通信教育

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通信教育(つうしんきょういく、テンプレート:Lang-en-short)は、教室などの場で講師が対面して教育活動を実施することが難しい場合に、郵便情報通信などの通信手段を使用して行う教育のことである。

概説

ベネッセコーポレーション学校法人NHK学園産業能率大学ユーキャン日本能率協会マネジメントセンター日本経営協会アルク公開経営指導協会国際文化カレッジ日本英語検定協会諒設計アーキテクトラーニングなどが主な通信教育団体である。

通信教育には、大学通信教育から、簿記手芸ペン習字漢字などさまざまな社会教育の通信教育(社会通信教育)、不登校にある児童生徒などのための通信教育、離島山村など々の距離があまりにも離れすぎた遠隔地における教育手段として通信を用いるもの(遠隔教育)などがある。通信教育を行うための手段については、情報通信技術の発展により、郵便からインターネットをはじめとするコンピュータネットワークへの一部の移行も試みられており、2000年代以降における技術的な進化・進歩は顕著になってきているといわれている。

児童・生徒・学生受験生向けの通信教育としては、テレビラジオを活用して学習する日本放送協会学園高等学校(NHK学園高等学校)や放送大学が、また添削式のものとして進研ゼミZ会などがある。また本来通塾制の公文式も通信教育に対応している。

歴史

国文学賀茂真淵本居宣長は生涯において直接対面したのは松阪の一夜限りだったが、以後手紙のやり取りで師弟として学問の継承、発展に寄与した。これもまた通信教育の一例とすれば通信教育の幅はかなり広いと考えられる。

明治時代になると東京専門学校(現早稲田大学)が『早稲田講義録』を発行し、貧しくて高等教育を受けられない人々に大いに活用された [1]

大正時代末期には、日本女子大学校は、同校内の女子大学講義発行所から「日本女子大学校通信教授、女子大学講義」を発行。「僅か一ヵ年半で家庭にて女子大学卒業の学力を得られる」、「学校で先生から学ぶのと少しも変わりはありません。解らぬ所は質問にお答え致します。毎日、些少の時間を割いて御勉強になれば僅か一ヵ年半の短日月にしかも最も低廉な学費で、家庭に居ながら大学卒業と同等の学力を得られ、教養ある当代の女性として立派に立つことができます。卒業者には卒業証書授与。」と宣伝した。

第二次世界大戦前は中学講義録や英語講義録、電気講義録、囲碁講義録など様々な講義録が発行され中等・高等教育の大衆化に大いに寄与した[1]

方法

一般的な郵便による講座の場合、主催者から受講者に最初にテキストなど教材と添削用の課題・問題と解答・レポート用紙などが送られてくる。期間や内容によっては複数回にわたる場合もある。

受講者は指定された期日までの自分で学習しその成果を解答、あるいはレポートにまとめて郵送する。主催者側では講師がそれを添削し受講者に返送する。

講座の内容によるが規定の評価・得点を得た場合、修了することができる。成績が悪かったり規定の期間内に課題提出がない場合も修了とならない。しかし講座によっては再提出や期間延長が可能な場合もある。

また講座によっては、途中で受講者が教室に出かけ講師から直接授業を受けるスクーリングと呼ばれる行事がもたれる場合もある(この場合は、レポートの提出が免除される場合とされない場合、あるいは、本来のレポートの一部の代替として、簡素化されたものに変更のうえで提出する場合とがある。)。

日本の法律に基づく通信教育

社会通信教育と民間通信講座

社会通信教育の概要

文部科学省認定通信教育には、学校教育法に基づき大学・高校が行う学校通信教育とは別に、社会教育法に基づいて学校又は一般社団法人若しくは一般財団法人が非営利目的で行う社会通信教育があり、社会通信教育基準と社会通信教育規程によって執り行われる。社会通信教育は社会教育上奨励すべきものとして文部科学省に認定されているもので、これを認定社会通信教育と呼び、旧文部省時代から古く生涯学習の施策として実施されてきた。専門知識や生活や健康維持に役立つ、教養趣味講座も多く認定され、各種社会通信教育の普及活動等を通じて、生涯学習から職業能力養成まで幅広く推進推奨している。社会通信教育では通常学歴、性別を問わず、入学試験も課さないが、年齢については講座によって制限がある。 文部科学省は、認定した社会通信教育の実施者を指導し監督する。実施団体は実施要領などを定めなければならない。 方法は、学校通信教育と基本的に変わりなく、第四種郵便も適用される。また、情報通信による手段も取り入れつつある。

文部科学省認定社会通信教育は、平成22年1月現在で42団体技術系31課程、事務系42課程、生活技術・教養系48課程で行われている。多くの団体等がいろいろな分野にわたる内容のものを実施。 団体名は、

