ロッキード コンステレーション
テンプレート:Infobox 航空機 ロッキード コンステレーション (Lockheed Constellation) は、アメリカ合衆国の航空機メーカー・ロッキード社が開発・製造した、与圧構造装備の大型プロペラ旅客機である。コニー (Connie) のニックネームでも知られる4発の高速旅客機で、レシプロエンジン旅客機の歴史の最後を飾る存在として著名な機体である。
目次
概要
開発開始
アメリカの大手航空会社トランス・ワールド航空のオーナーで、大富豪として知られるハワード・ヒューズの支援の元、与圧された機内客室を持ち、アメリカ大陸を無着陸で横断飛行できることを目標に、1939年からロッキード社のカリフォルニア州・バーバンクにある工場で開発が開始された。
初期型
しかし、第二次世界大戦の勃発と1941年12月のアメリカの参戦により、アメリカが戦時体制下に置かれたことから、1943年に完成した初期型L-049は、トランスワールド航空ではなくアメリカ空軍に輸送機「C-69」として納入された。
発展型の「L-749 コンステレーション」も軍用の「C-121」として採用され、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領の専用機(VC-121)やダグラス・マッカーサー元帥の専用機「バターン号(VC-121A)」としても使用された。
生産再開
第二次世界大戦が終結し、連合国を中心とした各国で民間航空が復活するとともに、トランス・ワールド航空やそのライバルのパンアメリカン航空をはじめとする各国の航空会社に向けた生産が再開された。
1947年には、ライバルのダグラスDC-6に対抗して、エンジンを換装し巡航速度を向上させた「L-749 コンステレーション」が投入され、トランス・ワールド航空やパンアメリカン航空の大西洋横断路線に導入された。
航続距離延長型
ダグラスがDC-6のペイロード増加型貨物輸送機DC-6A開発から旅客型DC-6Bの販売にともないロッキード社は胴体延長したL-1049を発表した。L-049シリーズモデルの懸案だった容積不足は解消したが、L-1049は北米大陸横断便で搭載人員にたいしエンジン出力不足は否めず、大西洋横断路線便用のL-749が航続距離不足でニューヨークからの大西洋無着陸飛行ができなかったため(アイルランドのシャノンやカナダのガンダー、グース・ベイなどへ、燃料給油のための着陸が必要であった)、この長胴モデルL-1049を改良し1950年には翼端に燃料タンクを追加した「L-1049 G スーパー・コンステレーション」が導入され、トランス・ワールド航空のみならず、長距離路線を多く運航するエール・フランス[1] 、ルフトハンザ・ドイツ航空やヴァリグ・ブラジル航空など世界の大手航空会社に導入された[2]。
その多くが太平洋や大西洋横断路線、アメリカ大陸横断路線などの長距離かつ需要の大きい路線にダグラスDC-6などともに投入され、その結果、1950年代に至るまで「クイーン・メリー」や「ユナイテッド・ステーツ」、「クイーン・エリザベス」などの豪華客船が大きなシェアを占めていた大西洋横断航路や、同じく客船が大きなシェアを占めていた太平洋横断航路は衰退に追い込まれた。
1956年には、設計変更により翼型を大きく変え、航続距離をさらに伸ばした最終発展型の「L-1649 スターライナー」が投入され、ボーイング377やダグラスDC-6の発展型のDC-7Cとともにレシプロ機の黄金時代の最後を飾った。
生産中止
しかし、新型ターボプロップ機のL-188 エレクトラの生産開始を受けて1958年を最後に生産終了となり、L-188 エレクトラなどのターボプロップ機や、同年に導入が開始されたボーイング707やダグラスDC-8などのジェット機に道を譲った。生産が開始された1943年から1958年までの間に、民間型、軍用型合わせて856機が生産された。
現在
2000年代初頭までごく少数が現役旅客、貨物機として運航されていた。[3] その後はその美しい機体デザインから多数の航空博物館で保存されている。動態保存で「セイブ・ア・コニー(Save-A-Connie)」[1]が有名、民間の愛好家、当時使用していた航空会社などアメリカ軍のC-121からレストアして保存し、遊覧飛行やエアショー用に使用している[4]。
技術
