ウォーム・ビズ
ウォーム・ビズ(WARM BIZ)とは、環境省が行ったキャンペーン、クール・ビズの秋冬版。過度に暖房に頼らず、摂氏20度の暖房の適温でも暖かく働きやすい取り組みを指す(実施期間は11月から3月まで)。具体的な服装としては、背広の場合、スリーピース(上着・スラックス・ベスト)となるが、衣服や職場環境の温度設定のみならず、食事や食物に対する提言も出ている。
概要
2005年8月、環境省が「秋冬のクール・ビズ」として提唱した。暖房による二酸化炭素排出の増加を抑えるため、室温を低め(摂氏20度)に設定することを呼びかけ、この室温でも快適に過ごすための服装として「働きやすく暖かく格好良い」ビジネススタイルとして位置づけている。
名称は「クール・ビズ」の対義語として「ホット・ビズ」などが予想されたが、環境省内の検討委員会により「ウォーム・ビズ(WARM BIZ)」が正式決定している。
産業界の動き
被服小売店舗もこの動きに協力し、スリーピースのスーツや、内側に着るベストやニットなどを積極的に販売展開した。
また人間の体は食事を取ることで一時的に体温が上がるが、この取り組みでは「より効果的に体が温まる食事」の提案を行うなど、生活スタイルそのものに対する情報も見られる。イトーヨーカ堂のポトフやクリームスープなど惣菜・弁当関係から東京ガスのホットドリンクや土鍋を使う料理(→鍋料理)、百貨店である高島屋や三越の食材など、食に対する言及は幅広い。
効果・問題点
テンプレート:出典の明記 ウォームビズでは、室内でも厚着をしたりひざ掛けを使う・より暖かくなるよう生活を工夫するなどして温度設定をやや低くすることでエネルギーやCO2排出量の削減の効果を得る訳だが、室内温度を1度下げるだけで、冷房のときの「設定温度を1度上げる」よりもより大きな効果を得ることが出来る(参考:環境省資料)。加えて冷房の必要な期間に比べて、暖房の必要な期間は1.4~1.5倍程度と長くなるため、期間を通して設定温度を低くすることでより多くの効果が得られることが期待できる。
ただ元々、クールビズが夏場の電力供給量対策及び間接的には火力発電の負担増加に伴う二酸化炭素排出量抑制として、また以前より冷房による電力不足の問題は広く認識されていたために熱心に推奨されてきたが、冬場は灯油や都市ガスなど化石化燃料を使う暖房器具などが利用できるなど電力需要に余裕があるため、電力会社を巻き込んで宣伝が成されたクールビズほどには積極的に推進されていない。このため広報も十分とはいえず、民間企業への浸透は今一つである。
なお「従来設定よりの1度の温度差」という単純計算において、暖房の電力消費量は、夏場の冷房と比較すると、外気温との温度差が大きいこともあってか、電力に頼ったエアコン(ヒートポンプ)による暖房のエネルギーコストは単純計算で冷房の2~3倍・CO2排出量換算で4倍ほどであるため、夏場に冷房を抑えて我慢しても冬場の暖房1ヶ月ほどを余計に高く設定してしまうことで、それらが無駄になってしまう計算である。そのため、今後の普及が期待される。