  • 学校法人産業能率大学(新・生産管理基本コース、漢字能力検定2級受験講座、マネジメント基本講座、製造基本講座、製造監督者講座、生産管理者講座、生産経営者講座)
  • 一般社団法人日本経営協会(企業会計講座-企業会計マスターコース、現代経営講座-戦略管理者コース・管理者基礎コース・中堅社員実力養成コース、経営実務講座-営業基礎コース・ビジネス文書速修コース・営業戦力化コース・民法入門コース・経済入門コース・労働法入門コース)、
  • 公益財団法人国際文化カレッジ(自動車、オートバイ、美術品・鑑賞鑑定入門、家庭園芸、植物医、庭木と果樹の手入れ、庭師入門、庭の工作物手作り、写真作品創作塾、ハイキングとカメラ技法)、
  • 社団法人公開経営指導協会(POP広告実技講座)、
  • 公益財団法人日本英語検定協会(実用英語講座-1級、凖1級、2級、凖2級、3級、4級、YOU CAN英語講座、 日常オフィス英語講座、英語ルール60英語講座、英検対策講座-1級、準1級、2級、準2級、3級)、
  • 財団法人日本通信教育学園(法律講座民法課程、日商簿記検定講座3級コース・2級コース)、
  • 財団法人実務教育研究所(現代統計実務講座、校正実務講座、生涯学習指導者養成講座生涯学習ボランティアコース、編集制作レイアウト講座、多変量解析実務講座)、
  • 社団法人日本マネジメントスクール(ミドル・マネジメント・コース基礎課程・実践編、フォアマン・コース)、
  • 財団法人日本生産性本部(生産性通信講座-初級コース・上級コース・実務コース)、
  • 学校法人川口学園(早稲田速記講座速習課程・専門課程、文章上達講座)
  • 財団法人日本経営教育センター(社会保険労務士講座、衛生管理者講座、行政書士講座)、
  • 秋田大学工学資源学部(通信教育講座-地球科学コース、資源開発コース、材料工学基礎コース、電気・電子基礎コース、一般科学技術コース、電気系専門コース、電子系専門コース、材料工学専門コース)、
  • 社団法人日本電気協会(第二種電気工事士講座、第一種電気工事士講座、電験3種講座)、
  • 財団法人日本電子情報教育振興協会(新家電-技術、新家電-実務、新家電-修理技士の各講座)、
  • 財団法人中央工学校生涯学習センター(機械設計製図講座、建築講座設計製図課程木造コース、トレース講座、土地家屋調査士講座、宅地建物取引主任者講座、漢字検定ゼミナール)、
  • 社団法人日本測量協会(測量教室測量士補講座)、
  • 学校法人東京農業大学(造園製図コース)、
  • 社団法人全国農協乳業協会(乳業製造技術通信教育)、
  • 学校法人香川栄養学園(栄養と料理一般講座、栄養と料理専門講座-専門職業コース、専門料理コース、治療食コース)、
  • 学校法人文化学園(文化服装通信講座-服装一般、ファッション画講座上級コース-ファッション・デザイン画編)、
  • 学校法人杉野学園ドレスメーカー学院(ドレス通信教育講座)、
  • 学校法人大塚学院大塚末子きもの学院(きもの通信教育講座-一般コース、上級コース)、
  • 学校法人清水学園・専門学校清水とき・きものアカデミア(現代きもの講座)、
  • 財団法人日本書道教育学会(書道基礎科講座、書道専攻科講座、ペン習字基礎講座、ペン習字教育講座、蒙刻入門講座)、
  • 財団法人日本音楽教育文化振興会(音楽講座-音楽通論コース・ソルフェージュコース・和声学コース・作曲学コース)、
  • 学校法人日本放送協会学園(漢詩講座-風雅をよむ・自然をよむ、古文書を読む・基礎、俳句入門、短歌入門、川柳入門)、
  • 財団法人日本習字教育財団(書写技能基礎講座-桔書編・行書編、書道臨書講座-[桔書1]、[桔書1])、
  • 学校法人サンシャイン学園東京福祉保育専門学校(ホームヘルパー養成2級課程・通信コース、ホームヘルパー養成1級課程・通信コース)、
  • 学校法人たちばな学園名古屋福祉保育柔道整復専門学校(ホームヘルパー2級通信課程、ホームヘルパー1級通信課程)、

である。

社会通信教育協会

社会通信教育の関連団体に財団法人社会通信教育協会があり、これは文部科学省認定社会通信教育課程を設置する学校法人、財団法人、社団法人など公益法人によって、文部科学省認定社会通信教育の振興を図ることを目的に設置されている。 趣旨に賛同した上記の社会通信教育を実施している法人が加盟している。 加盟法人は上記法人のうち、学校法人が

