銀色の髪の亜里沙

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テンプレート:Sidebar with collapsible lists銀色の髪の亜里沙』(ぎんいろのかみのありさ)は、和田慎二による日本漫画作品。集英社別冊マーガレット』に掲載された。1973年にコミックス刊行。

概要

  • 「銀色の髪の亜里沙」(昭和48年『別冊マーガレット』4・5月号)
  • 「お嬢さん社長奮戦中!」(昭和47年『デラックスマーガレット』春の号)
  • 「冬の祭」(昭和46年『デラックスマーガレット』冬の号)

あらすじ

銀色の髪の亜里沙

主人公・本条亜里沙は大企業の社長令嬢。13歳の誕生日を父の部下の娘である4人の同級生と祝いながら、幸福でいっぱいの亜里沙だったが、直後父の訃報が届く。その悲しみを癒すという名目で誘われたピクニック。そこで亜里沙は、父の死が重役の陰謀による偽装自殺であることを知らされ、口封じのために吐竜窟に投げ込まれた。同じ頃、亜里沙の母も重役たちに脅されて企業の権利書を奪われ、精神病院に放り込まれた。

奇跡的に一命を取り留めた亜里沙は、吐竜窟の中で12年前から閉じ込められている考古学者の老夫婦と出会う。裏切られた衝撃と悲しみから心が荒んでいた亜里沙だったが、2人にいろいろな知識と知恵を授けられ、また生活のために自ら身体を動かしていく中で次第に変わっていく。そして4年後、老夫婦を看取った後に吐竜窟を脱出することに成功した彼女は、地底にあった翡翠を資金源とし、名を変えて復讐を始めるのであった。長い間陽に当たらなかったあまりに銀色となった髪をきらめかせながら……。

数日後、ある高校に飛鷹アリサという転校生がやってきた。それは、銀髪を隠すためにかつらを被り、母の旧姓を名乗った亜里沙だった。そこではかつて亜里沙を陥れた3人の友人が、それぞれ学業陸上競技演劇の世界で名声をほしいままにしていた。母が精神病院で亡くなったことをアル中の院長から聞き出した彼女は、ますます復讐への思いを募らせる。そして、彼女たちがそれぞれ最も得意な分野で真っ向勝負を挑む。その一方で、ずっと自分を心配してくれていた真の友・美尾に対しては、恋のアシストをするなど優しくする。そして本条家の悲劇の真相を知らない彼女を、自分の復讐劇に巻き込むまいと決意するのだった。

成績トップの恵子には「次のテストで勝ってみせる」と宣言し、その通りに勝ってみせた。恵子は「成績トップだからガールフレンドのひとりに加えただけで、もう魅力はない。次はアリサを狙おうか」と笑う恋人にも捨てられ、悲嘆のうちに首吊り自殺。また、陸上で高校生の日本記録を持つマサコに対しては、目の前でそれ以上のスピードで走って見せた。マサコは柄の悪い友達を使ってアリサをやり込めようとするが、逆に正体を現したアリサに追い詰められ、さらに恵子の首吊りを目撃したことで発狂する。そして、会社の権利書を奪った信楽の娘・紅子に対しては、芸能界デビューの舞台で使う仮面に特殊な細菌を塗りつけた。その仮面は奇しくも亜里沙13歳の誕生日に友達全員で揃えた思い出の仮面。紅子は、細菌毒によっていつ顔の皮膚が腐食するか分からない恐怖に苛まれるより、自ら死を選び、その状景に紅子の父親は放心して崩れ落ちる。そして亜里沙の復讐は終わった。

その後亜里沙は日本を離れることにした。飛鷹アリサの正体に気付いた美尾との別れを惜しみながらも、日本を離れる決意は変わらない。亜里沙は今度は銀髪を隠すことなく、胸をはって出航するのであった。

お嬢さん社長奮戦中!

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繊維会社の社長である父を亡くし、高校生でありながらその跡を継ぐこととなった一人娘の「お嬢さん」こと主人公。一介の高校生に資金難の株式会社の経営が分かるはずも無く、就任当初は美形の男性秘書に浮かれたり、資金繰りのために(経営権を失うほどの)大量の株式を処分しようとしたりして周囲に呆れられる。その無知と七光りへの甘えを見透かされて、父と懇意だった相手からは軒並み融資を断られ、ライバル会社には妨害され、家庭を顧みない仕事人間だった父への愛憎も相まってお嬢さんはすっかり会社経営への意欲をなくしてしまう。
その頃、お嬢さんのウェディングドレスのためにと父が心血を注いできた人工繊維「ムーンライト・シルク」が完成。彼女は父が冷淡だったのではなく、自分への愛情ゆえに仕事に打ち込んできたことを知り慟哭する。父の真意を知り、何としても会社を立て直そうとする意志が芽生えたお嬢さんの気迫に圧され、取引先も融資を約束してくれた。いずれムーンライト・シルクが世に出れば、紡績会社の力関係も変わってくるだろう。お嬢さん社長の奮戦は、これからも続く。

冬の祭

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ある山村に都会から一組の父子が引っ越してくる。都会っ子である息子は慣れない田舎暮らしの不便さに不満を漏らし、地元で生まれ育った隣人の少女と険悪になるが、少年が村の生活に慣れるに従って2人は打ち解けてくる。
季節は流れ、冬。村祭りの時期がやってきた。少年は太鼓を打つため、少女は舞を奉納する巫女役を務めるため、それぞれ稽古に励む。親交を深めるうちに少年は、少女に姉が居たこと、姉娘はかつて巫女役を務める予定であったが祭りの直前に池の中から遺体で発見されたことを知る。時を同じくして、村には不審人物の影がちらつきはじめる。
祭りの当日。少女が舞う時刻が迫る中、ついに不審人物が正体を現す。それは姉娘を感情のもつれから殺害した男であった。自己の正当性を主張する身勝手な男だったが、姉の死の真相を知り鬼気迫る舞をみせる少女の姿に、殺したはずの姉娘を重ねて錯乱に陥る。一件落着して祭りが再開されると、巫女は少年の太鼓に合わせて軽やかに舞うのであった。

関連項目

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