雪華模様

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雪華模様(せっかもよう)はの結晶を配した模様のこと。雪をに見立てて名づけられた。雪花模様、大炊模様(おおいもよう)、六つの花(むつのはな)とも。

ファイル:Sekka zusetsu.jpg
『雪華図説』。土井利位著、1832(天保3)年刊。国立科学博物館の展示。

中国では、古くから雪の結晶が六角形をしていることが知られており、前漢の時代には韓嬰が雪の結晶についてふれた詩を残している。日本でも、東北等の寒冷地や、中国からの知識が伝わり平安期には雪の結晶が六角形であることが知られており、六弁の花(六つの花)として表現されていたが、観察記録等の文献は残っていない。江戸時代に入って古河藩主土井利位が雪の結晶を観察し、「雪華図説」にまとめ出版したところ、結晶図の美しさと完成度の高さから、雪の結晶の模様(雪華模様)は江戸庶民の間で流行し、着物や服飾小物、はては茶碗の模様にまで使われた(この流行を受けて土井利位は、天保11年に「続雪華図説」を刊行している)。

雪華模様の『雪華』は土井利位の命名による。また、別名の『大炊模様』は、利位の官職からとられている。

現在でも寒冷地では、直径5mm程の六角形の雪の結晶が降ってくるのを容易に目にすることができる。顕微鏡がなかった紀元前、すでに雪の結晶のが六角形だと知られていたのは、寒冷地の人々が大きな雪の結晶を肉眼で見ていたためであることは想像に難くない。中国の知識が移入されるまでもなく、日本でも古くから東北北陸など積雪量も多く寒冷地の人々は、その形状が六角形だと知っていたと考えて然るべきである。

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