菊屋吉生

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菊屋 吉生(きくや よしお、1954年 - )は、美術史学者、山口大学教育学部教授。専門は日本美術史で、特に近代日本画の成立と展開に関する著書、論文を数多く執筆。

履歴

山口県萩市出身。立命館大学文学部史学科卒業後、山口県立美術館に就職し、学芸員として多数の展覧会開催に携わった。

1997年に山口大学へ移り助教授に就任。2006年より現職。現在も古巣を含む県内の美術館と協力して研究を進めている。

山口放送の元アナウンサーである勝津正男は兄にあたる。

江戸時代、長州毛利藩の御用を務めた豪商、菊屋家の13代当主であり、その邸宅は現存する西日本最古級の町家として国の重要文化財に指定されており、菊屋家住宅として一般公開もされている。現在、財団法人菊屋家住宅保存会理事長。

○菊屋吉生氏が山口県立美術館学芸員時代に担当した一連の近代、現代の日本画に関する展覧会は、それまで語られてきた近代日本画史を見直すもので、明治、大正、昭和の日本の前衛絵画と日本画との関係を明らかにするものだった。また1986年に山口県立美術館で開催した「ニュージャパニーズスタイルペインティング 日本画材の可能性」展は、北澤憲昭氏言うところの「日本画の転位」のきっかけにもなったともいえる展覧会であり、1990年代以降の日本画変容に重要な役割を果たした。(参考:『「日本画」内と外のあいだで―シンポジウム 転位する「日本画」記録集』ブリュッケ、2004年)

主な著書・論文

  • 『昭和の美術』(毎日新聞社、共著、全6巻、1990〜91年)
  • 「感性の眼から理性の頭脳へ―昭和前期の新しい日本画」(『日本美術絵画全集23』講談社、1993年)
  • 『山口県の美術』(思文閣出版、共著、1995年)
  • 『日本美術館』(小学館、共著、1997年)
  • 「昭和前期における院展とその派生団体との関係」(『日本美術院百年史第7巻』日本美術院百年史編纂室、1998年)
  • 「珊瑚会論考」(『美術研究第377号』東京文化財研究所、2003年)
  • 「大正初期から中期における小団体、小グループの相関関係―行樹社と八火会を中心として―」(『大正期美術展覧会の研究』東京文化財研究所編、中央公論美術出版、2005年)
  • 『大正期新興美術資料集成』(国書刊行会、共著、2006年)
  • 『別冊太陽 東山魁夷 日本人が最も愛した画家』(平凡社、監修・共著、2008年)など。

菊屋研究室のHP:http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~kikuya/index2.html

東山魁夷《道》―未完に見る希望「菊屋吉生」:http://artscape.jp/study/art-achive/10101138_1983.html

受賞歴

  • 1989年 第1回倫雅美術奨励賞(「日本画 昭和の熱き鼓動」展の企画および図録論文に対して)
  • 同年 山口県メダル栄光文化賞テンプレート:Artist-stub