ユダヤ自治州
ユダヤ自治州(テンプレート:Lang-yi, di yidisher oytonome(r) gegnt, テンプレート:Lang-ru)は、ロシア連邦を構成する唯一の自治州。極東連邦管区に位置する。面積36,000平方キロ、人口190,915人。民族構成はロシア人、ウクライナ人が多く、ユダヤ人は全体の2%に過ぎない。鉱業、林業、農業が主要産業。首都はビロビジャン。
地理
南と西はアムール川を隔てて中国黒竜江省と接し、北はロシア極東連邦管区のハバロフスク地方、西はアムール州に接する。夏は蒸し暑く、冬は酷寒の過酷な自然環境である。
歴史
1858年、アイグン条約を締結し、清から割譲される。ブラゴヴェシチェンスクを本拠地としたアムール・コサック軍が結成され、アムール川警備にあたった。
1928年、ウラジーミル・レーニンの社会主義民族政策により、アムール川沿岸の中ソ国境地帯に「ユダヤ民族区」が設置され、テンプレート:仮リンクからテンプレート:仮リンクにまたがる「ルテニア(ウクライナ語版)」[1]と呼ばれた地域、すなわちテンプレート:仮リンク(カルパト・ウクライナ)・ガリツィア(ガリツィア・ロドメリア王国)・モルダヴィア・ベッサラビアなどの各地域、にあったユダヤ人コミュニティー『シュテットル』から多数のユダヤ人が移住した。社会主義的な枠組みのなかでユダヤ人の文化的自治をめざすもので、イディッシュ語の学校や新聞が作られた。同時期の戦間期には、ガリツィア等からの難民がウィーンへも押し寄せ、イディッシュ語のコミュニティーを形成したことが知られている。[2]
1934年5月に入ると「ユダヤ自治区」に昇格した。
しかし1930年代後半にヨシフ・スターリンの大粛清によりユダヤ人指導者は逮捕・投獄され、ユダヤ文化は迫害された。このためユダヤ人人口は減少し、ソ連崩壊後の新移民政策によりさらに多くのユダヤ人がドイツやアメリカ合衆国などに出国した。ただ現在はユダヤ文化復活の政策が取られており、一時廃刊になった新聞『ビロビジャンの星』にもイディッシュ語版が復活、イディッシュ語のラジオ放送も行われている。
行政区画
地区
地区 (район) | 中心地 |
---|---|
ビロビジャンスキー地区 (Биробиджанский) | ビロビジャン市 (г. Биробиджан) |
レーニンスキー地区 (Ленинский) | レーニンスコエ村 (с. Ленинское) |
オブルチェンスキー地区 (Облученский) | オブルチエ市 (г. Облучье) |
スミドヴィッチスキー地区 (Смидовичский) | スミドヴィッチ町 (пос. Смидович) |
オクチャブリスキー地区 (Октябрьский) | アムールゼト村 (с. Амурзет) |
主な都市
人口構成
2002年全ロシア国勢調査によれば、ユダヤ自治州の全人口は 190,915 名。95の民族がいると報告されている。州内ユダヤ人の人口は2,327人であるのに対し、ロシア連邦内のユダヤ人の人口は2000年時点で23万人程度とされる[3]。
民族構成は以下の通りとなっている。
民族 | 人口 | % |
---|---|---|
ロシア人 | 171,697 | 89.93 |
ウクライナ人 | 8,483 | 4.44 |
ユダヤ人[4] | 2,327 | 1.22 |
タタール人 | 1,196 | 0.63 |
ベラルーシ人 | 1,182 | 0.62 |
モルドヴァ人 | 672 | 0.35 |
アゼルバイジャン人 | 594 | 0.31 |
ドイツ人 | 453 | 0.24 |
朝鮮人 | 402 | 0.21 |
モルドヴィン人 | 401 | 0.21 |
チュヴァシ人 | 320 | 0.17 |
アルメニア人 | 282 | 0.15 |
バシキール人 | 188 | 0.10 |
ウズベク人 | 156 | 0.08 |
ポーランド人 | 148 | 0.08 |
ロマ | 132 | 0.07 |
タジク人 | 128 | 0.07 |
マリ人 | 103 | 0.05 |
中国人 | 102 | 0.05 |
標準時
この地域は、ウラジオストク時間帯の標準時を使用している。時差はUTC+11時間で、夏時間はない。(2011年3月までは標準時がUTC+10で夏時間がUTC+11時間であった)
脚注
関連項目
- 上海ゲットー
- 河豚計画構想
- 英領ウガンダ計画構想
- マダガスカル計画構想
- バルフォア宣言
- 東方エルサレム共和国 - 架空戦記小説「紺碧の艦隊」シリーズ作品世界、および「旭日の艦隊」シリーズ作品世界に登場する架空の国家。南樺太を領土とする。
- コミックス「虹色のトロツキー」 - 石原莞爾に心酔・師事し、満州派に属する大日本帝国陸軍参謀辻政信が、関東軍による全面的軍事支援・庇護をちらつかせてユダヤ自治州有力者達をソ連からの完全独立へと焚きつけ、同地域をソ連から引き離す構想が作中にて登場する。
外部リンク
- ユダヤ自治州公式HP(ロシア語、英語、中国語)
- ↑ ルテニアでは、1903年から1906年にかけて、「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人虐殺が頻発した。ロシア帝国は、社会的な不満の解決をユダヤ人排斥主義に誘導した。
- ↑ メンデル・ノイグレッシェル, "イディッシュのウィーン", (1997), ISBN 4-879-84192-7
- ↑ YIVO | Population and Migration: Population since World War I
- ↑ Mark Tolts: The Post-Soviet Jewish Population in Russia and the World. Published in: Jews in Russia and Eastern Europe, 2004, No. 1 (52), p. 51.