迷宮

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テンプレート:Otheruseslist 迷宮(めいきゅう、Labyrinth, Λαβυρινθος)とは、一般的には部屋通路が入り組んだ迷路のような建築物のことを指すが、Labyrinthと言えば厳密にはクレタ型迷宮に代表されるような、分岐のない秩序だった一本道であり、迷路とは対照的な特徴を持っている。 この記事ではLabyrinthの和訳としての迷宮について解説する。

神話・伝説と迷宮

ファイル:Trojeborg, Nordisk familjebok.png
クノッソスの迷宮図(クレタ型迷宮)

ギリシア神話ではミーノータウロスが閉じこめられた場所とされている。クレタ島クノッソスの迷宮が世界最古のものと思われる。この迷宮の紋章である、両刃のlabrys)が、ラビリンス(Labyrinth)の語源となったとする説がある。 迷宮の設計図はクノッソスの貨幣の意匠にもなったが、実は分岐のない極く単純な迷路であった。

迷路と迷宮の違い

迷宮は以下の点で迷路とは区別される。

  • 通路は交差しない。
  • 一本道であり、道の選択肢はない。
  • 通路は振り子状に方向転換をする。
  • 迷宮内には余さず通路が通され、迷宮を抜けようとすればその内部空間をすべて通ることになる。
  • 中心のそばを繰り返し通る。
  • 中心から脱出する際、行きと同じ道を再び通らなければならない[1]

このように本来の迷宮の構造は秩序だったものである。これらの特徴を否定すれば迷路ができあがることからわかるように、迷路は迷宮とほとんど正反対の要素を持っている。クレタ型迷宮は以上の特徴を兼ね揃えた代表的なものである。

ローマ帝国時代から迷宮と迷路を混同するような文献が数多く見られ、紀元前1世紀から1世紀ごろに迷宮が迷路的なイメージとして定着されたと考えられている[2]

派生用法

  • 転じて解決しない難事件のことを「迷宮入り」と呼ぶようになった。

参考文献

  • 『迷宮学入門』和泉雅人 講談社現代新書 ISBN 978-4061495326
  • 『迷宮』ヤン・ピ-パ- 工作舎 ISBN 978-4875022671

脚注欄

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関連項目

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  1. 和泉雅人『迷宮学入門』、講談社現代新書、2000年、pp. 45-46
  2. 『迷宮学入門』和泉雅人 講談社現代新書