電力用半導体素子

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電力用半導体素子(でんりょくよう はんどうたいそし)は、電力機器向けの半導体素子である。電力制御用に最適化されており、パワーエレクトロニクスの中心となる電子部品である。家庭用電化製品コンピュータなどに使われている半導体素子に比べて、高電圧で大電流を扱えるのが特徴で、高周波動作が可能なものも多い。

概要

電力用半導体素子は、アナログ半導体に属する電力制御用の半導体素子であり、一般的にはパワーデバイスとも呼ばれ、整流ダイオード、パワートランジスタパワーMOSFET絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT))、サイリスタゲートターンオフサイリスタ (GTO)、トライアックなどがある。通電制御の可否にかかわらず(理想的には)一方向に損失なく電流を流すことができる素子を「バルブデバイス」と呼び、電力用半導体素子はそれに属しており「半導体バルブデバイス」と呼ばれる。

半導体技術の進歩によって大電力を扱う素子であっても応答速度は年々向上し続けており、電力制御装置全体の小型化に貢献している。また同時に低損失性も向上しており、省エネルギーと低発熱の観点からも採用範囲が広がっている。

定格電圧と定格電流は用途や素子の構造により異なるが、定格電圧は220ボルト電源ラインと440ボルト電源ラインに対応した600ボルトと1200ボルトが一般的で、定格電流は1アンペアから1キロアンペア以上と幅が広い。また、鉄道車両には、3300 - 4500V、変電所などの制御用には4500V - 8000V定格の素子が用いられる。

複数の素子を1つのパッケージに納めたパワーモジュールや、制御回路・駆動回路・保護回路なども含めてモジュール化したインテリジェントパワーモジュール (IPM) もある。

また、高電圧を扱う用途では電磁ノイズに強く、絶縁性を高めながら高速応答性が求められるために、光トリガサイリスタ等、光信号をトリガとする半導体素子も使用される。

関連項目