エミール=オーギュスト・シャルティエ

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テンプレート:Infobox 作家

アランAlain)ことエミール=オーギュスト・シャルティエフランス語:Emile-Auguste Chartier1868年3月3日 - 1951年6月2日)は、フランス帝国フランス第二帝政ノルマンディーモルターニュ=オー=ペルシュ出身の哲学者評論家モラリスト[1]テンプレート:Sfn[2]

ペンネームアランは、フランス中世の詩人作家であるテンプレート:仮リンクに由来するテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

1925年に著された『テンプレート:仮リンク』で名高いが、哲学者や評論家としても活動し、アンリ・ベルクソンポール・ヴァレリーと並んで[3]合理的ヒューマニズムの思想は20世紀前半フランスの思想に大きな影響を与えたテンプレート:Sfn

体系化を嫌い、具体的な物を目の前にして語ろうとしたのがアランの手法でテンプレート:Sfn理性主義の立場から芸術、道徳、教育などの様々な問題を論じた[1]。フランス文学者の桑原武夫は「アランの一生は優れた「教師」の一生であったと言えよう」と評しているテンプレート:Sfn。また、アランの弟子で同国出身の小説家、評論家であるアンドレ・モーロワ1949年にアランの伝記や教えをまとめた『アラン(Alain)』の中で、アランを「現代のソクラテス」と評しているテンプレート:Sfn

生涯

1868年3月3日、フランス帝国ノルマンディー地方(現:オルヌ県モルターニュ=オー=ペルシュ)に生まれる。テンプレート:仮リンクエコール・ノルマル・シュペリウール入学し、哲学専攻したテンプレート:Sfn。学生時代、哲学の面ではイマヌエル・カントゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルバールーフ・デ・スピノザアリストテレスプラトンなどの影響を受けテンプレート:Sfn、文学の面ではオノレ・ド・バルザックスタンダールを好んで読みテンプレート:Sfn批評の面ではシャルル=オーギュスタン・サント=ブーヴエルネスト・ルナンテンプレート:仮リンクの影響を受けた。特にリセ・ミシュレで教師を務めていた合理主義哲学の立場を取ったテンプレート:仮リンクの講義を受け、後々まで大きな影響を受けたテンプレート:Sfn

卒業後ポンティヴィロリアンルーアンに位置するコルネイユ高等学校などのリセで教師を務めた。1909年からテンプレート:仮リンクに哲学を教える教師として務めたテンプレート:Sfn。なおコルネイユ高等学校の教え子に同国出身の評論家アンドレ・モーロワが居た。モーロワは後にアランの伝記や教えをまとめた『アラン(Alain)』と言う本を1949年に著し、モーロワの『アラン』によると、アランは「偉大な書物の中には必ず哲学がある」との信念に基づき、ホメロスやオノレ・ド・バルザックの本を読ませたと言う記述があるテンプレート:Sfn。過去の偉大な哲学者達の思想とアラン独自の思想を絡み合わせた哲学講義は学生に絶大な支持を受け、レイモン・アロンジョルジュ・カンギレムシモーヌ・ヴェイユジュリアン・グラックなどの学者を輩出した。

ドレフュス事件に関する文を著したのがアラン最初のジャーナリストの経験で急進主義的な文章を著したテンプレート:Sfn。アランと言うペンネームを持ち始めたのはルーアンで教師を務めていた1903年頃で、アラン名義でルーアンの『デペーシュ・ド・ルーアン (Dépêche de Rouen)』紙に週に一回、文学美学教育政治に関する短いエッセイ形式のコラム「プロポ (propos)」を寄稿し始め、このコラムによって文名を博したテンプレート:Sfn

