 0W-30に切り替わっている。

国産車メーカーのディーラー専売モデルとしてはスバル純正SLX 5W-40、マツダディーラー専売のEDGE Professional MZ(旧・SLX Professional MZ)0W-30&5W-30がある。汎用的なディーラー向けオイルとしてプロスピリットシリーズがあったがSN規格化により名称はマグナテックプロフェッショナルとなっている。

国別のフォーミュレーション

カストロールはイギリスの発祥であり、同社を吸収したbpもイギリスに本拠を置くが、製品工場は各地に分散し、仕向け地に応じた生産供給をしている。 ビーピーカストロールジャパンは日本には製造設備をもっていない。BPブランドは長らく日興産業(キーストン)が、カストロールブランドは富士興産(マッシモ)が生産してきた。なお富士興産は潤滑油製造事業から撤退したため現在では生産していない。BPカストロール株式会社の有価証券報告書 第29~第31期(平成17年1月1日~平成19年12月31日)では製造委託先としてBPブランドが日興産業、カストロールブランドが中外油化学工業とジャパンエナジーとなっているのが確認できる。なお有価証券報告書 第32期以降では製造委託契約の表記欄が無くなったため詳細については確認出来ないが 現在においても同様の国内潤滑油製造会社に製造を委託していると思われる(ジャパンエナジーはエネオスと合併したためJX日鉱日石エネルギーとなっている)。 以前のカストロールの「シントロン」はオーストラリア製で、15W-50の粘度であった頃の「RS」は西ドイツ製(当時)であった。西ドイツ製時代の「RS」はエステルの比率が高く、4輪、2輪共にサーキットでの愛用者が多く、MOTUL 「300V」のライバル的な存在であった。その後「RS」は国内生産の10W-50となり、ホームセンターなどの激安商品となってしまう。


bpでは以前、「VISCO(ビスコ)2000」などの輸入車用に輸入オイルがあったが、bp「ユーロ&US」シリーズや、カストロールの「エッジ」で、自動車メーカーのアプルーバルの認証を得たため現在では輸入販売をしていない。


ドイツ仕様の「EDGE RS 0W-40」と、日本の「エッジ 0W-40」のアプルーバル規格の比較を下に示す。(2009年現在 API SM/CF ACEA 2008)

<ドイツ仕様> EDGE RS 0W-40

  • ACEA A3/B3/B4, C2, C3
  • API SM/CF
  • BMW Longlife-04
  • MB-Freigabe 229.31/ 229.51
  • Porsche: alle Fahrzeuge mit Ausnahme von Cayenne (V6)
  • VW 502 00/503 01/505 00


<日本仕様> エッジ 0W-40

  • フォルクスワーゲン VW502 00 / 503 01 / 505 00
  • メルセデスベンツ MB229.3
  • BMW LL01
  • ポルシェ RECOMMEND
  • API:SM/CF SAE: 0W-40
  • ACEA:A3/B3/B4


カストロールではドイツ仕様が一番高品質に調合されていると言われ、アメリカではUS製カストロールより、ドイツ製を好むマニアも多い。 従来、アメリカにおけるカストロールの化学合成油は「SYNTEC」というグループ3ベースのものであったが、近年アメリカでも「SYNTEC」と並行して「EDGE」が販売されるようになった。アメリカでの「EDGE」のキャッチコピーは、「Wear Protection Than MOBIL 1(モービル1より摩耗から守る)」である。

外部リンク

テンプレート:Asbox
  1. 横浜銀蠅ぶっちぎりrock'n roll」の歌詞にも「カストロの香りをまき散らし」という句がある。