  • 日本放送協会(NHK)学園(東京都国立市
  • 香川栄養学園 女子栄養大学社会通信教育部(東京都豊島区
  • 産業能率大学 総合研究所 普及開発課(東京都世田谷区
  • 杉野学園 ドレスメーカー学院通信教育部(東京都品川区
  • 清水学園清水とき・きものアカデミア(東京都渋谷区
  • 川口学園早稲田通信教育センター(東京都豊島区)
  • 大塚末子きもの学院通信教育部(東京都新宿区
  • 文化学園文化服装学院生涯学習部(東京都渋谷区)、

財団法人が

  • 国際文化カレッジ(東京都新宿区)
  • 実務教育研究所(東京都新宿区)
  • 中央工学校生涯学習センター(東京都北区
  • 日本英語検定協会(東京都新宿区)
  • 日本経営教育センター(東京都北区)
  • 日本習字教育財団(東京都千代田区
  • 日本書道教育学会(東京都千代田区)
  • 日本通信教育学園(東京都港区)、

社団法人が

  • 公開経営指導協会(東京都中央区)
  • 日本マネジメントスクール(東京都千代田区)
  • 日本経営協会(東京都渋谷区)
  • 日本測量協会(東京都文京区)、

国立大学法人が

が、参加している。

大学などが実施しているものについては、大学通信教育#社会通信教育を実施している大学・大学設置法人も参照。

以前は、札幌情報技術学院インターネットカレッジ、自衛隊援護協会、財団法人日本通信美術学園、なども社会通信教育を行っていた。

上記の文部科学省認定の社会通信教育を実施している学校法人、社団法人、財団法人の24団体で構成加盟している団体として、財団法人社会通信教育協会がある。社会通信教育協会は、日本の生涯学習振興を図る上で生涯学習コーディネーターの実践講座を開講し、文部科学省の助成を受けて開設した「生涯学習インストラクター」の資格を授与している。この資格制度をもって、文部科学省が認定した社会通信教育コースの修了者に対して、その学習成果を積極的に認定評価している。 同協会ではさらに生涯学習活動の指導者育成と生涯学習領域において必要とされているコーディネーター養成のための本格的な研修講座も開講している。

民間企業による通信講座

現在の通信教育の講座については、厚生労働省所管の教育訓練給付制度指定講座など、他省庁や公的機関が認定する講座も多数あるが、通信教育の市場については、学校教育の通信教育では横ばいか増加傾向となっているが、社会通信教育については数年にわたり減少傾向である。 一方で、民間企業による通信講座も幾つか存在する。主な例として

など多数ある。こうした業者は、文部科学省への認可申請等の手続きは不要である。通信の方法により一定の教育計画の下に教材ならびに補助教材等を受講者に送付し、これに基づき設問解答と添削指導、質疑応答などを行う事業所とされ、文部科学省認定通信教育とスタイルは同じであるが、職業分類では学校教育法による通信教育とは別分類とされている。 通信教育に関する学会には、日本通信教育学会がある。

参考文献

  • すぐに役立つ通信教育全ガイド がんばる人を応援する ... 文部科学省認定社会通信教育(新ミドル・マネジメントコース ミドル・マネジメントコース実践編 ほか) 民間通信教育(経営・マネジメント・ビジネス)
  • ラーニング・アロン 通信教育のメディア学 佐藤卓己・井上義和編 新
  • 各種 通信教育案内―自己啓発に!: 一ツ橋書店編集部

ペット・動物関連の通信講座一覧

  • 社団法人日本愛玩動物協会愛玩動物飼養管理士養成講座
  • Pet&iドッグアドバイザー 養成講座 (NPO法人 日本ドッグパーク普及協会認定校)
  • マキ フジタ ヒーリング・スクール ドッグ ヒーリング 通信コース
  • ヒューマンアカデミー動物看護士講座、ペット販売士講座、動物看護士講座、トリミング通信講座 、ドッグトレーナー養成講座
  • がくぶん総合教育センターペット介護士養成講座、ペット服を作る通信講座
  • ワンカレッジ(abcスクール)ドッグライフカウンセラー検定合格講座
  • 株式会社カラーズホリスティックケア・カウンセラー講座
  • キャリアカレッジジャパンペット看護士&セラピスト W資格取得講座
  • IPC国際ペットカルチャー総合学院動物看護士 資格取得講座
  • 日本ドッグトレーナー協会(JDTA)ドッグトレーナー通信講座
  • ペット資格通信専門校 日本ケンネルカレッジ
  • 日本ドッグトレーナー協会 ドッグトレーナー通信講座
  • ペットシッタースクールペットシッター養成講座
  • 日本ペットアロマテラピー協会 ペットアロマ検定講座

脚注

  1. 1.0 1.1 まぼろし通販百科 第14回「懐かしき「講義録」の世界」の巻 まぼろしチャンネル 2005年6月2日 串間努テンプレート:リンク切れ

関連項目