若手騎手限定競走

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若手騎手限定競走(わかてきしゅげんていきょうそう)とは中央競馬の若手騎手に活躍の機会を提供することを目的に実施している競走のことである。

概要と経緯

昭和時代の概要

以前は「見習騎手限定競走」と題して、中央競馬の騎手免許を取得して3年以内でなおかつ生涯成績100勝以下(地方競馬の成績含む)の騎手に限って開催されるレースを1980年代後半まで実施していた[1]。大レースの前に開催されることがあり、中でも1953年(昭和28年)から1983年(昭和58年)までは、東京優駿(日本ダービー)の直前に行われる「見習騎手限定競走」が有名であったが、これらは全て一度廃止された。

平成時代の概要

平成に入りしばらくは行われていなかったが、2000年代になるとJRA賞の表彰カテゴリーである「最多勝利新人騎手」(年間30勝以上を挙げたうえ、最多勝利数を獲得した新人騎手に贈呈する)を獲得するジョッキーが近年少なくなっていた。これには、騎手・調教師・トレセンを取り巻く経済環境の変化、地方トップジョッキーや短期騎手免許による外国人ジョッキーの活躍などにより、騎乗機会に恵まれない若手騎手が増加していることなどを背景にある。そこで、騎手免許取得6年未満でなおかつ通算100勝以下の騎手を対象にして「若手騎手限定競走」が2004年からおよそ20年ぶりに実施されるようになった。なお2008年3月より、騎手免許取得後の期間が「7年未満」に延長されている。

上記のような理由で再度実施されるようになったが、以下のような理由から騎乗機会に恵まれない騎手が有力馬に乗る機会を得られているとは言い難い。

  • あくまで騎乗馬は依頼制である。
  • 若手騎手限定競走は、未勝利戦または500万下条件(一般戦)のいずれかで設定される。
  • 殆どの場合3場開催の第3場で行われるため、障害競走にも騎乗する騎手は参加が難しい状況にある(減量特典が3年で消えた騎手が騎乗数の確保で障害競走の騎乗を行っているケースが多々あるが、2013年まで第3場では障害競走が行われていなかった)。
    これについては、2014年より障害競走が重賞・オープン特別を除いて第3場での開催が基本となるため、障害メインで騎乗する若手騎手が若手騎手限定競走に参加しやすくなり、双方での騎乗可能騎手不足が解消された。実際に、改善されて早速2014年1月19日の若手騎手限定競走で、これまで障害メインのためあまり若手騎手限定競走に参加できなかった大江原圭が勝利して平地初勝利をあげるなどの成果が出ている[2]

若手騎手限定競走は、後述する「ホープフルジョッキーズ」を除き一般戦であるため、見習騎手は減量の特典を利用することが可能である。

2013年は、東京優駿の80回記念として前述の東京優駿前の若手騎手限定競走が復活することになった。同年5月26日に「ホープフルジョッキーズ」のレース名で、4歳以上500万円以下条件の特別競走で実施された[3]。特別競走で行われるため、減量特典は適用されない。また、レース開催の1週前に当たる同年5月17日に参加可能な16名があらかじめ決められた[4]。16名は、当日同時開催の京都競馬で騎乗予定の騎手[5]、負傷療養中[6]、騎乗停止中[7]の騎手を除いた中から選出し、これらに該当しない若手騎手は補欠として登録するとされていた。しかし実際には東京競馬場に補欠となる若手騎手は1人もおらず、更には直前のレースで落馬負傷した杉原誠人が騎乗できなくなり、若手騎手ではない松岡正海に乗り替わりとなった。

若手騎手以外が騎乗する例外

若手騎手限定競走は騎乗が若手騎手に限定されている。騎乗予定騎手が事故や落馬負傷などにより騎乗できなくなった場合にも、若手騎手が騎乗変更で騎乗することとなっている。しかし競馬場内に別の若手騎手が誰もいない場合に限り、若手騎手限定競走でも若手騎手以外の騎手が騎乗することが可能である。

2004年の若手騎手限定競走の復活後は、前述のホープフルジョッキーズを含め2例ある。

  • 2009年10月18日京都競馬第6競走
    本来騎乗予定だった高井彰大騎手が前日の障害未勝利戦で落馬負傷したが、このとき京都競馬場に別の若手騎手が居なかったため、若手騎手ではない赤木高太郎騎手に乗り替わり
  • 2013年5月26日、東京競馬第5競走(ホープフルジョッキーズ)
    本来騎乗予定だった杉原誠人騎手が当日の3歳未勝利戦で落馬負傷したが、このとき東京競馬場に別の若手騎手が居なかったため、若手騎手ではない松岡正海騎手に乗り替わり

JRAの見習騎手

JRAでの見習騎手は前述したように騎手免許(中央競馬、地方競馬、日本国外問わず)を取得してから3年以内でなおかつ通算100勝以下(平地競走・障害競走問わず、地方競馬、日本国外の競馬の成績含む)の騎手が対象となっているが、見習い騎手期間中は重賞を含む特別レース、ハンデキャップ競走をのぞく平地競走、障害競走において次のような負担重量の減量の恩恵を受けることができる。ただし、最低負担重量(平地競走の場合48キログラム、障害の場合3歳馬56キログラム、4歳以上57キログラム)を下回ることはない。

  1. ▲ - 3キログラム減(未勝利から30勝以下 2003年度までは20勝以下が対象であった)
  2. △ - 2キログラム減(31勝から50勝以下 2003年度までは21勝から30勝以下)
  3. ☆ - 1キログラム減(51勝から100勝以下 2003年度までは31勝から100勝以下)
内規により勝利数が31に満たない者はGI競走への騎乗が認められない(GI以外の重賞はデビュー当初から騎乗可能)。

騎手免許の交付を受けて満3年を経過した騎手は勝利数に関わらず減量がなくなる。また4年目以内であっても出馬投票の時点で101勝を達成しているとその週の競馬から減量がなくなる(ただし101勝達成時点で出馬投票済みの中央競馬、地方競馬の指定交流競走は減量特典を受けたまま騎乗が可能である)。

脚注

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関連項目

  • 昭和40年代初めまでは、障害競走にも見習騎手限定競走が存在した。
  • 前年の2013年は、後述する「ホープフルジョッキーズ」が唯一の若手騎手限定競走かつ平地競走参戦で、他は全て障害競走での騎乗であった。
  • テンプレート:Cite web
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  • 当日実際には騎乗しなかったが、出馬登録の時点で京都競馬のレースに騎乗予定だった若手騎手も含む。
  • 藤懸貴志高嶋活士が両名とも2013年2月より療養中で該当。
  • 同年5月5日に行われた新潟大賞典において、斜行により制裁を受けた伊藤工真が該当。