第一次世界大戦が始まると46歳で自ら願い出て志願兵となり、戦争の愚劣さを体験するために好んで危険な前線に従軍したテンプレート:Sfn。戦争が終わり、除隊後の1921年に戦時中体験した出来事を綴った『マルス、または裁かれた戦争(Mars ou la guerre jugée)』を著したが、愛国者の怒りを買ったテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。再びアンリ4世高等学校に戻り、1933年頃まで教師を務めた。また、1937年出版された『大戦の思い出(Souvenirs de guerre)』も『マルス、または裁かれた戦争』と同じく戦時中体験した出来事を綴った本である。なお1920年に出版された『芸術論』は戦時中に草稿が書かれたテンプレート:Sfn

教師を退職した後は、1951年6月2日に亡くなるまで執筆活動を続けた。フランスのル・ヴェジネにて83歳で没した。

業績

1920年に著された『芸術論集』に於いて芸術霊感説を否定し、芸術とは理性意志とが素材を克服し、想像力に統制を加える事だと考えたテンプレート:Sfn。また、著書『イデー』に於いてデカルトについて「心身問題については今もなおデカルト以上に優れた教師は見当たらぬ」と評しているテンプレート:Sfn。冒頭で書いた通り、アランは新しい哲学体系などの体系化を嫌い、過去の哲学者や思想家の優れた意見の特色を示し、人間理性の良識としての高貴さを評価した。アランの人生哲学はプラグマティズムの思想とは異なり、「良く判断することは善く行為することである」として人間は自身が強く意志することによってのみ救われると言ったオプティミズムで貫かれていると考えたテンプレート:Sfn

著作

邦訳

  • 『散文論』桑原武夫訳 作品社 1933
  • 『精神と情熱とに関する八十一章』小林秀雄訳 創元社 1936 のち角川文庫
  • 『教育論』水野成夫,浅野晃共訳 創元社 1938
    • 『教育論』水野成夫,矢島剛一共訳 酣灯社 1949
  • 『スタンダアル』大岡昇平訳 創元社 1939
  • 『大戦の思い出』岡倉正雄訳 鱒書房 1939
  • 『文学語録』片山敏彦訳 創元社 1939
    • 『文学論』片山敏彦訳 創元社 1950 のち新潮文庫
  • 『幸福論』石川湧訳 万里閣 1940 のち角川文庫
    • 『幸福論』松平斉光訳 三笠文庫 1953
    • 『幸福論』白井健三郎訳「世界教養全集 5」平凡社 1961 のち旺文社文庫、集英社文庫
    • 『幸福論』宗左近訳 社会思想社 現代教養文庫 1965
    • 『幸福論』大木健訳 評論社 1972
    • 『幸福論』神谷幹夫訳 岩波文庫 1998
    • 『幸福論』村井章子訳 日経BP 2014
    • 『アランの幸福論』齋藤慎子訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2007
    • 『絵本アランの幸福論』合田正人訳 PHPエディターズ・グループ 2012
    • 『よくわかるアランの幸福論』上之二郎訳 笠倉出版社 2012
  • 『バルザック』小西茂也訳 創元社 1940
  • 『芸術論集』桑原武夫訳 岩波書店 1941
  • 『人間論』鈴木清訳 白水社 1941
  • 『信仰についての談話』松浪信三郎訳 青山出版社 1942 「信仰について」角川文庫
    • 『宗教論』松浪信三郎訳 角川書店 1950
    • 『アラン著作集 9 宗教論』渡辺秀訳 白水社 1981
  • 『情念について』小西茂也訳 白水社 1942
  • 『知慧について』岡倉正雄訳 日本出版社 1943
  • 『デカルト』桑原武夫,野田又夫訳 筑摩書房 1944
  • 『わが思索のあと』森有正訳 筑摩書房 1944
  • 『アラン家族の感情』串田孫一 等訳 風間書房 1946
  • 『プラトンに関する十一章』武者小路実光訳 日本社 1948
    • 『プラトンに関する十一章』森進一訳 筑摩叢書 1988 のち学芸文庫
  • 『思想 哲学入門 第1 (プラトン,デカルト)』吉田秀和訳 アルス 1949
  • 『哲学入門 思想 下 (ヘエゲル,コント)』吉田秀和訳 アルス 1951
  • 『暴力の敗退』武者小路実光訳 創元社 1949
  • 『マルス 裁かれた戦争』加藤昇一郎, 串田孫一訳 思索社 1950
  • 『芸術二十講』市原豊太,吉川逸治訳 河出書房 1951
  • 『海辺の対話 悟性の探求』原亨吉訳 角川文庫 1953
  • 『音楽家訪問』古賀照一訳 ダヴィッド社 1954
    • 『音楽家訪問 ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ』杉本秀太郎訳 岩波文庫 1980
  • 『思想と年齢』原亨吉訳 角川文庫 1955
  • 『神々』井沢義雄訳 弥生書房 1956
  • アラン著作集』白水社 1960
第1 思索と行動のために中村雄二郎
第2 幸福論 串田孫一,中村雄二郎訳 のちUブックス 
第3 情念について 古賀照一訳 「感情・情念・表徴」
第4 人間論 原亨吉訳
第5 芸術について 矢内原伊作,安藤元雄