機首では細く、主翼付け根部分で太くなり、また後尾にかけて窄まる曲線美豊かな胴体と、3枚の垂直尾翼という、極めて優雅、かつ特徴的な形態を備える。
なおコンステレーションの翼型はロッキード製のP-38ライトニング戦闘機と同一で違いは大きさだけである[5]。 本機を特徴付ける後部の3枚の垂直尾翼はトランスワールド航空の格納庫に収納で低くする必要があったからである。しかし、尾翼を3枚に変更したことにより空気抵抗が増え、重量も増加した[6]。新しい特徴として、油圧操舵機構と着氷を防ぐ目的で主翼と尾翼の先端に熱による防氷装置を有している[7]。
スペック (投影図はL-1049A)
(L-1049 "スーパー・コンステレーション")
- 全長: 37.5 m
- 全幅: 34.7 m
- 全高: 7.6 m
- 速度: 約 550 km/h
- 乗客数:約 80 - 100名
(L-049 "C-69″)
- 全長: 29.0 m
- 全幅: 37.5 m
- 全高: 7.2 m
- 翼面積: 153.3 ㎡
- 自重: 22,907 kg
- 全備重量: 32,659 kg
- 発動機:ライトR-3350-35 2,200hp×4
- 最高速度: 571 km/h
- 巡航速度: 442 km/h
- 上昇率: 494 m/min
- 実用上昇限度: 7,770 m
- 航続距離: 5,920 km
- 乗員:6 + 64名
派生型
- L-049
- 軍の指定
- L-049 コンステレーション
- L-049の民間向け名称
- L-649 コンステレーション
- L-749 コンステレーション
- L-1049 スーパー・コンステレーション
- L-1649 スターライナー
- EC-121 ウォーニングスター
- 早期警戒機 アメリカ海軍が使用
運航者
航空会社
- トランス・ワールド航空
- パン・アメリカン航空
- ワールド・エアウェイズ
- イースタン航空
- キャピタル航空
- フライング・タイガー
- ヴァリグ・ブラジル航空
- レアル航空
- アビアンカ航空
- クバーナ航空
- エールフランス
- KLMオランダ航空
- ルフトハンザドイツ航空
- 大韓航空
- エア・インディア
- エル・アル・イスラエル航空
- カンタス航空
- チャイナエアライン
軍用
日本におけるコンステレーション
日本では日本航空がダグラスDC-4B、DC-6、DC-7Cとダグラス製の機材を導入していたことや、日本航空以外にこのクラスの大型機を導入し運航することのできる航空会社が存在しなかったことから、日本の航空会社による導入、運航は行われなかった。
なお、エールフランスが日本航空とともに東京国際空港 - オルリー空港(パリ)間に共同運航便を運航していたことから、1950年代後半から1960年代前半にかけて、エールフランスのL-1049/L-1649に日本航空のロゴを入れ、客室乗務員を乗務させ同路線を運航していた[8]。
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:アメリカ空軍の輸送機- ↑ コンステレーションシリーズL-049、L-749、L-1049、L-1649を使用した。
- ↑ パンアメリカン航空はボーイング377ストラトクルーザーとダグラスDC-7C採用し、このL-1049とL-1049Gは使用していない。
- ↑ おもに旧型L-049シリーズが80年代まで使用された。煩雑なメンテナンスからL-1049は早々に減少しDC-4(C-54)シリーズに比べ独特な胴体から載荷容量に不都合が生じ、中古機として不人気だった。
- ↑ 民間型が早々に退役したが、長らく軍用モデルC-121は現役に留まったため動態状態にある機体はこのC-121が多い。そのなか「セイブ・ア・コニー」のL-1049Hはスリック航空の純民間型である。
- ↑ Johnson, Clarence L. "Kelly" (), Kelly: More Than My Share of it All. Washington, DC: Smithsonian Books, 1985. ISBN 0-87474-491-1.
- ↑ Boyne 1998, pp. 135–137.
- ↑ Taylor 1993, pp. 606–607.
- ↑ www.airliners.net