Performa

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Performa(パフォーマ)はアップルコンピュータが、MacintoshPower Macintoshローエンド機として発売したパソコンのシリーズ名である。1992年から1997年まで生産された。

概要

PerformaはMacintoshのローコストの製品で、主にPC初心者やホームユース、教育市場向けとして発表された。 クラリスワークスなど多くのソフトウェアがバンドルされ、キーボード、マウス、モデムなどが付属(当時、Macintoshを含めた一般的なパソコンでは別売りだった)し、「箱から出したらすぐに使える」商品構成であった。この構成は後のiMacへと継承されたほか、IBM系のPC/AT互換機や、日本のNEC PC-9800シリーズにも影響を与えた。

初心者ユーザーへの対応として、操作方法を学習するソフト「Macintoshツアー」や充実したマニュアルを付属させたほか、無料電話相談サポートの「パフォーマホットライン」や修理サービス「ピックアップ&デリバリー」の展開、また、PerformaユーザーなどのMacビギナーを対象とするサイト「パフォーマタウン」をアップルWebサイト内に設けるなどしていた。

歴史

680X0 - LCシリーズ共用時代

ファイル:LC520.jpg
初期のPerformaシリーズのベースとなった、ディスプレイ一体型のMacintosh LC(LC 520)

Performa以前、Macintoshには旧来の構成で販売される廉価機として、小型ピザボックス筐体、及び13インチトリニトロンディスプレイ一体型の「Macintosh LC」シリーズと、「Macintoshの伝統的な形状」であるモノクロ9インチディスプレイ(後にカラーも発売)一体型の「Macintosh Classic」シリーズをラインアップしていた。

当初のPerformaシリーズはこれらの機体をベースに、ソフトウェア、キーボードをバンドルした形態となった。

13インチトリニトロンディスプレイ一体型の「LC5xx」シリーズをベースとした機体が初期のラインアップだったが、他に「Classicのシルエットでカラーディスプレイ」であることから爆発的人気を誇った「Macintosh ColorClassic II」をベースとした「Performa 275」がラインアップされていたことはあまり知られていない(したがって、「PerformaがすべてCD-ROMドライブを搭載している」という認識は正確には誤りである)。

しかし、OS、マウスのみバンドルのLCシリーズとほとんど変わらない販売価格で提供したため、利益が少なくなり、当時存在したPC/AT互換機との競争が激化したこともあって、Appleにとっては「売れば売るほど赤字になる商品」となってしまった。

この世代のPerformaとしては最後の製品になる「Performa 588」では、製造コストをさげるため、内蔵ディスプレイをトリニトロン管から歪曲のきつい安価なシャドウマスク管に変更された。

PowerPC以降 - 専用設計時代

アップルは1994年に、CPUを従来のモトローラ68000系からPowerPCシリーズへと変更した「Power Macintosh」シリーズを発売する。

当初、PerformaはハイエンドのPower Macintoshとの差別化から、引き続きモトローラ68000系プロセッサを採用する方針であった。ところが、「Power Macintosh 6100」シリーズの予想外の成功により、市場のPowerPC化が一気に進んだ為、互換機との競争もあり、PerformaラインのPowerPC化を余儀なくされた。Performa以外のモデルとの設計共用に無理があることも要因となった。

「5xx」シリーズよりさらに高解像度のグラフィックス表示能力が求められ、15インチディスプレイを内蔵。このため筐体デザインは大きく変わり、まったく新規のものとなった。CPUには低消費電力・低発熱の「PowerPC 603」を採用した。拡張スロットは引き続き、PDSスロットと、モデム・LAN用の「Macintosh CSスロット」。PowerPCを採用しながら従来機種との互換性をある程度保ったCordycepsロジックボード(マザーボード)を採用した。68000系搭載のPerformaとの区別を明確にするため、モデル番号を4桁とし、「Performa 5210」として発売された。

ラインアップの充実を図るため、当時のミドルレンジだった「Power Macintosh 7500」シリーズよりも一回り小型の、横置きデスクトップ筐体(LC630系列と同様)を採用した「Performa 6210」も発売された。ただし、ロジックボード等は「5xxx」シリーズと共用で、デスクトップならではの拡張性などは高くなかった。

インターネットの普及黎明期となり、モデムを標準搭載するようになった。また、テレビチューナーを内蔵し、赤外線リモコンを持つものも発売された。

第二世代のPower Macintoshシリーズが採用したPCIバスによる拡張スロットがMacでも一般化したため、途中でロジックボードがAlchemyに変更され、PDSスロットを廃止し、PCIスロットを1基備えるものとなった。一体型筐体はブラック塗装とした「5420」が発売されたが、構造は従前のままであったため、PCIスロットのフル規格である12インチ長のボードは搭載できず、6インチ以下のものに限定された。しかし、PCIスロットのボードサイズはISAのものを継承しただけに過ぎず、実際には12インチボードが搭載できないことによる制約はそれほど深刻ではなかった。一方、セパレート構成のものはセミスリムタワーの「6410」「6420」に変更された。こちらはPCIスロットを2基備える。

さらにCPUのクロックを向上させた「5440」「6440」が発売され、これがPerformaシリーズの最終モデルとなった。 その後、教育ユース向け(日本では並行輸入のみ)の「PowerMacintosh G3 All in one」(通称:Artemis)を経て、「iMac」へと移行する。

「Power Macintosh」ラインへのブローアップ

PC/AT互換機やPC-9800シリーズも「低価格・オールインワン」路線を重点としたため、Performa以外の廉価機ラインは商品価値が薄れ、PowerPC化することなく順次クローズしていくことになる。

しかし、PowerPCが完全に主軸となると、セカンド用途や、教育市場向けに、安価で、シンプルな構成の廉価機が求められるようになった。また、「Macintosh=一体型」と言うイメージから、一体型のPower Macintoshを求める声も大きかった。そこで、Performaのラインから、モデムやテレビチューナーを廃した機体を、「Power Macintosh 5200シリーズ」「Power Macintosh 6200シリーズ」として発売することになる。Power Macintoshのラインとしては、Power Macintosh 6100シリーズの後継に位置づけられる。

一体型のPower Macintoshは、1997年まで日本では正式に発売されていない。しかし、前述のようにディープなユーザ層から「一体型のPower Macintosh」を求める声が根強く、並行輸入ルートで販売された。

その後、モジュラー型デスクトップの「Power Macintosh 4400シリーズ」、5000系筐体の「Power Macintosh 5500シリーズ」が日本でも正式販売された。

製品ラインナップ

左記はPerformerシリーズとしてのモデル、右記は同一モデルないしベースモデル。なお、日本国内で販売されていないモデルも含めている。

680X0搭載機

1992年

1993年

1994年

1995年

PowerPC搭載機

1994年

1995年

1996年

脚注

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関連項目

外部リンク

テンプレート:1997年以前のアップル社製ハードウェア
  1. Macintosh Classic IIとしては1991年に発売されている。