      芸術についての二十講 / 安藤元雄訳

第6巻 イデー 哲学入門 渡辺秀訳
第7巻 教育論 八木冕
第8巻 わが思索のあと 田島節夫
  • 『人生語録』井沢義雄,杉本秀太郎訳 弥生書房 1960
  • 『芸術に関する101章』斎藤正二訳「世界教養全集 12」平凡社 1962
  • 『アラン文学論集』杉本秀太郎訳 白水社 1964
  • 『彫刻家との対話』杉本秀太郎訳 弥生書房 1970
  • 『考えるために』仲沢紀雄訳 小沢書店 1978
  • 『諸芸術の体系』桑原武夫訳 岩波書店 1978
    • 『芸術の体系』長谷川宏訳 光文社古典新訳文庫 2008
  • 『アラン経済随筆』橋田和道訳 筑摩書房 1980
  • 『ラニョーの思い出』中村弘訳 筑摩書房 1980
  • 『アラン著作集 8 文学折りにふれて』杉本秀太郎訳 白水社 1981
  • 『児童教育論』松島鈞訳 明治図書出版 1981 世界教育学選集
  • 『アランの「エチュード」』高村昌憲訳 創新社 1984
  • 『裁かれた戦争』白井成雄訳 小沢書店 1986
  • 『定義集』森有正訳 所雄章編 みすず書房 1988
    • 『定義集』神谷幹夫訳 岩波文庫 2003
  • 『スピノザに倣いて』神谷幹夫訳 平凡社 1994
  • 『アラン教育随筆』橋田和道訳 論創社 1999
  • 『プロポ』1-2 山崎庸一郎訳 みすず書房 2000‐03
  • 『四季をめぐる51のプロポ』神谷幹夫編訳 岩波文庫 2002
  • 『アラン、カントについて書く』神谷幹夫編訳 知泉書館 2003
  • 『アラン芸術について』山崎庸一郎編訳 みすず書房 2004
  • 『アラン初期プロポ集 propos 1906-1914』高村昌憲訳 土曜美術社出版販売 2005
  • 『小さな哲学史』橋本由美子訳 みすず書房 2008

脚注

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参考文献

執筆の途中です この「エミール=オーギュスト・シャルティエ」は、哲学に関連した書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正して下さる協力者を求めていますPortal:哲学)。
  1. 1.0 1.1 広辞苑第六版ではアランの項目に人生哲学者、モラリストと記述されている(p97)。
  2. 哲学研究者の所雄章は『岩波 哲学・思想事典』(廣松渉子安宣邦三島憲一宮本久雄佐々木力野家啓一末木文美士編集、1998年刊行)にて「哲学者というよりは「モラリスト」」と説明がなされてある。
  3. アランとは - コトバンク、2014年4月16日閲覧。