風景式庭園

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イギリスのスタウアヘッド(Stourhead)庭園

風景式庭園(ふうけいしきていえん)とは庭園の作庭技法の1つで、平面幾何学式庭園と違い曲線を多用し、なだらかな起伏を要し、自然風景のように作庭される庭園様式である。通常はイギリス式庭園を指す。

概要

ガーデニングの意味するところは囲まれた世界の中でするということで、中世では皇帝王族のために徹底して造られていくようになった。そうしたガーデンは規模も視野も巨大化していく。

当初はイギリスにおいて、フランス風の整形庭園を攻撃する文章によって、この風景式庭園誕生の先鋒となった。中心人物としては、アントニー・アシュリー=クーパージョゼフ・アディソン アレキサンダー・ポープらがいる。現実の庭園としてはストウ(en:Stowe, Buckinghamshire)のテンプル伯の館(en:Stowe, Buckinghamshire#Stowe House)が最初期に属する。この設計は最初チャールズ・ブリッジマンによって行われ、ブリッジマンは庭を細かく区画する事を嫌い、大きく意匠することに努めた。庭と外界の境に一種の掘割であるハハーを導入して、何遮るものなく眺望が周囲の自然に溶け込んでいくように工夫した。ストウは以後、ブリッジマンと協同したジョン・バンブラーウィリアム・ケントジェームズ・ギブズランスロット・ブラウンといった名手たちが次々に手を加えた記念碑的な庭園となる。風景式庭園の様々な相を1つに集めた庭として、今に伝えられている。

近世になると、アレキサンダー・ポープは「全ての点で自然を念頭におくこと。土地の精霊に相談せよ。」という、2行の詩を残す。風景画においてピクチュアレスクという、主として自然の美や風景に関する趣味の基準を表す理論が、不規則さや絶え間なき変化といった美の特徴を見出され、イギリスの美学理論において美や崇高の概念に並ぶ美的範疇となっていく。

代表的な作家、ケントの仕事としては1730年代に造ったラウシャム・ハウス(en:Rousham House)の庭園が残っている。またこうした古典的な題材だけでなく、ゴシック、あるいは中国風のものを題材に選ぶものも現れており、ロンドンキューガーデンパゴダを造ったウィリアム・チェンバーズは、そうした東洋風の構成に魅かれた人物の1人である。この絵画的な構成を重んじる派に属するものとしては、ホーア家代々、ことにヘンリー2世がアマチュア造園家として造ったスタウアヘッド(en:Stourhead)の庭が、完成された美しさを示している。

こうした中イギリス人たちは、絵画に見出した特徴を現実の風景にも求めるようになり、「イギリス式」と呼ばれる庭園が誕生する。庭園の特徴は、自然風景を模倣して、不規則さ、ア・シンメトリー性、さらに過去への連想、異国的なものへの憧れ、を表している。風景式庭園から発見されたア・シンメトリー性という美学は20世紀にはいると、都市デザインや造形物に大きな影響を与えていった。こうして、イギリスの領主館(カントリー・ハウス)ではカントリーサイドに広がる広大なイギリス的風景を取り込んだガーデニングが行われる。それは敷地そのものが広大な上に、 さらに敷地の枠を超えて、 遠くの自然風景、大自然を眺望し、 それを1つの領域として取り込むものである。今日でも多くの庭園が往時の姿を保ち、イギリスは国土全体が公園のようだとも言われる所以となっている。

庭園技法など

  • ハハァ 土地の起伏 オペリクス 芝庭 流路 点景廃墟(フォリー) レッドブック

著名な庭園

関連項目

外部リンク

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