西之園萌絵

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西之園 萌絵(にしのその もえ)は森博嗣著の推理小説に登場する架空の人物。

S&Mシリーズ主人公であり、Gシリーズの主要登場人物の一人。他の作品にも多数登場している。真賀田四季と同じく、森博嗣作品において複数の作品において活躍を見せるヒロインでもある。

人物

S&Mシリーズ”では国立N大学工学部建築学科、“Gシリーズ”では同大学大学院犀川研究室に在籍、後に東京W大学へ移籍する。

周囲の一目を集める程の美女であり、作中では度々男性の登場人物から誘われているほか、初対面の男性の好感度も軒並み高い。とある事件で愛知県警の刑事たちと知り合いになった際には、刑事課に出入りしているうちに独身の刑事達によるファンクラブまで出来てしまっていた。しかし本人は犀川一筋である。彼とは幼い頃から面識があり、初対面の印象は「自分より頭の良い大人を初めて見た」というもの。

優れた洞察力と観察力を持ち、驚異的な計算能力を有しているが、時に思考が極端に飛躍するという特徴ある性格を持つ。その思考形態は犀川創平瀬在丸紅子のように「指向性が多様で多方面に卓越したもの」ではなく、指向性が突き抜けており人並み外れて早いというタイプ(犀川は「コンピュータの演算処理」に例えている)。行動力も旺盛。犀川創平と共に幾つもの事件を解決していった。感情を前面に強く押し出し、事件解決に臨む姿勢は真賀田四季をして高い評価を得ていた。

合気道を嗜んでいて、幾度かその腕前を見せた事がある。頭脳明晰で成績優秀だが極端に知識に偏りがある部分が存在しており、焼肉のたれが売っていることも知らない、焼きそばを食べたことがない、『遠山の金さん』を知らないなどの反応を見せていた。他にも『パーマン』『ガッチャマン』を知らないのに『ジャイアントロボ』は知っているという、偏った一面を見せた事もある。また、生活様式が基本的に洋風の為か、和風の行事や事柄、習慣などに著しく疎く、漢字故事成語ことわざなども苦手だったり間違った覚え方をしている事が多い。これらのお嬢様っぷりは大学入学時は周囲から浮いたものとして受け取られ、現在もしばしば周囲をあきれさせているが、徐々に人との付き合い方に馴染んでいく。コーヒーはブラック派だが、猫舌。学業優秀、家柄、容姿に恵まれた才媛であるが料理は苦手で、人並み以下と言える。

元N大総長の父親、愛知県警本部長の叔父、愛知県知事夫人の叔母をはじめ親類に要人が多い、非常に裕福な名家の生まれである。16歳のときに両親を航空機事故で亡くしている。萌絵はこの事故を、当時父親の愛弟子であった犀川と共に、空港で直接目撃しており、その経験は彼女の生活言動に大きな影響を与えた。この件を境に彼女の心の中で生まれていた壁は長い間、彼女が両親の死と向き合う事を阻害しており、S&Mシリーズ時には事件被害者に対し自身の境遇を照らし合わせ、相手の事を好奇心で打ち消してしまっていたものが、Gシリーズにおいて遂にそれを乗り越えた事で、純粋に被害者を悼む事が出来るようになっていた。

経歴

中高と女子校に通い続けていたが、国立N大学に入学した後は、犀川に尊敬と憧れから転じた強い恋愛感情を抱くようになり、積極的に行動しては犀川を戸惑わせることとなる。大学ではミステリィ研究会に所属し、他にも漫画研究会弓道部など、誘われて複数のサークルに籍を置いている。

両親の遺産である高層マンションを所有し、その最上階の21・22階に居住している。執事の諏訪野、愛犬シェットランド・シープドッグの都馬と同居し、ボクサーポルシェ等5台の高級車を所有する車好きで、そちらの知識にも明るい。

S&Mシリーズではミステリー好きからくる好奇心で事件に首を突っ込んで危険な目に会うこともあったが、Gシリーズでは後輩が出来、自身も研究室入りした事で落ち着いた大人の女性となる。こちらでは自身も事件解決に関わりながらも、面倒見の良い姉貴分として後輩の加部谷恵美、山吹早月、海月及介達の行動を見守るスタンスを取っている。同時期にはVシリーズにも登場しており、保呂草潤平は萌絵のパーソナリティの中に、瀬在丸紅子との共通点を見出していた。

ちなみにS&Mシリーズでは遭遇した事件のほとんどが密室殺人である。警察内部では「密室殺人なら西之園萌絵」という印象が出来上がっているのか、度々協力を求められている。

登場作品リスト

シリーズ作品

S&Mシリーズ
Vシリーズ
Gシリーズ
Xシリーズ

短編

関連項目

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