HRP-2

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HRP-2(エイチアールピー・ツー)とは、通商産業省の「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」(HRP:Humanoid Robotics Project)の一環として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から財団法人製造科学技術センター(MSTC)へ委託された事業において2003年平成15年)に開発された二足歩行ロボットのこと。Humanoid Robotics Projectの最終成果機であり、川田工業・独立行政法人産業技術総合研究所安川電機清水建設との共同研究により開発された。愛称はPromet(プロメテ)。機動警察パトレイバーで有名な出渕裕がデザインを担当したことでも有名である。

後継機も存在し、2007年6月にはHRP-3(エイチアールピー・スリー)が、2009年3月16日にはHRP-4C(エイチアールピー・フォーシー)が発表された。

特徴

構造

身長154cm、体重58kg、横幅62cm。腰部の2自由度を含めて全身で30自由度を持つ。ASIMOなどと異なり、背中にバックパックを背負っていないため非常にスリムな体型をしている。もっとも大きな特徴として股関節が片持ち構造であることがあげられる。これにより平均台などの隘路の歩行が可能になっている。

センサ

センサとしては、頭部に三眼ステレオカメラ、胴部に3軸の振動ジャイロセンサと3軸加速度センサ、両手首・足首に6軸の力センサが搭載されている。カメラの内二つは頬のダクト状部分に納められている。

実現可能な行動

  • 背中のバックパックを無くすことにより、仰向けやうつ伏せに転倒した場合でも安全に起き上がることが可能となった(転倒回復技術)。
  • 畳一畳ほどの大きなパネルの片方を人間が持ち、残りの片方をHRP-2が持ち、協調して運ぶ行動。
  • 2004年4月のプレスリリースでは、以下のような行動のデモンストレーションが公開された。
    • 天井の低い場所を四つん這いになって進む行動。
    • 机に手をついてバランスをとりながら作業行動。
    • 床に置いてある重い物体を押す行動。
    • 手すりを使って高い段差を上る行動。
  • 2005年1月には、産総研と東京大学生産技術研究所との合同で、モーションキャプチャしたデータを元に『会津磐梯山』を師範と一緒に踊るデモを披露。

その他

一部の外装に、放熱などを目的として、小さな穴が並んで開けられている。これは、デザインを担当した出渕裕がメカデザインに多用する、通称「ブチアナ」といわれる物なのだが、実は、出渕裕がデザインした時点では、これはデザインされていなかった。 しかし、開発の途中に穴を開ける必要がでてきたので、「出渕氏のデザインなのだから」と、開発スタッフが「ブチアナ」を模したデザインにした、とのこと。

産業応用

現在、川田工業によってレンタル事業が行われており、ハードウェアのレンタル価格は3800万円/5年間(税別)、メンテナンス価格は400万円/年(税別)。制御ソフトウェアはゼネラルロボティクス社によって販売されており、価格は400万円(税別)でメンテナンス価格は60万円/年(税別)となっている。

関連項目

外部リンク

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