JR四国6000系電車

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6000系電車(6000けいでんしゃ)は、1996年平成8年)4月26日に営業運転を開始した四国旅客鉄道(JR四国)の直流近郊形電車

概要

本四備讃線瀬戸大橋線)などで運用されていた111系が老朽化したため、取替目的に3両編成x2本計6両が1995年(平成7年)に日本車輌製造で製造された。製造・保守のコスト低減を企図し、外部構造や主要機器の多くは他系列と部品共通化を実施。その結果7000系電車とは併結運用が可能である。

瀬戸大橋線を主とする地域輸送に投入されたが、以後の増備はされず111系完全淘汰は2000年(平成12年)に東日本旅客鉄道(JR東日本)から113系電車の譲渡購入とされた。以降は、四国内の電化区間で地域輸送で運用される。

仕様・構造

基本構成
高松方から 6000形(Mc, 制御電動車) - 6200形(T, 付随車) - 6100形(Tc', 制御車)の組成で、MT比 1 : 2 (1M2T) の3両固定編成である。
6100形側に7000系の制御車7100形 (Tc) を連結し、 1M3T の4両編成でも運転可能である。
車体
211系電車213系電車などと同一の車体断面で構成されたステンレス製の軽量構体で、前面はFRP製である。正面窓周囲の黒色処理、大型の助士席側正面窓は213系電車と同一の構成で、2連窓を主とした側窓配置は東海旅客鉄道(JR東海)311系電車に類似する。
客用扉は片側3か所に設け、編成端部の扉以外は 1300 mm 幅の両開き扉である。扉隣接部には半自動扱時のドア開閉ボタンを装備する。
外部塗色はステンレス地肌の無塗装で、正面 - 側面窓下位置に ライトブルー+白色+赤色 の3色帯を配する。落成時には先頭車側面に「SERIES 6000 JR四国」 先頭部運転席窓下に「JR SHIKOKU SERIES 6000」のロゴマークを配していた。
運用線区の実態に鑑み、車掌の乗務環境整備がなされた。停車時の客用扉開閉操作を考慮して運転台背後の空間を拡大しており、このため6000形・6100形では全長が中間車の6200形より 170 mm 長い。同一の理由から、運転台直後の客用扉のみを 950 mm 幅の片開き扉として運転台側の戸袋をなくしている。
冷房装置は各車の屋根上に集中式 S-AU58 形1基を搭載する。
電装機器
東芝製の GTO サイリスタ素子を搭載した主変換装置によるVVVFインバータ制御を行い、個々の主電動機を個別に制御する 1C1M 方式である。主電動機は かご形三相誘導電動機 S-MT62 形 (160 kW) を6000形に搭載する。補助電源装置は 150 kVA の静止形インバータ (SIV) である。主電動機は本系列専用のものであるが、制御装置・補助電源装置は8000系電車と共通の仕様である。最高速度は 110 km/h である。
パンタグラフは7000系と同一の S-PS58 形で、6000形 (Mc) に2基を搭載する。四国域内の電化区間に狭小トンネルが存在[1]するため、集電装置自体の最低作用高さを可能な限り低く設定し、かつ、車体の集電装置取付部屋根高さを下げた「低屋根構造」としている。
台車・ブレーキ装置
台車は枕バネに空気バネを用いたボルスタレス台車 S-DT62 形(動力台車)S-TR62 形(付随台車)で、211系電車などの DT50 系台車と同一の円錐積層ゴムによる軸箱支持方式である。基礎ブレーキ装置は動力台車がユニットブレーキ、付随台車がディスクブレーキと片押式踏面ブレーキの併用である。
ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを搭載し、回生ブレーキの失効時には自動で空気ブレーキに切替を行う方式である。
室内設備
座席は転換クロスシートを採用した[2]。座席配置は扉間が隣接部のみ固定式とした2人掛6脚の2列配置、車端部が4人掛ボックス席となっている。
客用扉の「鴨居」部にはLED式の車内案内表示器を設ける。
トイレは6200形の高松方に設置されている。四国の地域性を理由に和式が採用された。当時、JR四国は普通列車用車両にはトイレを設置しない方針であったが、瀬戸大橋上での運転抑止・乗降不可能を想定して設置されたものである。
中間車の6200形 (T) には、放送装置や車掌スイッチなどの車掌用設備を装備した業務用空間「車掌コーナー」を車端部に設ける。主に無人駅での車掌による集札業務で使用するもので、白字で『乗務員室』と表記された半透明の仕切板で区画され、扉のない半開放空間[3]である。座席は設けられず、車掌は立った状態で使用する。
バリアフリー対応として、各車の客用扉にドアチャイムを装備し、6200形の松山方に車椅子スペースを設ける。

形式別詳説

  • 6000形 (Mc)
制御電動車で、定員は131名(うち座席56名)である。2両 (6001, 6002) が在籍する。
1両で主回路を構成する 1M 方式の電動車で、パンタグラフ・主変換装置・補助電源装置を搭載する。
3両編成の高松方に組成される。
  • 6100形 (Tc')
制御車で、定員は131名(うち座席56名)である。2両 (6101, 6102) が在籍する。
3両編成の松山方に組成される。
  • 6200形 (T)
付随車で、定員は136名(うち座席52名)である。2両 (6201, 6202) が在籍する。
車端部に車椅子スペース・トイレ・車掌コーナーを設け、床下には空気圧縮機 (CP) を装架する。

運用の変遷

全車が高松運転所に配置されている。

導入当初は瀬戸大橋線の観音寺 - 岡山間に使用され、従前より使用してきた111系を同区間の運用から淘汰した。2000年にJR東日本から113系を譲受した後は本四備讃線での運用はなくなり、以下の区間で普通列車快速サンポート」として使用されている。

かつては平日に高松 - 多度津 - 琴平間で6100形側に7000系7100形を連結した4両編成が運行されていた(現在は定期運用では行われていない)。

本系列は予備車がないため、故障・検査時は7000系3両(7000形+7100形+7000形)での運用に変更となる。

1999年(平成11年)春頃、当時のヒット曲だんご3兄弟』にあやかって「3兄弟電車」として運転された。電車を3兄弟に見立てた絵を描いたヘッドマークを装着し、6000形には「力もちの長男」、6200形には「人にやさしい次男」、6100形には「ときには先頭三男」と、それぞれのキャッチフレーズを車体に掲示していた。

脚注

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参考文献

  • 電気車研究会 『鉄道ピクトリアル』
    • 吉本 英三郎 「四国旅客鉄道 6000系」 1996年10月臨時増刊号 No.628 『新車年鑑 1996年版』 pp. 69 - 71

関連項目

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  1. 予讃線の箕浦駅以西が該当するが、本系列は観音寺以西へは定期列車での入線事例はない。
  2. 本系列が落成した1996年時点では、高松 - 岡山間の快速マリンライナー」も転換クロスシート車であったが、これは西日本旅客鉄道(JR西日本)岡山電車区配置の213系であったため、JR四国所有の転換クロスシート装備の普通列車用車両は本系列が初となる。
  3. このような形態は名古屋鉄道の一部の車両でも採用されている。